SANKEIBIZ富士山頂で迷ったとみられる、やせ細った犬が先月29日未明、動物保護団体などに保護された。保護団体は「ペット連れの登山はやめて」と呼び掛けているが、登山だけでなく、旅行や外出先で行方不明になる犬や猫は少なくないようだ。ペットとの快適で安全な旅行とは?(村島有紀)
慣れない環境 登山や避暑地で知られる八ケ岳(やつがたけ)や清里高原。地域を担当する山梨県中北保健所峡北支所(韮崎、南アルプス、北杜(ほくと)の3市)は3月29日から先月29日までに、57匹の「ペットの犬や猫が行方不明になった」との届けを受けた。このうち、半数はまだ発見されていない。
同支所管内で保護されている「迷い犬・猫」は先月30日現在、3匹。いずれも首輪を付け、オスの柴犬は散歩用の青いリードを付けたままで、雑種とみられる猫はがりがりにやせていた。保護後、飼い主が見つからない場合は同県動物愛護センターなどが譲渡先を探し、それでも見つからない場合は殺処分される。
同県福祉保健部衛生薬務課は「富士山周辺や避暑地、別荘地では、普段都会で暮らし、山に慣れていない旅行客の犬や猫が野生動物に驚き、逃げてしまうことがある。迷子札やマイクロチップ登録をしてほしい」と話す。
宿泊可の宿増加 「ペットは家族」との意識から、ペットとの同伴旅行が増えているようだ。インターネット旅行予約サイト「楽天トラベル」によると、同サイトに登録している宿2万8千軒のうち、約2千軒(約7%)がペット宿泊可(主に犬)。平成20年以降、毎年約100軒ずつ増加している。
一方で、トラブルも絶えない。10年間ほど、ペット(犬)同伴の宿泊を受け入れていた栃木県内のペンション経営者は3年前、受け入れをやめた。飼い主が「おとなしい」という犬がほえているので、慰めようとしたところ、手をかまれたためだ。「もし、お客さまがかまれていたら、とぞっとする。トイレを失敗したのに黙って帰る、ベッドに一緒に寝るなどのルール違反も目立った」と経営者は話す。
ペットとの旅行は、どうあるべきなのか? 先月、日本愛玩動物協会(東京都新宿区)会長で、東洋大教授の東海林(しょうじ)克彦さんらが中心となり、同伴旅行の質の向上と普及を目指す「全国ペット・ツーリズム連絡協議会」(日本愛玩動物協会内、(電)03・3355・7855、www.jpc.or.jp/ptm)が設立された。参加したのは、ホテル観光業やペット保険業など。
東海林さんは「旅行経験のないペットの飼い主も『一緒に旅行したい』という気持ちはある。ただ、同伴旅行の基準が、飼い主・ホテル・従業員にないため、満足できる旅行が成り立ちにくい。旅行時のペットのストレス、病気やけがなど、生態に応じた情報を積み重ねる必要もある」と指摘する。
ペット同伴専用宿泊サイト「ペット宿ドットコム」(http://petyado.com)を運営する藤野貴子さんは「高齢のペットなど飼うことができなくなり、保健所で殺処分される犬や猫は多い。旅行を含め、ペットとの共生文化が広がることで殺処分されるペットを減らしたい」と話している。
ペットとの旅行が普及するためには飼い主のマナー向上としつけが不可欠だ。楽天トラベルでは、過去のトラブルを踏まえ、ペットの「トラベルマナー」を掲載している。
〈宿泊前〉
・宿のルール確認
・狂犬病、混合ワクチン接種
・「座れ」「待て」など基本的なしつけ
・ブラッシング、シャンプー
・迷子札の用意
〈宿泊時〉
・部屋に置き去りにしない
・室内に備え付けのタオルをペット用に使ったり、バスタブでペットを洗ったりしない
・ベッドやソファにペットを上げない
・トイレの後始末
・チェックアウト時の軽い室内掃除
posted by しっぽ@にゅうす at 13:54
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