
米国では、犬を飼っている人が非常に多い。アニマルプラネットというテレビ番組によると、40%以上の世帯で一匹以上の犬を飼っているそうだ。
国土が広く、一戸建ての庭も広いため、犬と飼い主にとって必要なスペースが確保でき、日本よりも犬の飼育環境は恵まれている。そんな米国内で犬を飼うのに適した街の条件としては、次のようなものが挙げられている。
1)街が飼い犬を受け入れてくれるか。
しつけをされた犬なら、大きさや犬種にかかわらず、街に受け入れられることが望ましい。バスや地下鉄といった公共の交通機関の利用はどこまで認められているのか、ショッピングモールなど屋内の商業施設に連れていくことが可能か、犬とともに食事ができるレストランやビーチがあるかなどである。
2)歩くのに適した街であるか。
米国内は一部の都市部を除いては自動車で移動することが基本だ。自動車での移動を前提に作られた街では、歩いて買い物や通勤、通学することがあまり考慮されておらず、歩道がなく歩きにくい場合がある。犬とともに散歩できる街であることが重要だ。歩いて買い物や通学、公園に行けるかどうかなどを地区ごとに数値化するウォークスコア(http://www.walkscore.com/)というウェブサイトがあり、この数値が高いほど犬との散歩に適しているといわれる。
3)飼い犬が他の犬と遊べるかどうか。飼い主どうしが集える場所があるか。
犬が他の犬たちと遊んだり、飼い主どうしが集ったりするのも楽しい。同じ種類の犬が集まり、フリスビーなど特定の遊びができる機会があるかなども、犬との暮らしを充実したものにする条件のひとつだろう。ドッグランやドッグパークの質と数も重要だ。また、ミートアップ(http://www.meetup.com)というウェブサイトは、オンラインで同じ興味のある人を募り、オフ会開催の助けとなるものだが、ここにも犬の集まりが多数掲載されている。人や犬との交流が好きな飼い主と犬なら、犬の集まりの多い地域に住むのは楽しいだろう。
4)獣医やペットシッターが充実しているかどうか。
飼い犬が病気になったときに、獣医の診察を受けられるか。そのほかペットシッターやペットセラピーも充実度と費用も気になる。米国のドッグシッター探しはローバー(http://www.rover.com/)というウェブサイトがよく知られており、各都市のドッグシッターの人数や費用が検索できる。
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不動産関連のウェブサイトESTATELY (http://www.estately.com/)では、犬にとって最良の街をランキングしており、1位に米国オレゴン州ポートランドを選んだ。
ポートランドはフランス以外では、犬とともにパブに入れる数少ない地域ともいわれている。ペットのためのマッサージセラピストやドッグシッターも、質量ともに充実。
ティン・シェッド・ガーデン・カフェでは飼い犬入店OKはもちろんのこと、犬用のメニューも取りそろえていて、犬とともに食事を楽しめる店だ。また、飼い犬とともに受けられるフィットネスクラスも人気。フィットネスの夏季クラスでは売上の一部を、捨て犬になりやすいピットブル犬の救済に充てている。
とはいえ、どの街にもドッグパークがあって、飼い犬を受け入れてくれるレストランがあるとは限らないのも事実。スクリーンさえあれば、どんな環境でも犬を楽しませる犬のためのエンターティメントもある。犬が視聴することを前提とした犬専門テレビチャンネルも誕生した。
米国で昨年来ヒットしているドッグTVでは、飼い主と離れることを嫌がる犬や、退屈な犬をリラックスさせるために、他の犬が遊んでいる様子などが映し出される。画像も犬が認知しやすいようにさまざまな工夫をして、各番組も3分程度に収めている。テレビチャンネル側によると犬のしつけにも効果があるとのこと。
犬の住みやすい街を選ぶか、飼い主の住みたい街で、犬にはテレビを観させるか。ある意味、究極の選択なのかもしれない。
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