LIVEDOORNEWS10月に大阪府南部の泉佐野駐在として赴任し、泉佐野市役所で最初に取材に向かったのが、飼い犬のふん対策を担当する環境衛生課だった。
市は7月、ふんを放置した飼い主を対象に、全国的にも異例となる過料千円の徴収を開始すると発表。10月からは徴収額を5千円に引き上げていたが、当時はまだ実際の徴収例はなかった。
ペットのトラブルは泉佐野市に限らず、各自治体に共通する課題。徴収に向けた市の取り組みを詳しく伝えることで、マナー啓発のあり方について関心を喚起できれば、との狙いで取材を進めた。
担当者の反応は意外なものだった。「実際に徴収することはありませんよ」。現場では、違反者にも罰金を払わせるのでなく、逆にゴミ袋を渡すなどの対応をとっているという。「そもそも、マナーは自発的に守ってもらうもの。注意することで対応を見直してもらうのが優先だ」という説明だった。
ただ、路上喫煙の過料徴収などを積極的に行う他の自治体に話を聞くと、「実際に徴収を行うことで、啓発効果は飛躍的に高まる」との声も聞かれた。また当時、市は飼い主に一律課税を行う「犬税」の導入を検討していたことから、マナーを順守する飼い主からは「違反者に負担させず、肩代わりを強いるのか」との反発も上がっていた。
市側はその後、積極的な徴収方針に転じ、11月中旬には過料の初徴収を実施。府警OBの環境巡視員は、財布を持っていなかった飼い主の自宅まで同行し、支払いを求める厳しい姿勢で対応した。
市はさらに、犬税についても導入に踏み切る方針を固める。環境巡視員の見回りなどでふんの放置件数は一定の減少傾向を示したものの、重点対策地域外ではなお苦情が数多く寄せられていたためだ。
12月定例市議会では、税導入のあり方を検討する有識者委員会の設置費用を計上した補正予算案が可決された。犬税は、有識者委の答申を受けた条例の制定や総務大臣の同意を経て、早ければ来年度中にも実施される見通しとなった。
飼い主のマナー向上を目指す過程で、積極策に傾いていった泉佐野市。犬税が施策の推進に十分寄与すれば、先行例として全国に波及する可能性もある。公正な徴収が行われるか、税収が環境美化や啓発活動に適正に使用されるかなど、運用状況についても厳しく目を光らせていきたい。(時吉達也)
■泉佐野市の「ふん害」対策 平成18年にふん放置を禁止する条例を施行し、24年1月には条例違反に対する過料を千円と定めた。改善傾向が見られなかったことから25年7月、府警OBの環境巡視員2人を配置し、実際に徴収を行うことを表明。同10月には過料を5千円に引き上げ、11月に初徴収を行った。また、昭和57年以降全国の自治体で全廃されていた法定外税「犬税」を復活させ、飼い主から一律に徴収する方針を固めた。
posted by しっぽ@にゅうす at 23:56
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