【小樽】昨年12月、小樽市内で車にひかれた飼い猫の死骸を、回収した市廃棄物事業所が内規に反してその日のうちに焼却処分していた。本来ペットの死骸の場合、2〜3日間保管する決まりだが、担当者が死骸の入った段ボール箱内を確認しなかったためだ。事業所は今後、死骸発見者からペットかどうかきちんと話を聞くとしているが、従来通り、箱や袋の中までは確認しないという。
飼い主の男性(69)は31日までに、市に謝罪を求める調停を小樽簡裁に申し立てた。
市などによると昨年12月20日、緑2の市道で猫の死骸を小樽署員が発見、市廃棄物事業所に連絡した。事業所職員は署員が段ボール箱に入れた死骸を回収し同日夕、桃内2の焼却施設で処分した。猫は近くの男性の飼い猫で、けがの治療中のため首に円形の防御器具を装着しており、一目でペットと分かるはずだという。
市の内規では、ペットの死骸は保健所が回収し2〜3日間保管、この間に飼い主が分かれば返還する。野良の場合は廃棄物事業所が回収し、一般ごみとして焼却処分する。
同事業所は今回の対応について「事前に飼い猫との情報がなく、箱の中を確認しなかった」と釈明。今後は「死骸発見者からペットかどうかきちんと聞き取る」とする一方、「箱や袋に入っている場合は中身までは確認しない」と、基本的な対応は変えない方針だ。
札幌市などでは委託業者が路上の動物の死骸を回収する際、形状や首輪の有無などを確認して記録するため、こうしたミスは防げる。箱や袋に入っていても内部を確認することにしており、帯広市も市職員が同様の確認作業をするため「即日処分することはない」(環境事業部)という。
男性はこれまでも、飼い猫が死んだ際は火葬して遺骨を自宅の庭に埋めており、今回は「かわいそうなことをした」と悔やむ。調停を申し立てた理由については「箱の中を少し見ればペットと分かったはず。動物愛護が叫ばれる中で謝罪もなく、今後も改善しないのはおかしい」と小樽市の対応を批判している。(竹中達哉)