多くのペットも犠牲になった東日本大震災を教訓に、動物との共生を考えるイベントが11日、佐賀市で開かれた。避難所に連れて行けずに命を落とした犬や猫の絵を被災地で描き続けてきた絵本作家のうさ氏らが講演した。「今でもペットの死を受け止められない人がいる」と、災害時にペット同伴で避難できる仕組みづくりを訴えた。
うさ氏は、津波で凍死したり、震災後にストレスで食欲を失い、20年間連れ添った犬が衰弱死した経験を持つ飼い主の証言や手紙を紹介した。「避難所にペットを連れて行ってはいけないと思って家に残り、亡くなった住民もいた」と被災地の現状を語った。
実際に避難所でペット同伴を断られたケースもあったとし、「人出が足りず、人間優先になってしまった」と要因を推測。環境省が昨年、大災害時にペット同伴で避難できるよう、自治体の態勢づくりを促す指針を策定したことに触れ、「人間と動物の命は切り離せない。皆さんの力でペットも守れる町にして」と呼び掛けた。
イベントは動物愛護の市民団体「ハーモニアスハート」と佐賀市が主催。うさ氏ら約100人の作家や画家が各地で開いている「震災で消えた小さな命展」などもあった。