飼育放棄などで県内行政機関に収容され、引き取り手が見つからずに殺処分される犬と猫が後を絶たない。県の統計によると、2012年度の収容総数は前年度に比べて485頭増えて7728頭(犬・3451、猫・4277)。殺処分数は342頭多い6604頭(犬・2513、猫・4091)で、2年ぶりに増えた。大型連休中は行楽地などで犬猫の置き去りが増え、希少野生生物への脅威にもなるとして、動物愛護団体、自然保護団体とも「責任を持って飼育してほしい」と呼び掛けている。
県内の状況を見ると、最近では新たな飼い主への譲渡が増えるなど改善点は見られるものの、依然として収容総数が多く、全体の約85%が殺処分されている実態がある。
中でも猫は深刻で、収容数、殺処分数とも横ばいの状況が続く。「放し飼い」の習慣や、避妊、去勢を実施していないことなどが要因とされ、県動物愛護管理センターの新里武則所長は、「こうした現状への問題意識と、最期までみとる責任を持ってペットと向き合ってほしい」と訴える。
一方、毎年大型連休中には、本島北部などの行楽地で犬や猫の置き去りが増え、ヤンバルクイナなど希少野生生物への脅威になるとの懸念もある。
NPO法人どうぶつたちの病院沖縄の長嶺隆理事長によると、野生化した犬や猫によるヤンバルクイナの被害が近年増加しているという。13年の調べでは、死亡または負傷した要因の約2割を「犬や猫による捕食被害」が占めた。
長嶺理事長は「希少野生生物保護にやんばるの地域をはじめ、関係者らが奮闘しているが、外から持ってこられたら元も子もない。やんばるの自然を残すという次世代への責任も自覚してほしい」と強調した。
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