◇神石高原のNPO/収容施設 整備、譲渡先増加めざす
犬の殺処分ゼロに取り組んでいるNPO法人「ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)」(神石高原町)は、4月から県内で殺処分の対象となった犬全頭の引き取りを始める。県動物愛護センター(三原市)などから保護した犬はしつけを行うなどし、引き取り先を見つけていくという。(松浦彩)
県内では、同センターと、広島、福山、呉各市の収容施設が犬や猫などを引き取り、譲渡先などが見つからない場合、殺処分しているという。
県によると、殺処分された犬は2010年度が2705頭、11年度が2342頭、12年度は2229頭、13年度は1682頭、14年度が1292頭と年々減少。15年度は4〜12月で566頭(速報値)だった。
こうしたなか、PWJは13年4月から殺処分ゼロなどのプロジェクトに取り組み、同9月に1000日で県内の犬の殺処分をゼロにする計画をスタート。処分の対象となった犬を引き取り、譲渡先を見つけるなどしてきた。
全頭引き取りに向け、PWJは現在、神石高原町内に計400頭を収容できる施設4棟を建設中で、犬舎には診療所やトリミングスペースも備える。1棟は4月中に、残り3棟も6月中に完成する予定という。
10年11月から先月までに567頭を保護し、このうち293頭を譲渡・返還。15年の譲渡・返還率は57・5%に上った。PWJは「引き受けた犬のうち約半数を譲渡できれば、当面の引き取り活動は可能」としている。
PWJは14年、広島市内と神奈川県内に譲渡センターを開設。さらに引き取り先を増やそうと、同県内で同様のセンターを設立することを検討している。一方、訓練などを実施し、災害救助犬として活躍する夢之丞ゆめのすけのように、保護した犬を社会に役立つ犬に育てることも考えているという。
県庁(広島市中区)で30日に記者会見したPWJの大西健丞・代表理事は「これで(殺処分が)ゼロになるということではない。今日から、ゼロを維持する挑戦が始まった」と強調。殺処分ゼロなどのプロジェクトリーダー・大西純子さんは「保護した犬をペットとして引き取ってもらえるようアピールしていきたい」と話した。
2016年03月31日 Copyright c The Yomiuri Shimbun