ヘルスプレス空前の猫ブームらしい。だが、以前からその魅力の虜になっている人からしたら、「何を今さら」であろう。
むしろ、ブリーダーが儲け時ととらえて、繁殖を急ぐことのほうに危惧を覚える人も多い。
繁殖させた人気の純血種の猫は、ペットショップなどを通じて販売されることになるが、なかにはブリーダー自身が「猫カフェ」を経営し、直接販売するケースもある。
先月、劣悪な環境で営業していた東京都墨田区の猫カフェ「ねこのて」が、動物愛護法に基づき、30日間の業務停止を命じられた。この店も、ブリーダーがオーナーだった。
繁殖させすぎて6畳に62匹!?
「ねこのて」が虐待を行なっているとの通報は、昨年より寄せられていたという。ニュース・情報番組『みんなのニュース』(フジテレビ系)の潜入取材では、雑居ビル内の6畳ほどのスペースに、62匹もの猫を展示していたという。
猫がひしめきあう状態。本来、猫は単独行動する動物で、犬のようにリーダーに従って群れで生活する習性はもっていない。たとえ狭くても、ひとりで過ごすスペースが必要だ。
初めて猫を飼う人のためのガイド本には「1頭あたり1部屋以上確保したい」と記載されている。ひしめき合う状態が、いかにストレスだったかわかるだろう。
さらにこの店では、猫7割が特有の風邪にかかっていたという。この密集した飼育環境で、1匹が感染したらひとたまりもない。
東京都福祉保健局は、いきなり業務停止を命令したわけではない。度重なる苦情を受け、昨年7〜12月に10回の立ち入り調査を行い、同店を繰り返し「指導」してきた。
ところが改善が見られず、今年1月に「飼育頭数の適正化、動物の適正な管理、飼養環境の改善」などについて、2月6日までに改善するように「勧告」。それでも改善が見られず、今度は「命令」を出したがそれでもダメ。
そして、4月21日から30日間の営業停止を命じた。全国初である。
猫カフェ、里親を探す
今や全国で200軒以上が営業する猫カフェ。自宅で飼えないとも、猫にふれあい癒やされたい。足しげく通う愛猫家のそんな思いを裏切る業者に限って、WEBサイトには愛らしい猫の姿があふれる……。
だが、対極の「保護猫カフェ」の存在を知っているだろうか。
NPO法人「東京キャットガーディアン」は2008年、保護した猫の譲渡会場として開放型シェルターを猫カフェとして立ち上げた。全国初の試みだ。
里親希望者と猫とのお見合いの場所としての猫カフェ。入場料金は設定していないが、入室には寄付が必要となる。寄付金は保護猫の食事やトイレの砂、薬代などに当てられる。
大塚と西国分寺、そして蒲田にシェルターと保護猫カフェのある同法人は、2014年までに譲渡数4000頭を超えた。殺処分となる運命だった、猫4000匹の命を救ったのだ。
ほかにも、動物病院が運営する「hako bu neko」「猫の家」「しらさぎカフェ」、岐阜・大阪・東京で展開する「ネコリパブリック」、神奈川県3店舗の譲渡型猫カフェ「にゃんくる」などが活動している。
保護した猫の幸せが最優先ゆえ、カフェでは「大声を出さない」「ムリヤリ抱っこはNG」「尻尾はつかまない」「未就学児はお断り(あるいは保護者同伴)」などの注意事項が多いのも特徴だ。
そして、誰もが気軽に猫をもらえると思ったら大間違い。里親になるには、飼育可能な環境、養うための経済能力、同居者の同意、終生飼育するつもりがあるかなどを求めるカフェが多い。
何度もスタッフと面談する場合もある。それは、再び捨てられたり、転売されたり、虐待されたりすることを防ぐために必要だからだ。ワクチン代や避妊・去勢費用の経費が発生する保護猫カフェもある。
環境省は先頃、猫カフェ業者からの「猫は夜行性なのでストレスが少ないから20時以降の営業を認めてほしい」という要望を受け、営業時間を22時まで認めることを発表した。
猫に癒やされたい人は、できればそんな保護猫カフェを選んでほしい。あなたのそのチョイスが、猫の幸せを支えることになる。
(文=編集部)
posted by しっぽ@にゅうす at 06:47
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