エキサイト日本の人口減少と高齢化が進む中、犬・猫の飼育頭数は年々減少している。しかし、獣医療の進歩やフードの高品質化などによりペットの寿命が伸び、人間同様、高齢化が進んでいる。ペット(犬・猫)の寿命は2011年と比較すると、犬は1.0歳、猫は1.4歳伸びているのだ。マーケティングリサーチ会社のシタシオンジャパンが今年、「ペットの健康管理とフードの安心・安全に関する意識調査」を実施。この調査は、東京大学大学院農学生命科学研究科の日下部守昭特任教授による監修の下、全国1236名の犬・猫オーナー(20代〜70代以上の各年代206名ずつ)を対象にしたオンライン調査結果をまとめたものだ。
■ペットの高齢期は「10歳から」との回答が多数
今回の調査の結果、犬のオーナーの60.8%、猫のオーナーの55.0%(どちらも多頭飼いの数字も含む)が高齢期(7歳以上)のペットを飼っていることが確認された。「犬・猫は何歳から高齢期に入る(入った)と思っているか」と聞いたところ、「10歳から」と答えたペットオーナーが28.3%と最も多く、一般的に言われる「6〜8歳」を高齢期に入る基準年齢とした場合、ペットオーナーの52.7%が、ペットの高齢期の基準年齢について誤った認識を持っていることがわかった。
■ペットの加齢や体型変化に合わせ、多くのペットオーナーが「ペットフードの種類や量を変化させている」と回答
ペットオーナーの94.3%が、「ペットの加齢に応じて与えるペットフードの種類を変える必要がある」と回答。
実際に、ペットの年齢に合わせて変えていることとして「与えるペットフードの種類」のスコアが70.5%で最も高く、次いで「与えるペットフードの量」が55.5%という結果が出ている。しかしながら、ペットのライフステージによって必要な栄養が異なることを、46.3%のペットオーナーが「知らない」と回答している。
また、ペットの肥満防止など体型管理への意識も高まっており、85.0%のペットオーナーがペットの体型変化を日頃から気にかけていた。ペットの肥満・痩せ対策としては「ペットフードの量の見直し」が56.1%で最も多く、「ペットフードの種類の見直し」(32.4%)、「おやつの量の見直し」(28.5%)と続く結果となった。ペットの加齢や体型変化への対策として、多くのペットオーナーがペットフードを重視している様子がうかがえる。
これらの結果を受け、今回の調査結果の監修を担当している日下部氏は次のようにコメントしている。
「飼い主さんにとって家族の一員であるペットが健康で長生きするためには、飼い主さんが日ごろからペットの年齢に合った健康管理の意識を持つことが重要です。例えば、年齢に合わせた毎日の食事量や食欲、生活環境における精神的ストレスがペットの健康にどのような影響を与えているのかをよく観察して正しく理解して対処してあげることが大切です。そのため飼い主さんは、健康管理の正しい方法を身に付けることが求められます。
飼い主さんが日常から簡単にできることとしては、定期的な体重測定や被毛、眼、耳、鼻や歯の状態の視認チェックなどがあります。
最近では、スマートフォンで手軽に動画を撮影できるので、色々な時期に歩行やペットの動きなどを録画しておけば、ペットが年を重ねるごとにそれらに変化がないか比較することで、眼に見えない異常を見つけることもできると思います。ペットも人と同じ様に、肥満などにならないように食事の管理が大切です。特に高齢期のペットには、高齢により足りなくなる栄養素を補えるフード、また消化能力も衰えるため、消化の良いフードを与えることが大切です」
■ペットオーナーの38.8%が、半年に1回以上の割合でペットを健康診断へ連れて行く
人間同様、年齢を重ねるにつれて重要となる健康診断を、38.8%のペットオーナーが半年に1回以上のペースで受診させている一方で、35.9%のペットオーナーが、「定期的には行かない」または「全く行かない/行ったことがない」と回答した。ペットを健康診断へ連れて行かない理由としては、「健康診断の料金が高いから」が42.3%で最多。またペットの健康状態について、89.2%のペットオーナーが「自分のペットは健康だと思う」と回答し、健康のリスクが高くなる高齢期(7歳以上)のペットの飼い主でも84.2%が、「自身のペットは健康だと思う」と回答している。
「ペットを健康診断に連れて行く傾向は、定期的に健康診断に連れていく飼い主とまったく連れて行かない飼い主で、2極化状態にあるようです。定期的に健康診断に行かない第一の理由が、お金が高いからというのは、否めない事実でしょう。人間ドックのように高度な技術を駆使したペットの定期健康診断は、大きな疾病がない限り必要ないと思います。
しかし、ほとんどの飼い主さんが、ペットの健康を気にしている以上、日常の健康管理と健康相談など専門家である獣医師に意見を聞くことは必要かと思います。その獣医師の意見は大変重要であり、飼い主さんに安心を与えてくれます。問診、相談、簡単な血液検査だけでなく、 健康を担保できる有効な検査を定期的に受けてもらうことは大切です。従って獣医師の皆様には、高価であるがゆえに敬遠されない健康管理システムの構築とその提供を望むところです。特にペットの年齢に適した健康管理を行うためには、大変重要なことであると考えています」
■ペットオーナーのほぼ全員が、ペットフードはペットの健康に影響すると思っている
97.3%のペットオーナーが、「ペットフードはペットの健康に影響する」と回答しており、ペットの健康にとって毎日の食事となるペットフードが重要と認識している。また、ペットオーナーの71.1%が、ペットフードの選択基準として「フードの安心・安全」を重視するとしており、「安心・安全」は、人の食品と同様に、ペットフードに関しても重要なファクターになっている。
ペットフードの安心・安全を判断するものとして、「原材料」(63.3%)、「成分規格」(61.7%)、「原産国」(59.2%)、「メーカー/ブランド」(53.6%)、「含まれている栄養素」(49.7%) が上位の回答としてあがっている。
■ペットフードの安心・安全に関して信頼性の高い情報源は、「獣医師」と「ペットフードメーカーのホームページ」
「フードの安心・安全」の重要性は理解しつつも、ペットフードの安全性確保として平成21年に施行された「ペットフード安全法」については、57.8%のペットオーナーが「全く知らない」と回答。そうしたペットオーナーにとって重要な、ペットフードが安心・安全かどうかを調べる情報源としては、「獣医師」(44.9%)と「ペットフードメーカーのホームページ」(42.4%)が上位を占めた。
一方で、40.4%のペットオーナーが、ペットフードメーカーは安心・安全な製品を開発・販売するための取り組みについて「情報開示・発信を十分にしていない」と回答。ペットフードの安心・安全に関してメーカーに公開してもらいたい情報として「原材料の安全検査方法」(27.7%)、「原材料の原産国」(25.7%)、「原材料の選択基準」(15.1%)が上位にあがった。ペットオーナーにとって「フードの安心・安全」は「原材料の安全性」という認識の傾向がうかがえる。
ペットフードの安心・安全に関して、日下部氏は次のように述べている。
「ペットにとって毎日の主食となるペットフードは、ペットの健康に大きな影響を与えます。したがいまして、飼い主さんが行う日常のペットの健康管理で最も大切なことは、適切な栄養バランスのペットフード、安全なペットフードを与えることに尽きると思います。そのため多くの飼い主さんは、獣医師やペットフードメーカーのホームページなどから信頼できる情報を得て、フードを購入してペットに与えておられるようです。
結果として、ペットフードメーカーは安全で良質なフード製品を提供することはもちろん、消費者に対し、ペットフード原材料の安全検査方法などの安心・安全に関する情報をきちんと開示していくこと、また獣医師は、専門家としてペットの健康を左右するペットフードの情報を飼い主さんに中立の立場で提供することが、今後ますます求められていくと思います」
そして今回の調査結果を通して、日下部氏は以下のように総括する。
「昨今の少子・高齢化の影響で、犬、猫などのペットは飼い主にとって家族同然の存在、『コンパニオンアニマル』(家族の一員)として捉える考え方が浸透してきており、少しでも長くペットと一緒の生活を楽しみたいと考える飼い主さんが増えています。この社会変化を背景に、ペットの健康維持にはドッグドック(人間ドックのペット版)や健診センターの普及など、ペットに対する健康意識の高まりの受け皿となるべき健康管理プラットフォームの充実を求める声が高まってきています。
また今回の調査結果から、ペットフードの安心・安全についても、正しいフード選びの際の判断基準となる情報源は、拡散力や影響力の高いSNSや口コミでの情報よりも、獣医師の推薦やフードメーカー公式Webページの掲載情報を拠り所にしている割合が大きかったことから、専門性の高い情報発信元により安心感・信頼感を求めている傾向が強く見られました。
さらに調査結果からペットフードはペットの健康管理に欠かせないと認識している飼い主さんが97.3%にも上ることからも、ペットの健康維持と安心・安全に基づいたフード選びの関連性はかなり強まっていると考えられます。今後のペットの健康を議論していくうえで、一日でも早く、健全な生活の基盤となるペットの健康管理プラットフォームが充実されることを期待しております」
【調査概要】
調査方法:インターネット調査
調査地域:全国
調査対象:20代〜70代以上の犬・猫ペットオーナー1236名
調査実施期間:2016年6月10日〜6月11日
文/編集部
posted by しっぽ@にゅうす at 07:59
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