捨てられた動物を一時保護するシェルターを建設すると持ち掛けて女性から現金を騙し取ったとして、61歳の男が逮捕されました。猫好きの女性の善意を踏みにじる行為にMBSが独自直撃です。
能登半島の付け根、石川県七尾市。27日午後、山あいにある一軒の住宅を大阪府警の捜査員が訪れました。まもなくすると…
「大阪府警の捜査員に連れられ、男が出てきました」(志甫共美記者リポート)
会社員の尾崎恒孝容疑者(61)。4年前、大阪の女性から現金180万円を騙し取った詐欺の疑いがもたれています。尾崎容疑者が持ちかけた詐欺話というのが「動物シェルター」です。
3年前の取材で、越野美枝子さんは尾崎容疑者に騙されたといい、捨てられた動物を一時保護する「動物シェルター」の建設予定地として家屋付きの土地を850万円で購入していました。しかし待てど暮らせど計画は進まず、草木は伸びっぱなしに。
「全部で土地代も入れたら3000万円くらいいってます。(お金は)戻って来ないですね」(越野美枝子さん・2015年4月)
越野さんの部屋にはけがをした野良猫などが20匹以上。越野さんは、猫の保護活動を行ってきたこともあって、尾崎容疑者に賛同したといいます。加えて、尾崎容疑者が実在する公益財団法人「日本財団」から助成があると説明したことで、信用を強めたといいます。
「自分の先輩が日本財団のOBなんや。日本財団にすぐに言えば、助成金が出るから大丈夫と言われた」(越野美枝子さん・2015年4月)
ところが、日本財団は取材に対し「一切関係ありません」と回答しました。いったいどういうことなのか。3年前、MBSが尾崎容疑者を直撃すると…
Q.動物シェルターの件でお話をお聞きしたいのですが?
「はい、答えるあれはないです。全然」
Q.(越野さんが出資した)3000万円は戻ってくるんですか?
「・・・」
Q.日本財団からの助成金はどうなっているんですか?
「・・・」
何も答えませんでした。
そして27日、逮捕直前にあらためて記者が問いかけましたが…
Q.最初から騙すつもりだったんですか?
「・・・」
Q.お金は何に使ったんですか?
「・・・」
Q.そもそも動物シェルターを作るつもりなかったんですか?
「・・・」
問いかけに無言を貫いた尾崎容疑者。警察の調べに対し、「日本財団から助成金が出ると嘘をつきました」と認めているということですが、警察は動物シェルターの建設計画自体が架空だったとみています。逮捕を受けて、あらためて越野さんを訪ねました。
Q.善意の気持ちを利用されたことについて?
「本当に猫が好きで…その気持ちを利用されたっていうのは…悔しくて仕方がないですね」(越野美枝子さん)
捨てられた猫たちを救いたい、切なる願いはまだ叶っていません。
※尾崎恒孝容疑者の崎は「たつさき」