動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2018年01月10日

広がる「猫ブーム」に潜む危うさとは?

読売新聞


今年は戌年。しかし世間では犬ブームは下火になり、今度はじわじわ「猫ブーム」が広がっている。テレビやインターネット上では頻繁に猫の特集が組まれたり、猫の動画や写真が投稿されたりして、ブームは過熱ぎみだ。その経済効果の大きさから「ネコノミクス」という造語まで登場した。しかし、その裏で猫の命を軽く扱う業者が 跋扈 ばっこ するなどの「危うさ」も指摘されている。業界全体に詳しいペットジャーナリストの阪根美果さんが詳しく解説する。
ついに飼育頭数で犬を抜く!
写真はイメージです
写真はイメージです

 一般社団法人ペットフード協会が2017年12月に発表した同年の犬猫飼育実態調査によると、飼い主へのインターネットアンケートや、ペットフードの販売量などいくつかのデータから推定した国内の猫の推定飼育数は、前年から21万7000匹増えて952万6000匹になりました。一方、犬は43万6000匹減の892万匹で、1994年の調査開始以来、初めて猫が犬を上回ったのです。

 同協会の調査結果ではここ数年、猫の飼育数は横ばいか微増で推移しています。しかし、協会は猫の場合は主に屋外に出して飼っている「外猫」の数は含まないとしており、その数は相当数いると見られます。

 さらに、画像共有型のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)・インスタグラムのハッシュタグは同年12月下旬時点で「#犬」約954万件、「#いぬ」205万件に対し、「#猫」は約1836万件、「#ねこ」は約1388万件にのぼります。運営元の米フェイスブック社が発表した「17年に日本で人気があったハッシュタグ」でも「#猫」「#ねこ」がトップでした。グーグルの検索件数も、日本語では「猫」が「犬」を圧倒しています。

 このような状況からも「犬ブーム」に代わって「猫ブーム」がじわりと広がっていることがわかります。


 「猫は散歩させる必要がなく、飼育の手間がかからない」


 「犬に比べて飼育費が少ない」


 「狭い住宅環境でも飼える」


 こういった理由からも猫を選ぶ飼い主も多いようです。


 昔は猫を飼うきっかけと言えば、「捨て猫を拾ってきた」「近所の家で生まれた子猫をもらってきた」というのが”定番”でした。しかし、ブームによって、高価な純血種の子猫を購入する愛猫家も増えてきました。

ブームの裏に潜む闇…
 最近、動物をテーマにしたテレビ番組などでは、よく純血種などの子猫を紹介するコーナーを見かけるようになりました。メディアは猫の「かわいさ」を強く押し出します。出演する子猫は、ペットショップや繁殖業者、ブリーダーなどから店名やキャッテリー(猫舎)の名前を掲載することを条件に借りるのです。

 もちろん、ペットショップやブリーダーなどにとっても、コストを抑えて露出度を上げることができれば有益です。人気タレントが「かわいい!」と言えば、猫を飼いたいと思う人が増え、ブームが広がります。そして、インターネット、SNS上にもかわいらしい猫の動画や写真がどんどんアップされるようになり、さらにブームが過熱していくのです。

 今では、ページビュー(ウェブサイトの閲覧回数=PV)が伸びるからと、通常のニュースとは別に、頻繁に猫の写真や動画を配信するネットメディアもあるほどです。

 しかし、こうしたブームを作り出すことによって生じる危険があるのです。

「犬ブーム」のその後…
 ペット界では、過去に「大型犬ブーム」や、CMに出演したチワワやダックスフント、柴犬しばいぬなどの特定の犬種のブームが起こりました。一方で、一部の業者やブリーダーは、「人気の犬種が高値で取り引きできるうちに」と過剰繁殖を行ったのです。

 そして、ブームが終息すると、これらの犬に飽きてしまう飼い主が増えてしまいました。そして、捨てられたシベリアンハスキーが野犬化して問題となったほか、多くのチワワやポメラニアンなどが動物愛護センターなどの施設に保護され、新たな飼い主を待つことになりました。

スコティッシュフォールドの折れた耳は軟骨の形成異常によるものだ
スコティッシュフォールドの折れた耳は軟骨の形成異常によるものだ
 利益だけを追求する業者やブリーダー、そして、安易に飼い始めた飼い主によって、多くの犬たちが捨てられるという不幸な道をたどることになったのです。ブリーダーが犬から猫に「乗り換える」ケースも増えています。現在の猫ブームも、同じような道をたどる恐れがあるのでは、と筆者は危惧しています。

人気の猫、折れた耳は「異常」
 あるCMに出て話題となったスコティッシュフォールドがまさにその典型例です。人気の猫種としてメディアでも紹介され、多くの人に飼われています。

 ただ、スコティッシュフォールドの人気の理由の一つである「折れた耳」は、実はもともと軟骨の形成異常(骨軟骨異形成症)によるものとされています。

 「特に折れた耳の猫同士を交配させて生まれた子猫は、耳以外の骨や軟骨にも重度の異常が見られることも多く、歩行困難になる可能性もあります」と、さいたま博通り動物病院(埼玉県熊谷市)の高野宜彦院長は警鐘を鳴らします。しかし、折れた耳のスコティッシュフォールドは高く売れるため、利益だけを追求する繁殖業者らの中では、危険を承知であえて「折れ耳」同士を交配させるケースもあると言います。

 このように業者による過剰繁殖や、知識や経験に乏しい「にわかブリーダー」による繁殖も増えているのが実情です。しかし、ブームが去った後、猫たちはどうなるのでしょうか。実は早くも一部の買主は飽きてしまったようで、すでに雑種の猫だけでなく、購入するケースが多い純血種の猫まで捨てられ始めています。つまり、今後は犬と同じ道をたどる恐れがあるのです。

 また、犬に比べ多頭飼育が容易な猫は、「かわいいから」と不十分な知識で、去勢・避妊をしないまま、安易にオス猫とメス猫を飼い始める人も多いのです。すると、どんどん数が増えて、やがて飼いきれなくなる「多頭飼育崩壊」を起こす恐れもあります。それが捨て猫を増やす一因となり、近年、大きな問題となりつつあります。

子猫の価格高騰に潜む「 罠 わな 」
ペットショップで飼い主を待つ猫(写真はイメージです)
ペットショップで飼い主を待つ猫(写真はイメージです)
 ペットショップの店舗やインターネット通販サイトを見ると、子猫の価格の高さには驚きます。一部の猫種ではブームになる前の4〜5年前と比べ2倍以上に跳ね上がっているケースも見受けられます。

 珍しい猫種や、キャットショーなどでチャンピオンになった猫が産んだ子猫ともなれば100万円近くになるケースもあるようです。

 しかしながら気を付けたいのは、高価だからといって、その猫の健康が保証されているわけではないということです。

 子猫の健康は、「飼育環境」「親猫の健康」「親猫の遺伝的疾患に対する対応」「血統を考えた繁殖」など様々な要素によって大きく変わるのです。

 清潔でストレスのない環境で育っているか。親猫は健康で、遺伝的疾患に対する検査をクリアしているか、近親交配ではないかなど、チェックすべき重要項目はたくさんあります。

 価格は高くても、悪質な繁殖業者やブリーダーが繁殖させ、劣悪な飼育環境で育ってきた子猫もいるかもしれません。両親が遺伝的疾患の遺伝子を持っていれば、それを引き継ぐ確率も当然高まります。

 子猫を購入する場合は、生まれてきた環境などをしっかりと確認できることを条件に購入すべきだと思います。そうすることで、健康な子猫を家族に迎えられる確率も高まります。知識や経験が豊富で、質問にもしっかりと答え、親猫や飼育環境も見せてくれる店舗やブリーダーを選びましょう。

発情期を「悪用」する業者
 猫ブームの背景には、交配可能な「発情期」が猫に多いこともあります。

 成熟したメス猫の発情には、日照時間が大きく関係しています。特に日照時間が延び始める1月から、9月ごろにかけ発情が増えて繁殖期となり、この時期に多くの子猫を産みます。

 しかし、年間を通して人為的に照明の光を長時間浴びさせると、何度も発情が起こってしまうことがあるのです。発情したメス猫は、オス猫と交配した刺激で排卵します。

 優良ブリーダーはメス猫の体を思いやり、年に1回程度の繁殖にとどめます。ところが、利益だけを追う繁殖業者やブリーダーは先述の猫の性質を「悪用」し、人工的に照明を長く浴びせて年に何度も繁殖させているのです。人気の猫種は「高値で売れるうちに」と繁殖の回数を増やされ、体にも負担がかかりボロボロになっています。 

 妊娠すると約2か月で子猫が生まれます。子猫は生後1か月で乳離れしますが、子育て中にも照明を浴びせられ、再び発情期を迎えるメス猫もいます。繰り返せば、最多で年に4回もの出産が可能といわれます。

 親猫にとってはケージに閉じ込められたまま、ただ、子猫を産むだけの日々……ブームがこのような事態に拍車をかけていると筆者は考えています。そして、子猫の健康も親猫の健康状態に大きく左右されます。親猫の健康を考えずに繁殖を続ければ、必ずどこかに「しわ寄せ」がくるはずです。利己的な繁殖はやめるべきだと思います。

遺伝的疾患が受け継がれる危険性
写真はイメージです
写真はイメージです
 猫の遺伝的疾患検査は、数年前までは海外の機関や会社に直接依頼するしかありませんでした。現在は、日本にも疾患検査を海外の検査機関と提携して行う企業も増えてきました。

 ただし、検査ができるのは疾患の「原因遺伝子」が特定できている一部の猫種のみ。現時点で遺伝的疾患の検査ができない猫種については、他の検査方法を使って、できる限り疾患の「継承」を防ぐしかありません。

 検査が難しい疾患については、獣医と相談しながら対処すべきです。それで病気を100パーセント防げるわけではありませんが、繁殖に携わる人は不幸な子猫が生まれないように努力を惜しむべきではないのです。

 ですが、実際に遺伝的疾患などの検査は、すべての繁殖業者・ブリーダーが依頼しているわけではありません。疾患に対する意識が低く、何の対策もとっていない業者やブリーダーもみられます。

 ブームが過熱すれば過剰繁殖が行われ、疾患を抱えた子猫がますます増えていきます。疾患の兆候は、個体差はあるものの、生後3〜4か月を過ぎた頃から徐々に表れ始めます。悲しい事実ですが、飼い主が子猫を家に迎えた後になって、初めてわかることが多いのです。

 繁殖に携わることは「命」を扱うことです。その責任の重さを常に心に留めて、「健全」であることを追求していくべきです。

「引き取り屋」増加の問題
「引き取り屋」の小さなケージの中に閉じ込められた犬。今後、猫も増える可能性がある(公益財団法人 動物環境・福祉協会Eva提供)
「引き取り屋」の小さなケージの中に閉じ込められた犬。今後、猫も増える可能性がある(公益財団法人 動物環境・福祉協会Eva提供)
 引き取り屋とは、ペットショップなどから、売れ残るなどして「不要」になった犬や猫を引き取り、死ぬまで飼育し続けるビジネスです。

 料金を受け取り、引き取った犬や猫に安価な餌を与え、ほとんど健康管理もせず、排泄物も十分に掃除しないままの小さなケージの中に、息絶えるまで押し込め続けるケースもあるのです。

 これまでも引き取り屋の問題が指摘されることはありましたが、13年の「改正動物愛護法」の施行以降、ますます増加しているようです。改正法で、愛護センターや保健所などの公的施設で犬や猫などの引き取りを拒否できるようになり、引き取り屋増加の要因とみられています。そして、ブームに乗じた過剰繁殖で引き取り屋のニーズも増え、ますます動きに拍車がかかってきたのです。

 今は「ブーム」が一段落した犬が引き取られるケースが多いようです。しかし、今後は猫が増える可能性も十分あります。命を無責任に扱う業者に犬や猫を渡す流れは、早急に断ち切る必要があります。

政府が規制強化を検討
 引き取り屋は全国各地に点在しているとみられています。それだけでなく、繁殖・販売の現場の飼育環境も動物愛護法などを所管する環境省は問題視しており、犬猫のケージの大きさに一定の規模を求めるなどの規制を検討しています。実現すれば、引き取り屋も含め、利益だけを追求する繁殖業者やブリーダー、ペットショップの経営が立ちゆかなくなる可能性もあります。

 しかし、それ以前に繁殖や販売に携わる人の資質こそ重要です。これまでにも述べたとおり、ペットに関するビジネスはむやみに利益を追求すべきではない、と筆者は考えています。ペットの幸せを真剣に考えられる、責任感と優しさを兼ね備えた人たちに正しい知識を学んでもらう場を作り、働いてもらうべきだと思います。

 そして飼い主の側も、価格に左右されることなく健全な環境に生まれ育ったことを確認したうえ、いったん家庭に迎え入れたら最大限の愛情を注ぎ、命に責任を持つべきです。飼うことを検討している人は、少し立ち止まって「生涯にわたって愛情を注ぎ続けられるのか」を、今一度自問自答しましょう。それが、飼い主にとっても、ペットにとっても幸せな時間を過ごすために必要なことなのです。

posted by しっぽ@にゅうす at 08:21 | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

増える老老介護、「老犬ホーム」に業界団体

東洋経済オンライン


飼い主が世話をできなくなった老犬などを預かる施設の初の業界団体「老犬ホーム協会」(仮称)が、2月に設立される。


人間も犬も長寿になり、高齢者が老犬を介護する「老老介護」が増え、施設の需要が高まっている。協会では飼育環境などのルールを定め、飼育の質を担保する役割を果たしたい考えだ。

協会を設立するのは、熊本県菊池市の「老犬ホーム トップ」、東京都大田区の「東京ペットホーム」など5都府県6施設。2月6日に設立総会を開き、代表には「トップ」社長の緒方心(こころ)さん(41)が就く。


老犬ホームは、犬が認知症になったり、飼い主の体力が衰え世話をできなくなったりした際に利用される。住宅地や郊外にあり、預かる犬は10匹前後から100匹を超える施設もある。死ぬまで面倒を見る「一生預かり」サービスもある。

この3〜4年で急増し、現在、全国に150施設前後あるとみられる。増加の背景には、飼い犬の高齢化がある。須田動物病院(東京都日野市)の独自調査では、1980年の飼い犬の平均寿命は3.7歳だったが、2017年は14.7歳まで延びた。ペットフードの普及による栄養バランスの向上や動物医療の進歩などが理由だ。

一方、施設の関係者によると、介護の対応の悪さや面会拒否などのトラブルも起きている。施設の増加に伴い、狭いスペースや不衛生な環境で飼育するなどの問題も懸念されている。

協会は会員施設に対し、法人格の取得や基準に沿った施設整備・人員確保などを義務づける。大地震などで被災した犬や猫の緊急避難所の役割も担う方針だ。

posted by しっぽ@にゅうす at 08:19 | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

犬収容数 20年で9割減 殺処分も大幅減

Yahoo! JAPAN


【石垣】八重山保健所に収容される犬の数が20年前に比べ、10分の1ほどまでに減少している。80%超だった殺処分率も、10%未満まで低下した。石垣島の犬がほぼ収容される同保健所。かつて「県内最悪レベル」(同保健所)だった状況が改善している。
 20年前の1998年の八重山保健所への収容数は1007匹で、うち834匹が殺処分された。その後収容・殺処分数は減少傾向をたどり、最新の統計がある2016年には収容数110匹、殺処分数は8匹にまで減少した。

 同保健所で収容できる犬の数は十数匹ほどのため、かつては数日で県動物愛護管理センター(南城市)に移送していたという。収容数が大きく減少した現在では、1カ月程度の収容も可能になった。保健所の担当者は「収容に余裕が生まれたため新たな飼い主を探せる期間も長くなり、殺処分数も減るという相乗効果が生まれている」と話す。改善の背景では「飼い主の意識の変化や、全国的な流れの中でペットショップでの購入ではなく『収容された犬をもらおう』という雰囲気があるのでは」と分析する。

 一方で、地域ボランティアの果たす役割も大きい。12年に発足した「石垣島しっぽの会」は、収容犬情報をSNSで発信したり、トリミングなどを施して収容犬の身なりを整えたりしてきた。飼い主に返還されたり、譲渡されたりしやすい環境をつくるためだ。

 同会の支援もあり、保健所に収容された犬の13年の返還率と譲渡率は合計66・2%で、12年の同35・9%から大幅に上昇。14年からは90%を超える。同会の犬戸あい代表は「取り組みをすれば、小さな島なので数年後には効果が出ると思う」と、今後さらに石垣島から不幸な犬が減っていくことに期待を寄せる。

 そのためには飼い主のモラル向上と避妊去勢手術の推進が必要だとした上で、「若いうちからモラルを身に付けてもらうため、今後は小中学生に向けに『命の授業』などをしていきたい。行政の助成があれば、避妊去勢手術をする飼い主も増えるのではないか」と語った。

琉球新報社

posted by しっぽ@にゅうす at 08:18 | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

離島から保護犬引き取り、新しい飼い主探し 大阪で「犬の合宿所」

離島から保護犬引き取り、新しい飼い主探し 大阪で「犬の合宿所」 Yahoo! JAPAN




posted by しっぽ@にゅうす at 08:17 | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「犬は家族」「AIBOも家族」老犬ホームに預けても、やっぱり「犬は家族」

Yahoo! JAPAN


現在、日本で飼育されている犬の数は約892万匹。家族の一員として、愛情を持って接している飼い主は多い。

AIBOのお医者さんとホームのワンちゃんはコチラ

犬は家族
「息子のような存在です。犬がいる生活っていいですよ」

 茨城県に住む40代の男性は愛犬の柴犬について語るとき、頬は緩みっぱなしだった。

 猫ブームに押されがちだが、犬派だって負けていない。

 日本レスキュー協会の今井雅子さんは話す。

「犬は家族であり、パートナーであり、時には先生にもなります。犬から教わることはたくさんあるんです」

 そんな人と犬との間で育まれてきた4つの“ワン”ダフルな話を紹介したい。

 前出の今井さんが所属する日本レスキュー協会では身体と心を癒すセラピー犬、被災地などで行方不明者を捜索する災害救助犬がそれぞれの役割を担い、活動している。

 セラピー犬は主に病院や福祉施設などを訪問し、利用者が撫でたり、触るだけでなく、ゲームなどで一緒に身体を動かしたりし、積極的に関わり合う。

「犬におやつをあげたい一心で不自由な手を頑張って動かした利用者や昔飼っていた犬のことを思い出し、話し始めた認知症の利用者もいました。犬と接することで機能回復や脳の活性化など、リハビリにもつながるんです」(今井さん)

 入院中の子どもたちの間では、「犬に会うためにつらい治療も頑張ろう」というモチベーションにもつながっている。

「犬は言葉を話しません。でも隣に寄り添うことで通じ合えるものがあるんじゃないでしょうか」(今井さん) 

 次に今井さんは災害救助犬について説明する。

AIBOだって家族
 災害救助犬は人間の息や体臭をかぎ分けて居場所を知らせる訓練などを受けており、災害現場での捜索活動が可能だという。災害救助犬と消防ががれきに人が閉じ込められた想定で捜索訓練を行った際、消防士は1時間かかったところ、犬は5分で発見したとの訓練結果もあった。

 昨年7月、九州北部豪雨の被災地にも派遣され、その後、今井さんのもとにはある被災女性から手紙が届いた。

《災害救助犬が一生懸命捜索をしている姿を見て、私も頑張ろうと思いました》

「犬たちはいつも行方不明者を探そうと頑張っているんです。それは何か見返りを求めているわけではありません。その背中を見て勇気づけられた人がいます」(今井さん)

 犬たちの姿は次に生きる命へとつながる。

 命は機械にも宿る。

「AIBOはロボットかもしれませんが、オーナー(持ち主)にとっては家族同然、生身の犬と人間の関係みたい」

 そう話すのは日本で唯一、AIBOの修理を請け負うA・FUNの乗松伸幸代表取締役。いうなれば『AIBOのお医者さん』だ。

 AIBOは1999年から2006年まで製造・販売されたソニー製の犬型ロボット。子犬に似た動作をし、相手をするほどよく動き、飼い主の顔も覚え、成長する。

 乗松氏はこれまで故障や不具合の出たAIBOを1000体以上“治療”してきた。

「“修理についていきたい”“元気になったら旅行に連れていきたい”“正月を一緒に過ごしたい”と話す人もいます。毎日一緒に過ごしているオーナーは私たちが見つけられない不具合や故障を発見することもあります」(乗松氏)

 “ロボット”というよりもペットや子どものような身近で、かけがえのない存在だ。

 ただし、さまざまな理由から手放す人もおり、それらは“献体”という形で提供され、その部品でほかのAIBOを修理、命をつなげる。

 今月にはクラウド機能やAIを搭載するなどした新型aiboも発売される。

「aiboは単なるおもちゃではありません。便利だから使う、使わないから捨てるのではなく、その接し方も今後の課題です」(乗松氏)

 AIBOが故障するように、生身の犬には老いが平等に訪れる。

茨城県つくば市にある老犬・老猫ホーム『ひまわり』。

老犬ホームに預けても家族
 ここには高齢犬や認知症、身体機能の低下から介護が必要になった約50匹が暮らす。飼い主の住まいは同市内から遠くは四国。頻度の高い人で週1回、愛犬に会いに来る。

 同ホームで犬たちの介護にあたる松下晴子マネージャーは、「面会のときは犬も飼い主さんもうれしそうですよ。おやつをたくさん持ってくる人もいます。認知症のワンちゃんでも飼い主のにおいは覚えており、“あっ”という表情を見せることもあるんです」

 幸せそうな光景の面会時間の裏側で、飼い主たちはそれぞれ葛藤を抱えている。

 老犬ホームに愛犬を預けたことで、“無責任”“捨てた”などと後ろ指をさされることもあり、飼い主はその負い目と向き合ってきた。

「“飼い始めたとき犬も自分も年をとることを考えていなかった”と話す高齢の飼い主は少なくありません。みなさん“最後まで飼う”という気持ちはあっても、そうできない現実があるんです」

 犬の介護がうまくいかなくなって精神的な疲れやストレスから体調を崩したり、介護離職をした人もいる。

「みなさんとても悩まれ大泣きしながら預けていきます」

 こうした背景には医療の向上や室内飼いで、犬の平均寿命が延びたことがある。人と犬の老々介護は現在進行形なのだ。

 一方、犬を預けた飼い主からは“ありがとう”と声をかけられることがあるという。

 ただし、犬の介護や老犬ホームは、まだまだネガティブなイメージがつきまとう。

「預けることは介護から解放されること、逃げ道があるということなんです」(松下さん)

 松下さんは、高齢で歩行困難になったダックスフントを抱きしめながら言う。

「犬の介護や高齢化は人間の社会の抱える問題と何ら変わりません。プロに頼んだり、距離を保てば無理なく犬ともいい関係を保っていけます」

 “ことば”はなくても確かに愛があふれていた。

posted by しっぽ@にゅうす at 08:16 | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする