動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2018年08月13日

夏に増える犬の事故3選!やっておきたい対策まで

ネタりか



夏に増える事故@熱中症
青空と顔を上げる犬

昨今の、この尋常じゃない暑さは何なのでしょう。
人間の私たちですらこんな状態ですから、地面の近くを歩いている犬たちはもっと暑いと感じているはずです。そして熱中症で命を落とす子がいるのも事実。外だけでなく、室内も注意が必要です。扇風機やエアコンが効いていない部屋や、窓を閉め切った部屋にお留守番をさせるのは、絶対にやめましょう。熱中症を助長するだけでなく、フードや水の温度も上がってしまいます。
飼い主さんは細心の注意を払わなければなりません。

犬が熱中症を引き起こす状況は3つあります。

✔部屋での留守番
✔車内などの風が通りにくい環境
✔昼間の暑い時間の散歩

熱中症にならないための対策
エアコンの設定温度は?

気温22℃、湿度60%と超えると、犬は熱中症の発症率が上がります。エアコンの温度は25〜27℃に設定しましょう。そんなに高くて大丈夫なの?もっと低い方がいいんじゃないの?と思われるかもしれませんが、あまりに低く設定してしまうと、外から帰ってきたときとの激しい気温差によって体調を崩してしまうかもしれません。犬種や毛の種類、年齢などによって異なりますが、犬が快適だと感じる温度は25〜27℃が最適だと思われます。また、除湿をすることで湿度を下げることも効果的です。

扇風機は?

犬には汗腺がないため、実は「風が涼しい」と感じることがないのです。そのため、エアコンの代わりに扇風機を使っても意味がありません。扇風機は、エアコンの風の循環のために使うと良いでしょう。

ハウスの場所は?

ハウスは風通しの良いところに配置しましょう。ハウスの下に、すのこなどを挟むことで下からも風が通るため、涼しく感じることできます。

散歩の時間は?

気温が比較的落ち着いている早朝か夕方以降がオススメです。地面のアスファルトの熱も比較的下がっているでしょう。

夏に増える事故A水難事故
水の中を泳ぐ犬

犬は基本的に泳ぎが得意な動物ですが、意外と多いのが水難事故です。海や川だけでなく、自宅のお風呂の浴槽に落ちて溺れてしまうというケースもあるので、油断できません。特にミニチュアダックスフンドなどの短足の犬種や、パグなどの鼻ぺちゃの犬種は、泳ぎがあまり得意でない傾向にあります。

水難事故に遭わないための対策
海や川ではどうすればいい?

海や水の流れは、予測ができないものです。見た目は穏やかに見えても、いざ入ってみると水の強さに驚くばかり。水遊びに夢中になって犬とはぐれてしまわないよう、常にそばにいて見張っておきましょう。はしゃぎすぎてるな、そろそろ疲れが見えるな、と思ったらすぐに呼び戻しましょう。

お風呂の浴槽で気を付けることは?

基本的に、お風呂のドアは常に閉めておきましょう。浴槽に水を張っている場合は、必ずフタをしてください。犬はいつお風呂場に忍び込むか分かりません。飼い主さんが気付かないうちに、浴槽に入っているかもしれません。特に小型犬は浴槽のふちに手が届かない可能性があります。十分に注意しましょう。

夏に増える事故B花火の音で脱走
犬と花火

人間にとって、花火は花火です。どのような存在か、どのような音が鳴るのか、どれくらいの音量なのか、人間は理解しています。しかし、犬は全く知りません。得体のしれないものから急に大きな音が鳴ったら、ビックリするのは自然のことです。パニックになって脱走し、そのまま迷子になってしまうこともあるのです。

花火の音で脱走しないための対策
そばにいてあげる

花火の音が鳴って、犬がパニックになっているとき、飼い主さんは毅然とした態度でいましょう。ここで飼い主さんも戸惑ったり焦ったりしてしまうと、犬にもその感情が伝わり、パニックが助長されてしまいます。何事もなかったかのように、いつものように優しく「大丈夫だよ」と声をかけてあげてください。

布や毛布などで包み込む

フィリピンの動物愛護団体が公表した、犬を落ち着かせる方法です。犬を布や毛布などで包み込むことで、精神的に安定するそうです。

そもそも花火を聞かせない

花火の大きな音で犬がパニックになる可能性があると分かっている場合は、花火が上がるであろう時間や場所に近づかないことが最善の策です。花火が上がる会場の近くに住んでいる場合は、窓を閉めて、オモチャなどで遊ぶことで気を紛らわすことも良いでしょう。特に、ふだんから大きな音が苦手な子や臆病な子の場合は、一番効果的かもしれません。

まとめ
一緒に座る犬と少年の後ろ姿

夏の事故、意外と身近に起こりうるものが多いので、気を付けなければいけませんね。特に自宅の浴槽での水難事故は、想像しただけでゾッとします。愛犬の健康や事故は、飼い主さんの手で守っていきましょう。
posted by しっぽ@にゅうす at 09:23 | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

やけどや熱中症のおそれ…猛暑対策 ペットにも

Yahoo! JAPAN



手の甲でアスファルトの熱さを確認
 猛暑でペットの暑さ対策が必要になっている。高温になったアスファルトの路面を歩いて、足の裏の肉球をやけどしたり、熱中症になったりする危険が高まっているからだ。獣医師らは「出かける前に暑さをチェックして、大丈夫か判断を」と呼びかけている。

 犬の靴と靴下専門ブランド「ドックドッグ」は7月から、散歩に出かける前に飼い主が手の甲で地面に触れ、熱さを確認する活動「わんタッチ」の呼びかけを始めた。

 同ブランドの運営会社「ディライトクリエイション」(東京)の測定によると、真夏のアスファルトの路面は65度まで上昇。そのまま歩くと足の裏の肉球を低温やけどする恐れがある。日没後も路面に熱が残っている時もあり、夕方だから安心とは限らないという。

 そこで、「わんタッチ」は、手のひらより熱さを感じやすい手の甲でアスファルトにタッチすることを勧めている。5秒間触っていることができないほど熱ければ、散歩を見合わせたり、足を保護したりするなどの対策が必要だという。

 全国のペット用品店など約60店でも、この動きを支援している。「ペットデザイン自由が丘店」(東京)では、足裏を守るグッズを集めた特設コーナーを設置した。店長の沖本智保さんは「足裏の保護の必要性は知らない人も多く、丁寧に説明します」と話す。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)でも肉球のやけどが話題になっている。

 ペット保険大手のアニコム損害保険(東京)は、「犬の熱中症週間予報」を今年4月から画像共有サービス「インスタグラム」などで配信している。猛暑が続く今年は、各地で「厳重警戒」が続いている。

 同社に保険請求のあった事例を見ると、犬の熱中症は、5月頃から急増し、暑さが本格化する7〜8月にピークになる。犬種別では、鼻が低い顔立ちで呼吸で熱を発散しにくいフレンチブルドッグや、毛の多いバーニーズマウンテンドッグなどが目立つという。

室温管理と水分補給
 車の中にいたペットが熱中症になる危険もある。日本自動車連盟(JAF)が実施したテストによると、気温35度の炎天下で窓を閉め切って、エアコンを切った状態で駐車した場合、30分ほどで車内の温度は40度に上昇。サンシェード(日よけ)を使ったり、わずかに窓を開けたりしても、最高温度は45〜50度に達し、危険を避けられない。

 「成城こばやし動物病院」院長で獣医師の小林元郎さんは、「熱中症は知られるようになってきたとはいえ、深刻な状態に陥った犬や猫が毎年運び込まれる。足裏が赤くなったり膨れたりといったやけど状態の犬も毎年数件は受診している」と指摘する。

 短時間でもペットを車に残すことはやめ、家の中でも室温管理と水分補給が肝心だ。犬は体高が低いので、人より暑さを感じやすいことに注意を払いたい。

 「犬は人間が感じる以上に暑さを感じている。散歩に適した状況なのか家を出る前によく考え、涼しい時間帯を選んだり、靴などで足裏を保護したりといった対策を取りましょう」と小林さんは助言している。
posted by しっぽ@にゅうす at 09:22 | ペット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

“猫パルボウイルス”が猫カフェで蔓延、元スタッフが告発! 予防方法と対策は?

@niftyニュース



東京都内の猫カフェで先月から今月はじめにかけて流行し、話題になった猫パルボウイルス。立川にある猫カフェでは、店内で飼育している一部の猫に感染しウイルスが蔓延。今月1日までに5匹の猫がウイルスで死亡しまったという。

 同店舗で初めてウイルス感染が確認されたのは先月26日深夜だったが、その後も営業を継続。27日、28日にも感染が確認されたというが、店舗のスタッフや以前働いていたという元スタッフらがSNSで告発するまで、感染の事実は伏せられていた。しかし、事態が発覚した後、その期間に店を訪れた猫を飼っている客の間で騒動に発展。人間が自宅にウイルスを持ち込んだ可能性があると、ネットで店舗が炎上する騒ぎになっていた。

 同店舗ではウイルス発生後、店内の洗浄を徹底していたというが、感染は広がっていった様子。では、猫パルボウイルスはどのようにして予防すればいいのだろうか。

 「猫パルボウイルスは猫のウイルスの中でも、最も恐ろしい病気のひとつです。感染後、腸や骨髄、リンパなどで増殖し、1〜2週間の潜伏期間を経て発症。激しい嘔吐や下痢などの症状を経て、血便も多くなり、発症から7日以内に死亡するとされています。子猫の場合は吐き始めて数時間で死亡するケースもあり、成猫で回復した場合でも便や尿などを通して数ヶ月に渡りウイルスを排泄します。これにより、多頭飼いの場合はすぐに感染が広がってしまいます」(動物ライター)

 感染力が強く、幼弱猫の死亡率は75〜90%とも言われる猫パルボウイルス。予防する方法はあるのだろうか。

 「ウイルスの治療法は基本的にはありません。しかし、ワクチンを接種していれば感染を防ぐことができます。動物病院で接種できるワクチンの中で最もポピュラーな3種混合ワクチンに含まれているので、飼育場所が室内でも、室外でも少なくとも3年に1回は受けるようにしましょう」(前出・同)

 ワクチン未接種で免疫のない個体へのウイルス感染率はほぼ100%と言われている。大切な愛猫のために、ワクチンは必ず接種するべきだろう。
posted by しっぽ@にゅうす at 09:21 | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

犬の「認知症」 なりやすい犬種、発症年齢はいつ頃か知ってる?

Yahoo! JAPAN



犬にも発症する可能性がある「認知症」。もし、愛犬が認知症になってしまったらどうしたらいいのか……。

いざというときのためにも、飼い主さんは愛犬になにができるのか知っておきたいところですよね。

今回は「犬の認知症」について、いぬのきもち獣医師相談室の先生にいろいろと聞いてみました。驚くことに、犬種によって認知症になりやすいコがいるという事実も明らかに! 

犬の「認知症」 なりやすい犬種、発症年齢はいつ頃か知ってる?
遊ぶ紀州犬
犬の認知症の予兆は?
ーー犬の認知症の予兆はなにかあるのでしょうか? 

いぬのきもち獣医師相談室の獣医師(以下、獣医師):
「日中、ボーっと壁や天井を見つめていることがある、声をかけても反応しないことがある、夜中に突然起きてしばらく寝ない、ウロウロするなどですね。

飼い主さんの体験談を伺うと、これらのような行動があるようです。しかし、どれも『いつも』『毎日』ではなく、『ときどき』『その日だけ』だったので、当時は『あれ、おかしいな?  でも年のせいかな』と過ごしている飼い主さんがほとんど。

のちに犬が認知症と診断されてから 、『いま思えばあの行動が予兆だったのかも? 』と思い出す程度のようです」

ーー飼い主さんが犬の認知症の予兆に気づくのは難しいのですね。

獣医師:
「そうですね。認知症の症状が進行すると判断できるのですが、初期症状はささいなもので、その後はふだんどおりの様子に戻ることが多く、飼い主さんが気づかないこともあります。

過去のちょっとした違和感が、じつは予兆だったということが多いようです」

犬の「認知症」 なりやすい犬種、発症年齢はいつ頃か知ってる?
見つめる犬
認知症になると、どのような症状が出てくる?
ーー犬が認知症になると、どのような症状が出てくるのでしょうか? 

獣医師:
「主な症状を挙げると、大きく5つに分けられます。


@慣れている場所で迷子になる、知っているはずの人を認識できない、障害物を避けられないなどの『見当識障害』。

Aなでられたり遊ぶことに興味がなくなる、コマンドへの反応性が低下するなど、『飼い主さんに対する認識や関係性の変化』。

B日中の睡眠が増え夜間に起きている、長時間起きているかと思えば逆に長時間寝るなどの『睡眠・覚醒時間の変化』。

Cトイレ以外の場所で排泄する、失禁などの『排泄の変化』。

D単調に鳴き続ける、夜鳴き、グルグルと同じ方向に回り続ける、隙間にはさまっても後退できず出られない、食欲の増加・減退などの『活動性の変化』。


これらすべてが認知症を診断するために必要な症状ではなく、一貫性があるとはされていませんし、個体差もあります」


認知症になりやすい犬の特徴、発症年齢について
ーー認知症になりやすい犬には特徴がありますか?  

獣医師:
「国内の調査では、認知症の83%が日本犬(日本犬系雑種、柴犬、日本犬を含む)とされていますが、どの犬種でも発生すると言われています。日本犬は、症状が強く出る傾向にあるようです」

ーー日本犬が発症しやすく症状が強いとは……驚きです。また、何才くらいで認知症を発症してしまうものなのでしょうか? 

獣医師:
「アメリカの調査では、11〜12才の犬の28%、15〜16才の犬の68%に何らかの症状が認められています。

国内の調査では11才から発症し、13才から急増するとの報告があります」

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犬の「認知症」 なりやすい犬種、発症年齢はいつ頃か知ってる?
散歩する犬
認知症になったときの治療法は? 改善は見込めるの?
ーー犬が認知症になったときの治療法には、どのようなものがあるのでしょうか?  

獣医師:
「ヒトの認知症と同様、残念ながら根本的な治療法はありません。症状は徐々に進行する傾向のある病気です。

そのため、早期発見・早期治療が症状の進行を抑える重要なポイントとなります」

ーー具体的にどのような治療になるのでしょうか? 

獣医師:
「治療および予防策としては、抗酸化物質を含む食事やサプリメント、犬の不安を軽減したり睡眠リズムを戻すためのサプリメント、鎮静薬や抗不安薬などがあります。

いずれも効果には個体差があるので、どの治療が自分のコに合うのか、見つかるまでに時間がかかることもあります」



ーー認知症を早期発見し、そのコに合った治療方法を見つけてあげることが大切なんですね。

獣医師:
「認知症の初期症状や治療開始時は、食事療法やサプリメントを与えることから始めることが多く、これらで症状がしばらく落ち着くコもいます。

犬の夜鳴きが始まると睡眠導入剤を希望する飼い主さんもいらっしゃいますが、数時間しか効果がないことや、いずれ効かなくなることもあります。

また、睡眠導入剤の導入は寝たきりを早めてしまい認知症が進むこともあるので、かかりつけの獣医師とよく相談して決めたほうがいいでしょう」

ーー食事療法を取り入れたりサプリメントを与えることで、認知症の改善は見込めるのでしょうか? 

獣医師:
「これらは認知症を治すことではなく、『症状の進行をできる限り遅らせること、犬と飼い主さんが残された時間を幸せに過ごせるように生活の質や関係性を維持すること』が、治療の目的となります」

愛犬の認知症を予防するために、飼い主さんが日頃からできること
ーーでは、犬の認知症を予防するために、飼い主さんが日頃からできることはありますか? 

獣医師:
「単調な生活(毎日が同じ時間に同じゴハン、同じ散歩道、昼寝し放題など)は認知症になるリスクがあると考えられます。

たまには散歩道を変える、足ツボのつもりで砂利道を歩く、ほかの犬やヒトとの触れ合い、飼い主さんとゲームをして遊ぶなど、刺激のある生活を取り入れるといいでしょう。

また、日本犬系は7才頃から、ほかの犬種でも10才頃から抗酸化物質の含まれた食事やサプリメントを始めることをおすすめしています。

脳に良いとされるDHAやEPAの効果も期待できるようです」



ーー愛犬の認知症を予防するためにも、できることはやっておきたいですね。

獣医師:
「飼い主さんに犬の認知症の知識があると、小さな変化にも気づきやすく、早めに対処や治療が始められます。

診察室の短い時間で獣医師が認知症と判断することは簡単ではありません。一緒に暮らしている飼い主さんが、小さくても犬のサインに気づくこと。その情報の積み重ねが、認知症かほかの病気なのかを診断する獣医師にとっても大切な判断材料となります。

飼い主さん向けに犬の認知症や介護に関するセミナーもありますし、ブログもたくさんあります。ほかの飼い主さんから体験談を聞くことも勉強になると思います」

ーー飼い主さんだからこそ気づける、愛犬のささいな変化。認知症の診断には、とっても重要なんですね。

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犬の「認知症」 なりやすい犬種、発症年齢はいつ頃か知ってる?
眠る柴犬
介護する飼い主さんの心身の負担を減らすために
ーー認知症はワンちゃんもつらいと思いますが、介護する飼い主さんの心身の負担も大きのでは、と想像します。

獣医師:
「そうですね。犬の認知症では、とくに夜鳴きが始まると、ご家族の心身に負担がかかることもあります。

最近は、犬の認知症も広く認識され、サポートしてくれる施設やグッズも増えてきました。飼い主さんが疲れてしまう前に動物病院、ペットホテルやペットシッター、デイケアサービスなどをうまく利用してほしいと思います。

もし、夜鳴きで近所迷惑が心配であれば、一言ご挨拶をしておくとトラブルを避けることもできます。

いずれ愛犬とのお別れのときはきます。最後の認知症の時期が大変すぎて、元気だった頃の楽しかった思い出が薄れてしまうことは寂しいものです。

抱え込まず、周りに相談しながら介護と向き合っていけるように願っています」



犬の認知症の予兆に気づくのは、なかなか難しいこともあるようです。些細な変化でも重要な判断材料になるので、愛犬がふだんと違う様子や行動をとったりしたら、注意深く見てあげましょう! 

認知症の早期発見のためにも、「愛犬からの小さなサイン」に飼い主さんは気づいてあげてくださいね。

(監修:いぬのきもち・ねこのきもち獣医師相談室 担当獣医師)
※写真はスマホアプリ「まいにちのいぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。
取材・文/雨宮カイ

いぬのきもちWeb編集室
posted by しっぽ@にゅうす at 09:19 | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「一度死んだペット」のクローンを作成するクローン犬ビジネスの最先端

GIGAZINE



韓国の研究所では複数の医者が、資産家や著名人のために「一度死んだペット」のクローンを作成しています。そんなクローンビジネスが盛んな「クローン犬」に関する最先端の情報について、海外メディアのVanity Fairがビジネスの中心にいる外科医のファン・ウソク氏へのインタビューと合わせてまとめています。

Inside the Very Big, Very Controversial Business of Dog Cloning | Vanity Fair
https://www.vanityfair.com/style/2018/08/dog-cloning-animal-sooam-hwang

韓国・ソウルのある外科医チームは、ガラス張りのオペ室で学生たちに見守られながら、妊娠した犬のお腹を切開して赤ん坊を取り出すという、まるで興行師のようなオペを行っているそうです。そして驚くべき点は、お腹から取りだした赤ん坊犬がクローンであるという点です。オペを担当しているファン・ウソク氏は、世界で初めてクローン犬を誕生させたことで知られる人物で、秀岩生命工学研究所というクローン犬の作成をビジネスとしている企業の所長を務めています。

ウソク氏がオペで母親のお腹から取り出したクローン犬


世界で初めて哺乳類の体細胞クローン羊であるドリーが誕生し、世界中を驚かせたのは既に20年以上も昔の話。当時、メディアは生物の遺伝的レプリカを作成することは暗黙の恐怖に飛び込むことだとはやし立てましたが、今では人工知能やゲノム編集、キメラなど、より驚くべき技術が登場しており、クローンに対する恐怖はもはや小さなものになりつつあります。

2017年3月には海外セレブのバーブラ・ストライサンド氏が死んでしまった愛犬・サマンサのクローン犬を2匹飼っていることを明かしているように、クローンに対する抵抗感が薄れてきているというのは明らか。なお、ストライサンド氏はアメリカ・テキサス州のペットクローン会社・ViaGen Petsで愛犬サマンサの口と胃から採取した細胞をもとにクローン犬を作成したとのこと。

しかし、ストライサンド氏がクローン犬を飼っていることを明かしたあと、動物愛護団体などから抗議の声があがりました。それでもストライサンド氏は意に介していない様子で、「私は14年間も共に歩んできた愛するサマンサを失ってひどく落ち込みました。そして何かしらの形で彼女と共にありたいと考えていたのです。サマンサのDNAの一部があれば彼女の分身とこれからも共に生きられることを知ったあとは、私にとって簡単な決断でした」とクローンを生み出す決断は簡単なものだったと話しています。なお、クローン犬の作成費用は5万ドル(約550万円)だそうです。

Barbra Streisand Cloned Her Dog. For $50,000, You Can Clone Yours. - The New York Times



倫理学者たちは長らくクローン動物の道徳性について議論してきました。人間に生き物のコピーを作り出す権利があるのか、また、クローンプロセスにより生じる苦痛を本当に考慮しているのか、など多くの観点からクローンについての議論が行われています。既存のクローン技術では、「1匹の健康なクローン犬」を生産するには12個以上の胚が必要となります。これは、クローンを身ごもる代理母が時間の経過と共に命の危険が増していくというリスクを抱えており、また、12個の胚があってもほとんどが流産などで死んでしまうためです。それでも、2005年にウソク氏が初めて作ったクローン犬は100匹以上の代理母に1000個以上の胚を移植して誕生したものであり、当時と比べるとクローン犬の作成技術は格段に進歩しているといえます。

1匹のクローン犬を生み出すにも多くの犠牲が伴ってしまうわけですが、秀岩生命工学研究所では過去10年間でなんと1000匹以上のクローン犬を作り出しています。なお、秀岩生命工学研究所では愛犬の死後5日以内に生きたDNAが採取できれば素早くクローンの作成が可能になるとのこと。同研究所で働くクローン犬研究者のジェ・ウォン・ワン氏は、「死んだ犬の細胞が損なわれていなければ5カ月以内にクローン犬を飼うことができます」と説明しています。ここでクローン犬を作ってもらう場合、費用は10万ドル(約1100万円)です。


そんなクローン犬ビジネスの中心にいるのは間違いなくウソク氏です。ウソク氏は2004年にソウル大学の教授を務めながら科学誌のサイエンス上で、ヒトの胚性幹細胞(ES細胞)を作成することに成功したと発表。その後、2005年には世界初のクローン犬・スナッピーの作成にも成功しています。しかし、2004年に公表したES細胞論文で不正を働いていたことが明らかになり、ウソク氏の名声は地に落ちます。

それでもクローンについて研究を続けるために、ウソク氏は秀岩生命工学研究所を設立。設立当初は豚や牛のクローンについての研究に専念していたのですが、2007年にフェニックス大学の創設社であるジョン・スペリング氏からひとつの連絡を受けたことで、企業全体の方向性がシフトすることとなります。スペリング氏には長年連れ添った愛犬・ミシーがいたのですが、その犬は数年前に死亡してしまったそうです。スペリング氏は「ミシーにもう一度会いたい」と考え、ウソク氏にクローン犬を作ることができないかと相談してきたというわけ。ウソク氏は2009年にミシーのクローンを作成し、そこから秀岩生命工学研究所はクローン犬の作成をビジネスとして展開するようになったそうです。

数年にわたる試行錯誤の中で、クローン犬作成のプロセスは微調整されています。クローン犬の作成ではまずドナー犬の卵子に高性能顕微鏡を用いて微細孔をあけ、DNAが収納されている核を除去します。続いて、クローンする犬の細胞(通常は皮膚や頬の内側から採取)から核を取り出し、ドナー犬の卵子の中に核を配置。そうして出来上がったハイブリッド卵子を細胞と融合させて細胞分裂させ、胚となったら代理母となる犬の子宮の中に移します。あとは代理母となる犬が通常と同じようにクローン犬を体内で成長させてくれ、うまくいけば胚を移植して約60日後にクローン犬が誕生するとのこと。

by Charles Deluvio

ウソク氏にインタビューする機会を得たというVanity Fairが「なぜ多くの人々が犬をクローンしたいと考えるのでしょうか?」と質問したところ、ウソク氏は「主な理由は彼らが愛する犬は家族のようなものであり、できるだけ長くその関係を続けたいと考えているからです」と回答。クローン犬はオリジナルの犬とよく似た見た目になることも多いですが、あくまでも「正確なレプリカ」であり、元の犬の記憶は持っていません。ウソク氏はクローン犬を「あとから生まれてきた双子のようなもの」と表現しています。

クローンにかかる費用が高いことについては、「犬の卵母細胞を試験管の中で成熟させるのに有効な方法がないから」と説明しています。

さらに、倫理面について尋ねると、ウソク氏は「動物クローン倫理と人間クローン倫理は全く異なる価値観を持っています。秀岩生命工学研究所でもヒトのクローンは行っていませんが、動物のクローンは我々に利益をもたらし、社会貢献にも役立つものであると信じています」と回答したそうです。

秀岩生命工学研究所側が作成したクローンの中には、「ミラクルミリー」として知られる世界一小さなチワワのクローンもいます。秀岩生命工学研究所側はなんと49体ものミラクルミリーのクローンを作成しており、その様子は以下のムービーで見ることができます。

World's smallest living dog, Miracle Milly, cloned 49 times in South Korea - YouTube


ウソク氏はクローン技術が多くの利益をもたらすと主張しています。例えば幹細胞や胚の研究は動物の細胞発達プロセスをより良く理解する手助けとなります。また、ウソク氏はクローン研究から得た知見から、アルツハイマー病や糖尿病といった病気を効果的に治療するための科学論文をこれまでに数十個以上も発表してきました。また、秀岩生命工学研究所ではシベリアで発見された何前年も前のマンモスの生きた細胞をもとに、マンモスを復活させるための研究も行われています。


秀岩生命工学研究所は自分たちのクローン技術が倫理的なものであると主張していますが、同時により効率的にすることも熱望しています。秀岩生命工学研究所で生物工学研究の責任者を務めているヨンウ・ジェオン氏は、「クローン犬で難しいのは、新鮮な卵子を得ることです」と語っています。ジェオン氏は他の動物から卵子を外科的に抽出するために時間と費用をつかうのではなく、幹細胞技術を使って研究室内で卵子を育てられるようになることを望んでいるそうです。

2005年に世界初のクローン犬・スナッピーが生まれて以来、クローン犬の作成プロセスは劇的に改善されています。秀岩生命工学研究所は排卵を誘発するホルモンを代理母となる犬に注入することはないと主張しており、妊娠初期にほとんどの胚が死ぬことなく生き残るとも語っています。スナッピーを誕生させるには100匹以上の代理母犬と1000個以上の胚が必要でしたが、2018年時点の技術ならば3匹の代理母と数十個の胚があればクローン犬を作ることができるとしており、「研究を通して犬へのストレスを最小限に抑えることに成功したのです」とジェオン氏は語っています。

しかし、研究者の中には秀岩生命工学研究所側の主張を批判している人もいます。ボストンのホワイトヘッド研究所で幹細胞とクローン技術の研究を行っているルドルフ・ジャネイシュ氏は、「3匹の代理母で1匹のクローンが生み出せるとは思いません。クローン技術は非効率で、多くのクローンを失うこととなります。何匹かは着床の段階で死ぬだろうし、異常なエピジェネティックスを得ることになる」と話しています。

また、代理母となる犬にはしばしば胚を受け入れさせるためにホルモン注射が行われていると評論家は指摘しており、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の生殖幹細胞研究室を指揮するCheMyong Jay Ko氏は、「体外受精を経てヒトに使われるのと同じホルモンを注射されますが、犬にとっては何度も何度も繰り返し行われることとなり、効果が得られづらくなることもあります」と指摘。

そもそも、現代ではただクローンを作るだけの研究を科学者たちは良しとしていません。例えばヒトのクローンを作成するにしても、遺伝子を書き換えることで病気をより良く治療したり、優れた能力を持つように改良したりすることが求められているとのこと。ハーバードの遺伝学者であるジョージ・チャーチ氏は、「ヒトをコピーするだけではあまり意味がありません。ガンを治療するためにDNAを改良するなど、改良版を作ることにこそ意味がある」とコメント。まさに恐怖の対象が「恐竜を生み出すジュラシックパーク的なクローン技術」から「レプリカントを生み出すブレードランナー的なゲノム編集技術」に移っているため、クローン犬を作成するというビジネスが現代になって受け入れられるようになってきているのかもしれません。

by Patrick Hendry

政府が禁止しているにもかかわらず、ヒトのクローンを作成しようという試みはこれまでいくつも存在していました。実際、スタンフォード大学のハンク・グリーリー氏は、「赤ん坊を失って悲しみにふける親は、ヒトのクローンを提供する企業を億万長者にしてくれるでしょう」とコメント。愛犬を亡くした著名人がこぞってクローン犬を作成しているように、もしもヒトのクローンが合法であるならば、子どもを亡くした親がこぞってクローンを作成しようとするだろう、とグリーリー氏は指摘しています。
posted by しっぽ@にゅうす at 09:18 | 動物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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