動物保護ボランティア団体「ちばわん」に保護された猫は、譲渡会以外の方法で新しい飼い主さんを待ったり、ユニークな場所で暮らしたりもします。その様子をご紹介します。
※記事内容はすべて、2017年8月10日現在のものです。
ちばわんの保護猫たちはどこへ行く?保護猫のその後
猫カフェの、猫スペースの全貌。大きな窓があったり猫グッズも豊富だったりと、猫が気持ちよく過ごせる間取りに|撮影/尾アたまき
人になれさせながら、新しい飼い主さんを待つ
神奈川県にある「カフェブラン」は、ちばわんに在籍しているボランティアの方がオーナーの猫カフェ。在籍する猫は、すべてちばわん経由で来た猫です。カフェは里親募集型なので、お店で猫と触れ合ったのち、引き取りを申し出ることもできます。
ちばわんの保護猫たちはどこへ行く?保護猫のその後
入居者の方の隣でくつろぐのは、施設の介護猫として暮らす、生まれつき前足が曲がっているタイガくん|撮影/泉山美代子
入居者と一緒にのびのびと過ごす
「さくらの里山科」は、神奈川県にあるペットと入居可の老人ホーム。開設時には、介護猫としてちばわん出身の猫が迎えられました。「皆ハンディキャップのある猫ですが、お年寄りの方たちのゆったりした時間の中で、のんびり過ごせているそうです」(扇田さん)。
ちばわんの保護猫たちはどこへ行く?保護猫のその後
去勢・避妊手術の様子。ちばわんでは、10カ所ほどの動物病院に協力してもらいながら、TNRに加え、飼い猫の去勢・避妊手術を推進しています|写真提供/ちばわん
不幸な猫を増やさないために人を動かす活動も
「保護猫・保護犬の存在はようやく一般に知られるようになってきましたが、こうした犬猫の問題を意識していない・関係ないと思っている人のほうが圧倒的に多いと思います。今路頭に迷う猫たちの直接的な助けにはなりませんが、そういった人たちの意識を変えることも、私たちの使命だと思っています」と扇田さん。
そこでちばわんは、保護猫活動やTNR活動に加えて、一般の人へ向けての啓蒙にも努めています。「動物愛護に関するイベントでブースを出展したり、写真展を行ったりもしています。また、一昨年には、飼い主のいない犬猫を題材にした映画に活動を取り上げられ、ちばわんの活動を含め、犬猫の現状をより大勢の人たちに知ってもらえました」(扇田さん)。
また、ちばわんは飼い主がいる猫についても考えます。「人と暮らしている飼い猫から“保護猫”が生まれる場合も。脱走して飼い主さんと再会できなかったり、その猫が妊娠し、“未来の保護猫”を出産させてしまうこともあります」と扇田さん。
ちばわんの保護猫たちはどこへ行く?保護猫のその後
ちばわんが作成した、さまざまな啓蒙パンフレット|撮影/尾アたまき
これらを防ぐために作った啓蒙パンフレット
これらを防ぐためにも、ちばわんは、マイクロチップの装着などの脱走対策や、去勢・避妊手術についての啓蒙パンフレットを作成しています。「どの活動も地道で、なかなか成果が見えにくい活動ではありますが、続けることに意味があると信じています」と扇田さん。
デザインや記事内容の取材など、すべてボランティアが行っているのだとか実際にちばわんのボランティアのほとんどは、ちばわんから犬猫を迎えた人や、イベントを通して活動に共感した人たち。団体が15年かけてここまでの規模に成長したことこそ、“地道な”活動が、着実に人々の心に響いているという、何よりの証ではないでしょうか。
出典/「ねこのきもち」17年10月号「猫のために何ができるのだろうか」
文/「ねこのきもち」編集室
カメラマン/尾アたまき、泉山美代子
ねこのきもちWeb編集室