Yahoo! JAPAN地震や土砂崩れなどの災害現場で人命救助に活躍する犬を「災害救助犬」といいます。今年7月に起きた西日本豪雨災害のときにも派遣され現地で活躍したのですが、そのほとんどがボランティア活動だといいます。「災害救助犬」はどのようにして育成されるのか、その訓練に密着しました。
被災地で活躍、ボランティアでがんばる「災害救助犬」とは
MBSニュース
「救犬ジャパン」の活動
「兵庫県伊丹市です。伊丹空港のすぐ近くに救助犬の訓練場があります。がれきを作って災害現場を本格的に再現してシミュレーションをやっていますね」(辻憲太郎解説委員)
訓練しているのは、大阪で初めての災害救助犬育成チーム「救犬ジャパン」の皆さんです。
Q.今の訓練はまさにがれきに埋もれた人を発見する?
「そうです」(救犬ジャパン・代表 松林良子さん)
救犬ジャパンは2年前に活動を始め、災害が起きれば全国各地に駆けつけます。現在、シェパードやラブラドールレトリバーなど救助犬5頭と指示を出すハンドラー5人が所属しています。
Q.救助犬になれる犬種は?
「災害現場で滑ってこけたりすることを考えると、骨格のしっかしした犬種のほうがいい」(松林良子さん)
Q.小型の虎くらい(の大きさ)ありますもんね
「こちらは金蔵さん」
活動はボランティア、救犬ジャパン代表の松林さんの本業はドッグトレーナーで、救助犬の金蔵くん(3)は松林さんの飼い犬です。ペットというものの、金蔵くんは生後60日からがれきで訓練を始めた筋金入りの救助犬です。
「お母さんも救助犬でおじいちゃんも救助犬で。おじいちゃんは2009年の救助犬の世界選手権4位。おじさんは2015年に世界選手権で2位」(松林良子さん)
救助犬界のサラブレッドの金蔵くんは、今年7月の西日本豪雨では広島市や呉市に出動、家屋が倒壊した現場で下敷きになった人の捜索に当たりました。
「広島・岡山の土砂災害の場合は家ごと何キロも流されているので、あてもなく掘るより犬が反応したところを掘っていったほうが効率が上がる」(松林良子さん)
警察犬と救助犬の違いは“捜索方法”
救助犬の訓練を特別に見せてもらいました。コンクリート片や棒などで建物の倒壊現場を再現、今回は高いところに閉じ込められている想定で、救助される役=ヘルパーが隠れて犬はハンドラーの合図で捜索を開始します。がれきの上を走り出したのはシェパードの美咲ちゃん(4)。人間の何万倍もあるという嗅覚を頼りに捜します。捜索開始からわずか40秒で美咲ちゃんがほえます。
Q.ほえたほえた!発見?
「そうですね。ハンドラー(指導手)が来るまでほえている」(松林良子さん)
と、ここで気になることが。
Q.イメージとしては“クンクン”ゆっくり進んでいるイメージがある
「警察犬は歩いた後の地面と靴の摩擦臭に対して教えていく。(災害救助犬は)空気中のにおいをかいで探すので、顔が上がっている状態で探す」(松林良子さん)
警察犬は地面に残された犯人の手がかりをたどるため、下を向いて臭いを嗅ぎながら進みます。一方、救助犬は時折、首を振って周りの臭いを確認するなど風に乗ってきた人の臭いをキャッチするのです。
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訓練のポイントは他にも。周りに何人か人が立っているのにも意味があるのです。
Q.我々はここに立っていていいんですか?
「犬は隠れてしまっている人と立っている人の区別をきちんとしている」(松林良子さん)
Q.災害の現場で消防・警察が立っているのでそういう状況でも活動できるように
「隠れている人の場合はにおいをたどっていくと埋もれているので」
Q.人のにおいがするけれども姿が見えないポイントを探している
「そうですね」
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訓練に参加、探し出してもらえるか
松林さんと相棒・金蔵くんの訓練。辻解説委員、がれきの下に隠れるヘルパーの役で参加します。黒い筒の中に入り、金蔵くんから見えないように蓋をして捜索スタートです。勢いよく走り出した金蔵くん。不安定な足場をものともせず走り回ります。
「こういう狭いところに閉じ込められますと怖いですよ。見つけてほしい」(辻解説委員)
辻解説委員のにおいを探し凛々しい姿の金蔵くん。対照的に不安げな表情の辻解説委員。捜索から2分経過、金蔵くんが黒い筒の前で止まりほえはじめました。金蔵くん、見事に辻解説委員を探し当てました。
「金蔵ありがとう!これ、訓練ですけどうれしいわ!怖かったです」(辻解説委員)
見つけて終わりではありません。訓練で重要なのはこのあとで…
「目いっぱい遊んであげてください」(松林良子さん)
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力になりたいというモチベーションは?
褒めて遊んであげることで“捜索が楽しい”と覚えさせるといいます。救助犬が一人前になるまで2〜3年。ボランティアなので訓練はもちろんのこと、現場への出動にかかる費用もすべて自費。仕事を休んででも災害現場へ駆けつけるといいます。
Q.災害現場で力になりたいというモチベーションはどこから?
「現場に行くと、探している横で家族の人がずっと祈りながらいたりするので、それを見るともっと現場で活躍できる犬を頑張って育てないといけない。自分たちが(犬の)訓練士として技術があるのであれば、そこに活かせられるのであれば頑張りたい」(松林良子さん)
(10月8日放送 MBSテレビ「ちちんぷいぷい」内『辻憲の「コレだけ」ニュース』より)
posted by しっぽ@にゅうす at 02:46
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