動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2018年12月16日

秋田犬の殺処分、本場秋田で全犬種の1割超に

読売新聞


国内外でブームとなり、人気を呼んでいる秋田犬。その本場である秋田県内で2015年度以降、飼い主に捨てられるなどして保健所に収容され、殺処分されたのは全犬種の1割(9月末時点)に上っていることが12日、県への取材で分かった。秋田犬は、国の天然記念物で、県の観光PRにも欠かせない存在だ。悲惨な殺処分をなくそうと、秋田市の保護団体が保健所から引き取った秋田犬を新たな飼い主へと引き継ぐ取り組みを進めている。

 県動物管理センターで、犬種ごとの殺処分頭数をまとめ始めた15年度以降、今年9月末までに処分されたのは全体で252頭。このうち、秋田犬は29頭(11・5%)を占めていた。

 秋田犬は、国内に古くからいる「日本犬」の中では唯一の大型犬。飼育するには広い敷地が必要なことから、近年の住宅事情に合わなくなっている。愛好家の間でも高齢化が進み、死亡や病気などの理由で秋田犬を手放す際、引き取り手がいないケースも出て、保健所での殺処分という結末となる。

 秋田犬を殺処分から守ろうと、秋田市で3月、一般社団法人「ONE FOR AKITA」が発足。4月には同市中通の「エリアなかいち」内で秋田犬の展示施設「秋田犬ステーション」を開設した。来場する市民や観光客らに殺処分の現状を説明するほか、Tシャツや小物など「秋田犬グッズ」を販売し、売上金や寄付金を元手に、宮城県内の保健所などから雄雌3頭を保護した。

 11日には同市雄和妙法の観光・交流拠点「華の里」内に、保護した秋田犬のための訓練施設「秋田犬 華の里ステーション」をオープンさせた。飼い主に捨てられるなどした犬は、体力が衰えたり、人間への警戒心、恐怖心が強まっていたりしている。こうした犬を癒やし、再び新しい飼い主の元へと引き取られていくまで同法人が面倒を見る。

 同ステーションは1・3アールの敷地に犬が休憩するあずま屋と、自由に駆け回れるドッグランを備えた。建設費は約440万円で、このうち196万円分は、インターネット上で資金を募るクラウドファンディングで賄われた。開所2日目の12日、保護した犬2頭を初めて放したところ積もった雪の上を走ったり、トレーナーに尻尾を振ってすり寄ったりと、うれしそうにする様子が見られた。同法人では今後、保護した犬を複数同時に訓練することで、新たな飼い主に引き継ぐために求められる協調性も仕込んでいく方針だ。

 高橋伸明事務局長は「訓練を重ね、保護した秋田犬を1頭でも多く、新たな飼い主に橋渡ししたい」と話している。

 ◆秋田犬=柴犬(しばいぬ)や紀州犬、北海道犬、甲斐(かい)犬、四国犬とともに日本に古くからいる「日本犬」。1931年、この中で最初に国の天然記念物となった。クマなどを狩る時に使われた「マタギ犬」がルーツとされる。秋田犬保存会が血統書発行のために管理している「犬籍」登録状況(2017年末時点)によると、国内2704頭に対し、海外は「忠犬ハチ公」を題材にしたハリウッド映画の影響や大型犬ブームなどで、3967頭と上回っている。

2018年12月14日 09時51分 Copyright c The Yomiuri Shimbun
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“殺処分ゼロ”を謳って虐待 偽善組織「ピースワンコ」が摘発された!

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殺処分。嫌な響きである。ゼロになるに越したことはないが、そう謳って救った犬たちが、実は殺処分以上の虐待にさらされ――。ピースワンコ・ジャパンのそんな実態を、本誌(「週刊新潮」)は2度にわたりレポートしてきたが、ついにこの“偽善組織”が書類送検され、同時に愛護団体から告発されたのだ。

 ピースワンコ問題の理解には、先月26日、広島県警福山北署に送られた告発状を読むのが早そうだ。動物愛護管理法に違反しているとして、ピースワンコ・ジャパンの事業を司るNPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)の大西健丞代表理事と、ピースワンコの責任者、大西純子氏を告発したものだ。以下、概要をザッと示そう。

 広島県神石高原町に本部を置くピースワンコが行うのは、行政が収容した犬を引き取って里親に渡す事業で、2016年からは広島県内で殺処分対象となった犬はすべて引き取り、その資金に、神石高原町のふるさと納税を使ってきた。

 ところが、四つのシェルターのなかで最大で非公開のスコラ高原シェルターは、今年1月時点で1400頭収容の過密状態。ところがスタッフは数人だけで、餌も1日1回。劣悪な環境で極度のストレス状態にある犬たちは、弱い犬を集団で攻撃し、月に30頭が死亡していた。また、ピースワンコは不妊・去勢手術を基本的に行わない方針なので、子犬もよく生まれるが、感染症などで死亡したり、夜中に生まれるとほかの犬に食べられたりしていた。なのに少なくとも今年1月まで、このシェルターには外科の器具すらなく、犬の数が多すぎるため、子犬を蹴りあげるなど、職員の乱暴な扱いが目立った――。

「我々は状況証拠や内部告発者の証言を集め、ピースワンコが行っていることは動物愛護管理法違反だから捜査してほしい、という趣旨で告発しました。〈愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者〉への罰則を定めた動物愛護管理法第44条1項への違反。加えて〈健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束することにより衰弱させること〉〈疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと〉を禁じた、同じ条の2項への違反です」

 と語るのは、告発した日本の保護犬猫の未来を考えるネットワーク代表の多田和恵さん。現在、ネットワークに76団体が賛同、浅田美代子、杉本彩ら芸能人も名を連ねている。

 ところで、告発状に書かれた内容は、ピースワンコの内部で働いた竹中玲子獣医師の証言として、去る9月に本誌が報じたものとほぼ一致する。この記事に対してピースワンコは、

〈きわめて一方的で事実と異なる記述が多く、(中略)十分な裏付けのない誹謗中傷に強く抗議する〉

 などとHPに書いたが、くだんの竹中獣医師は、

「自分が見聞きしたものを正直に伝えたのに、“裏付けのない誹謗中傷”だと中傷されて、非常に残念」

 と憤る。また公開のシェルターであっても、今年勤務した元職員によれば、

「頭数が多すぎるため、みな犬への接し方が雑になり、犬が人嫌いにならないかと心配でした。毎日外に出て運動できる犬など、ほとんどいないんです。子犬の感染症はワクチンで防げる場合もあるのに、まともにワクチンも打っていない。こうした内部事情については、外に漏らさないように箝口令が敷かれています」

3億円以上が使途不明
 ところで、竹中獣医師がスコラ高原シェルターで働いたのは、「狂犬病予防注射を打つのが追いつかないので手伝ってほしい」と言われてのことだった。

 その旨も先の記事で触れていたが、先月20日、ついに広島県警はPWJを書類送検したのだ。大西代表理事ら3人が狂犬病予防法違反の、PWJ自体とほかの職員2人は、犬舎から12頭が逃げ出した件で、県動物愛護管理条例違反の疑いがあるという。県警に近い関係者によれば、

「職員や元職員から幅広く事情聴取していて、もちろん目標はもっと先にあります。怠慢な広島県が主犯でピースワンコが共犯、ふるさと納税の納税者が被害者、という構図です」

 犬を際限なく引き取れば過密状態になり、予防注射は行き届かず、脱走犬も現れる、というのは当然の帰結だろう。そのうえ、自身も元NPO法人代表の土谷和之氏によれば、PWJは認定NPOにしては、異例の“不透明さ”だそうだ。

「一部公開されているピースワンコ事業の会計報告を見ると、17年度は経常収益11億円のうち、ふるさと納税に当たる受取助成金等が5・3億円。一方、総額8億円の経常費用のうち3・4億円は、“その他の経費”内の“その他の経費”とされている。つまり使途不明金で、監査を受けたとして堂々と出してます。ふるさと納税を使いながら年に3億円以上が使途不明とは、認定NPOとして常識的にあり得ない規模です」

 これでは、ふるさと納税をほかの目的に使うために、犬を引き取り続けていると思われても仕方あるまい。

 それにしても、行政はなぜ、こんな団体に犬を渡し続けるのか。広島県動物愛護センターは、

「計画的な立ち入り検査により、問題があれば適宜指導を行っています」

 と返答するが、

「県の食品生活衛生課にピースワンコの現状を訴えたのですが、“今までなんの問題もございませんでした”という回答でした」

 と、先の元職員。なにも見てはいないのだ。再び多田代表が言う。

「広島県からピースワンコへの犬の譲渡を止めさせなければなりません。県の現場職員たちはもう譲渡をやめたくても、県は“殺処分ゼロ”を維持したくて、ピースワンコは全部引き取ってくれるから、という流れがあるようです。でも、13年改正の動物愛護管理法について、環境省を含めた話し合いの場では、殺処分ゼロの弊害としての現場の混乱が指摘されています。繁殖を抑制しながら飼わないとネグレクトと判断する、という趣旨が、法改正の際に盛り込まれる可能性もある、と見る賛同者もいます」

 引き取られた犬は虐待され、非業の死を遂げ、そのために、ふるさと納税が使われるが、多くが使途不明。捨ておけることではない。

「週刊新潮」2018年12月13日号 掲載

新潮社
posted by しっぽ@にゅうす at 09:29 | 法律 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

“羊の恩恵”は牧羊犬の貢献があってこそ 人とペットのつながり…人間の生活豊かに

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【人とペットの赤い糸】

 筆者がペットフードの仕事でアジア太平洋地域の責任者をしていたとき、ニュージーランドやオーストラリアに多く出張した。特にニュージーランドの牧場では、羊の群れをまとめて誘導したり、遊牧地に散らばせたりする牧羊犬が活躍していた様子を何回か直接観察することができた。

 昔から人は動物の助けを借りて、他の動物の管理を行ってきたが、牧羊犬は羊の盗難や外敵を防ぎ、迷う羊を群れに連れ戻したり、群れを護送する役割を担っている作業犬である。

 ニュージーランドは、人口に対し羊の数が最も多い。今年7月2日に2017年現在の人口と羊の数が発表されたが、人口479万人に対し、羊は2750万頭で、1人当たり5・7頭の羊がいる計算になる。

 人間にとって羊は全身を利用できる家畜である。良質な羊毛が毛糸やフェルトになったり、ラム肉、ジンギスカンとして、また、ヨーグルトやチーズ、ラノリンから化粧品や軟膏(なんこう)として用いられたりしている。

 この大切な羊を人とともに管理しているのが、牧羊犬である。起源はさまざまな説があるが、紀元前4300年頃のトルキスタンや古代エジプトの地層から、羊とともに牧羊犬と推測される骨が発見されている。

 牧羊犬としては約30種類ほどいるが、知能の高い犬が適しており、特にボーダー・コリーとシェットランド・シープドッグは評価が高い。例えば、ボーダー・コリーは羊の群れを静止させる鋭い眼力を持ち合わせ、群れ同士が適度な距離を保ちながら離れすぎず、近づきすぎてパニックを起こさないようにコントロールする力に優れており、人とともに家畜を育てるには素晴らしい犬種といえる。

 牧羊犬としては6カ月から1年間の訓練が必要だが、犬には次の要素が大切になる。

 (1)子犬のときから人の指示に従う基本的な動作ができ、トレーニングが好きなこと。

 (2)1頭で400〜600頭の羊の大群を誘導できるように、群れの回りを速く走る必要があり、また、羊の2倍から3倍の距離を走る体力も必要だ。

 (3)牧羊犬と対峙(たいじ)しようとする気の強い羊もいるので、立ち向かうことができる気丈さも大切である。

 (4)羊を驚かせないように静かに近づく配慮やバランス感覚も持ち合わせていないといけない。

 (5)速く長い距離を走るので、活躍できる年齢はせいぜい10歳までとなる。牧羊犬を卒業したら、大いに豊かな老後を過ごしてほしいものである。

 羊は人間の生活にさまざまな点で貢献している動物だが、その管理は人間だけでは不可能である。人と犬が力を合わせて素晴らしい管理をしているからこそ、私たちは羊の恩恵を受けているといっても過言ではない。

 まさに、人とペットの赤い糸のつながりが、私たち人間の生活を豊かにしてくれているのである。

 ■越村義雄(こしむら・よしお) 一般社団法人「人とペットの幸せ創造協会」会長。同ペットフード協会名誉会長。一般財団法人日本ヘルスケア協会理事、「ペットとの共生によるヘルスケア普及推進部会」部会長など。
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一体何が?「宮古馬」3年で16頭死ぬ 一部飼育者で多発 沖縄県の天然記念物

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沖縄県指定天然記念物の宮古馬16頭が2016年1月から今年12月までに死に、うち13頭が一部の飼育者に集中していることが14日、分かった。死因の多くは内臓疾患に伴う腹痛や脚の骨折による衰弱死だが、中には凍死や栄養失調といった飼育者の管理に問題があるとみられる事例もあった。市教育委員会は馬の死が相次いでいる飼育者2人について、来年3月末の契約更新をしない方針だ。

【閲覧注意】誰がこんなことを… 鼻に吹き矢が刺さった猫

 宮古馬は市の任意団体「宮古馬保存会」(会長・宮國博教育長)の所有で、市教委が事務局を担っている。市内の希望者に飼育を委託しており現在、8戸が45頭を飼育している。寿命は平均25〜26歳という。

 飼育者は馬が死んだ場合、市に届け出る必要がある。市教委によると、15年度は4頭、16年度は1頭、17年度は6頭、18年度(12月14日現在)は5頭が死んだ。

 飼育歴5年の男性が飼育する宮古馬は直近3年間で、16年に凍死や事故死、胃腸炎などで雄5頭、17年に腹痛と死因不明で雄2頭、18年に事故死で雌1頭の計8頭が死んだ。

 また、飼育歴7年の別の男性が飼う宮古馬では、17年に栄養失調や農薬の誤食、死因不明で雌3頭、18年6月に死因不明で雌1頭、今月11日に脚の骨折による衰弱で雄1頭の計5頭が死んだ。

 市教委の担当者は「虐待の可能性は確認できていない」としながらも、2人について飼育管理上の問題があるとして契約を更新しない方針だ。

 19日に全飼養者を集めての説明会を開き、飼育管理の状況や今後の意向を聞き取る。市の担当者は「飼育できないとの申し出があれば来年3月を待たずに早急に新たな飼い主を探したい」と話している。
posted by しっぽ@にゅうす at 09:23 | 動物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

宮古島の馬虐待、また起きた仔馬の死。劣悪環境の牧場から一刻も早く馬を救え


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『週刊SPA!』や「日刊SPA!」で伝えられた、沖縄県天然記念物・宮古馬の虐待問題が、多くの人々に衝撃を与えている。その記事が掲載された『週刊SPA!』の発売日当日に、また一頭の仔馬が逝ってしまった。

 今年の5月に母馬が餓死し、母乳を飲むことができないというのに、飼育者にミルクも与えられず放置されていた仔馬だ。事態に気づいたボランティアがこっそりとミルクをあげることで、何とか命をつなぐことができていた。あまりのことに、宮古島市には全国から抗議の電話が殺到している。

 地元紙『宮古毎日新聞』も12月13日に、「宮古馬飼養戸数7戸から5戸へ」「劣悪環境の指摘も」とこの問題を取り上げた。

 このような状況を受けて宮古馬保存会に新たな動きが出ているため、追加取材を行った。

◆馬の自主返納が決定した飼育者たちの実態

 今回2戸の飼育者が、宮古馬を自主返納することが決定した。この2戸こそが今回の虐待問題の中心で、目に余る劣悪な飼育を行ってきた飼育者、N氏とS氏だ。N氏は3年間で10頭のうち7頭を死なせていて、S氏は2年間で4頭のうち3頭を死なせている。

 その死因の多くは餌や水をまともに与えないことによる餓死や衰弱死だ。少ないとはいえ、1頭につき約8000円出ているはずの委託飼育料はいったいどうなっているのか?

 S氏は前述の母馬を餓死させ、仔馬までも死なせてしまった張本人だ。「柵の一部が壊れたままで、仔馬がそこから外に出るため、綱で繋いでしまった」と説明している。

 しかし、馬を少しでも知っている者ならば、仔馬を絶対につないだりはしない。仔馬は跳ねるので、つなぐと綱で首を絞めてしまったり、骨折してしまったりするため危険だからだ。案の定、仔馬は骨折が原因でみるみる弱っていき、死に至った。S氏が親子馬を揃って死なせてしまうのはなんと2度目だ。

 S氏は、「妊娠している牝馬をほしがる」と地元では噂になっている。それは、仔馬が生まれると10万円の補助金が手に入るからだ。

 妊娠中の牝馬を1頭飼っていた飼育者のA氏が、高齢のためこれ以上飼育することが不可能になり、3人の飼育者がそれを「引き取れる」と名乗りをあげた。3人とも「仔馬が誕生した際には、10万円はこれまで育てたA氏へ渡す」という約束をしていた。

 ところがS氏から「その馬は自分がもらう」と横やりが入り、なんと市の畜産課はそれを認めてしまった。そして母馬の出産後に、S氏はA氏に10万円を渡すことはなかった。母馬と生まれた仔馬は世話をされず、結果的にはどちらも不潔な馬房のなかで無残な死を迎えた。

 さらにS氏は、馬の飼育援助の一環で出ている馬事協会の助成金を受け取り、立派な厩舎を建てている。実は、この助成金はその前に別の飼育者への支給が決まっていた。しかしその飼育者には支払われることはなく、S氏には支払われた。その過程も不透明だ。

 ちなみにS氏は、前回の記事で触れた「地元リゾートホテルが、保護を外された宮古馬を観光用に飼おうとしている」という件にもかかわっている(※現在、健康に育った宮古馬と触れ合うことのできる「宮古島東急ホテル&リゾーツ」とは別のホテル。同ホテルは宮古馬の保存に協力的で、所有の予定はない)。

◆宮古馬以外の動物も虐待している可能性が

 N氏の場合は、宮古馬だけでなく肉用の馬や牛も飼育している。ここにいるすべての家畜は、宮古馬だけでなくほかの動物も悲惨な状況におかれている。

 馬房は掃除されず、糞尿でチャプチャプの池状態。宮古馬たちは短い綱でつながれっぱなしの状態だったが、さすがにこれは市が指導したらしく、綱だけは外した(※ある旅行者がブログに写真をアップしてネットで騒がれたため、市は仕方なく言いにいったとの見方もある)。しかし今も、狭い馬房に閉じ込められて、放牧されることもなくぎゅうぎゅう詰めで飼われている。

 10月に1頭が死んだため少しスペースが空いたというから、あまりに悲しい状況だ。馬たちは地面に体をこすりつけるのが大好きだが、糞尿であふれた馬房でゴロゴロする馬の姿を見ると言葉もない……。獣医によると、皮膚病がひどく蹄の状態が心配だという。

 そこで飼われている宮古馬ではない仔馬(現在は出荷されていない)は、今にいたるまで何か月も外につながれたままだ。雨の日も風の日も台風の時もずっと……。彼らは馬が死ぬと「この馬は弱かったから死んだ」と言う。こんな飼育者に、なぜ保存会や宮古島市は長きにわたって宮古馬を預け続けてきたのか謎である。

◆返納完了の3月31日まで、劣悪な環境に置かれる馬を救う動きも

 何はともあれ、この劣悪な環境を放置する飼育者2戸が生き残った馬を返納することになったと聞きホッとしたものの、この飼育者のもとには返納が完了するまで宮古馬を置いておくことすら適切だとは思えない状態だ。

 この件について島内の関係者から連絡を受けていた、国連生物多様性の10年市民ネットワークの坂田昌子さんは、担当部署である宮古島市生涯学習教育課に今後のスケジュールを聞いたという。坂田さんはこう話す。

「担当者は『次回の更新日が来年3月31日なので、その時に返納となる』と答えました。『S氏とN氏のもとに、あと3か月半も置いておくわけにはいかない! その間にまた殺されたらどうするんですか?』と聞くと、『12月19日に保存会で緊急会議を持つので、そのあたりのことも含めて自主返納の方法やそれにかかる予算調整を行います』という返事でした」

 今現在、S氏のもとには1頭、N氏のもとには3頭の宮古馬が残っている。12月19日の保存会の会議しだいでは、この4頭の宮古馬たちの命は3月31日まで危機的な状況に置かれたままになるかもしれないのだ。

「S氏とN氏の手から馬たちを一刻も早く引き離したいので、飼育のひどさについて把握していたのかと尋ねました。そうすると『「週刊SPA!」で使われていた写真は古いもので、市は改善するように指導してきたし、今は綱を外している』と。

 だからあの記事は昔の話で、現在の事実とは違うと担当者は言うんですね。『繋ぐのをやめたのはいつですか?』と聞くと、正確にはわからないとのことですが、そんなに前の話ではないそうです。

 後で現地の方に確認を取ったのですが、当時の担当部署であった畜産課に、虐待に気づいた人たちから、何度も何度も綱でつなぐのをやめるようにとの抗議がきていたそうです。そしてやっと今年の初め頃に実現したとのこと。『写真は古いもの』と言いますが、つい最近までつながれたままだったのに『事実とは違う』と言われても……」(坂田さん)

◆現場確認した担当者は、餓死直前の馬を見ても見抜けず

 市は、「飼育者に飼育環境の改善を指導してきた」として責任を回避したいようだ。だが、どう改善されたのか? 現場の確認はちゃんと行われていたのだろうか?

「月に1度か2度は現場確認をしているとのことです。しかし、S氏が餓死させた母馬も担当者は見に行ったそうですが、『けっこう痩せていたけれど、子を産んだばかりで栄養を取られているせいかな』と思ってしまったとのことです。この担当者が現場を見に行った後、すぐに餓死しているんですね。見ても状態がわからない人が確認に行っても、意味がありません。

 何より問題なのは、担当者の方が『宮古島では昔は農耕馬だったので、外で十分運動しているため放牧の習慣もないし、N氏のような飼い方が普通だったので虐待ではない』と言い切ることです。糞尿まみれの狭い馬房につなぎっぱなしだったり、ぎゅうぎゅう詰めで飼ったりするようなやり方を、宮古島の人たちが“普通に”やっていたとは思えません」(坂田さん)

 この担当者は今年4月から宮古馬の担当になったとのこと。馬のことには詳しくないので、サイアク飼育者たちの言うことを鵜呑みにしているのかもしれない。

「そのうえ、虐待とは殴ったり蹴ったりすることだけだと思っているようでした。動物愛護法では、家畜やペットに水や餌を与えず、不潔な環境のまま放置するといった『ネグレクト』(飼育放棄)は虐待であり、処罰の対象とされていることを知らないのでしょうか」(坂田さん)

◆12月19日の宮古馬保存会会議に注目

『宮古毎日新聞』の記事では、N氏やS氏と思われる人物が「金銭的に厳しい」「自分のものでもない宮古馬を預かるメリットがない」「虐待はしていない。(中略)ほかの家畜と同様にできる範囲での飼い方しかできない」と言っている。

 しかしN氏が「いずれ天然記念物の指定から外れれば、自由に売買できる」という期待のもとに多数の宮古馬を引き受けたということは、関係者の多くが知っているという。その当てがはずれたので返したいだけのように見える。実際、あるマンゴー農園経営者には「もうすぐ天然記念物の指定が外れるから、1頭5万円で買わないか」と持ちかけていたというのだ。

 一方のS氏も前述のように、適切な育て方をせずに2年間で4頭中3頭の馬を死なせているのに、「妊娠している牝馬を欲しがる」といわれてしまう人物だ。果たしてこのような人々が、沖縄県の天然記念物を預かってよいのだろうか?

 また、こうした悪質な飼育者たちを黙認して、宮古馬を苦しめ続けた宮古島市行政の責任も重い。ただ、宮古馬の保存は今年3月まで市の畜産課が担当し、彼らがこのような状況を作り出してきたのであり、4月から宮古馬の担当となった生涯学習教育課は、いきなりその矛盾を背負わされることになり、気の毒な部分もある。

 宮古馬保存会の会長も、昨年度までは下地敏彦宮古島市長が担っていた。これまで、宮古馬を保存からはずす動きを率先して進めようとしてきたのは、ほかならぬ下地敏彦市長本人だ。今年から保存会会長は下りているため、素知らぬ顔をするつもりなのかもしれない。しかし、ここまで放置してきた責任は下地市長も避けられないだろう。

 現状を放置したまま、3月31日の返納の日を待っていたら、また死んでしまう馬が出てくる可能性もある。そうした事態を避けるために、12月19日の宮古馬保存会会議では、すぐさま馬をサイアク2牧場から引き離し、予算調整を行ってまともな飼育者に預けることが検討されることを願ってやまない。保存会がどのような決定をするか、今後も注視していかなくてはならないだろう。

 ただ、この問題は、宮古島市や飼育者だけでは到底解決できない問題だ。どのような形で種の保存を行っていくのか。動物たちの命をどう扱っていくのか。日本全体で考えて行くことが必要なのだろう。

<取材・文/『週刊SPA!』宮古馬取材班>

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