動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2019年07月22日

世界小動物獣医師会が呼びかける健全なブリーディング対策

ネタりか



遺伝病に苦しむ動物を少なくするために
暗がりで伏せるフレンチブルドッグ

行き過ぎた選択繁殖のために、極端な姿形になり、健康上の問題が頻発する犬の問題が、数年前にイギリスのテレビ番組などで取り上げられて以来、世界のブリーディングの流れは、少しずつですが、犬の健全性を取り戻そうという方向に行きつつあります。

とはいえ、犬の遺伝性疾患は「犬種特有の病気」として仕方のないものとして受け止める人が、まだまだ多いのも現実です。遺伝性疾患を持って生まれてきた犬の情報を隠すブリーダーもいるため、繁殖をきちんと管理すればできるはずの遺伝病の撲滅が、なかなか進まないことも問題です。

犬だけではなく、猫でも見た目の可愛らしさのためだけに行われた繁殖のせいで、生涯に渡って苦痛を抱えながら生きていく個体も多くいます。

世界の獣医師たちが立ち上がった!
横を向いて立つジャーマンシェパード

欧州獣医師会および、欧州小動物獣医師会はこのような状態を重く見て、2018年6月に「生まれてくる動物の健康を第一に考えたブリーディングを推進する」という方針説明書を発表しました。
世界小動物獣医師会は、欧州のこの発表を受けて全面的な支持を表明しています。

そして2018年12月、20万人以上の獣医師を代表する世界小動物獣医師会が、遺伝性疾患対策委員会を立ち上げ、「遺伝性疾患の影響を軽減するための、健全なブリーディングと遺伝子検査の役割」と題した方針を発表しました。

委員会があげる外見的な健全性の問題では、次のようなものが含まれています。

✔ティーカップサイズなど極端な小型化
✔パグやシャーペイなどに見られる、皮膚炎を起こしやすい皮膚のたるみ
✔ジャーマンシェパードなどに見られる、極端な背中の傾斜
✔パグ、ブルドッグなどに見られる、極端な短頭症

外見ではわからない遺伝性疾患に関する対策も、もちろん深く触れられています。

健全なブリーディングのための対策とは?
遺伝子検査の試験管

遺伝性疾患対策委員会は、ブリーダーに対して「繁殖に使用する予定の動物について、獣医師による詳細な健康診断や病歴の徹底的なスクリーニングを行い、健康な子孫を産生する可能性の高い動物のみを選抜すること」を呼びかけています。

委員会はさらに、犬種ごとに発症しやすい疾患に関する遺伝子検査、遺伝性疾患についてのスクリーニング、専門家による遺伝カウンセリングをするべきだと述べています。
また、これらの遺伝子検査やスクリーニングに関して、適切なアドバイスができるよう、一般の獣医師に対して知識や情報を得ることを求めています。

ちょっと小難しい言葉が並んでしまいましたね。けれどもこれは、決して遺伝子の専門家や、シリアスブリーダーだけに関係のある話ではないのです。犬や猫を愛している人なら、彼らが病気や障害に苦しむ姿を見たいと思う人はいないでしょう。しかし現実には、遺伝病や遺伝性障害に悩まされている動物や飼い主さんはあとを絶ちません。

この委員会が推進しているような対策は、パピーミルや安直な素人繁殖では対応できることではありません。つまりパピーミルや素人繁殖が蔓延っている限り、健全なブリーディングが多数派となることは難しいのです。

まとめ
一緒にくつろぐヨークシャテリアと猫

世界小動物獣医師会が、犬や猫の遺伝性疾患を少なくし健全なブリーディングを推進するための委員会を設置し、その方針を発表したというニュースをご紹介しました。

幸いなことに、現在では遺伝子検査の技術も多く開発され、少ない手間と費用で精度の高い検査もできるようになっています。健全なブリーディングを推進し、遺伝性疾患や障害を持つ動物を減らしていくためのツールは揃っているので、最も大切なのは人間の意識であると言えるでしょう。

一般の飼い主さんに知っていただきたいことは、「責任を持って繁殖する」というのは、生まれてくる子犬や子猫の行き先を確保すればいいというものではないのです。

ここで挙げたような、遺伝子検査やスクリーニングを実施するというのがまずは第一関門です。
「うちの子の赤ちゃんを見てみたい」という動機で、繁殖を行ってはいけないということが、広く知られるようになってほしいと切に願います。

《参考》 https://www.americanveterinarian.com/news/wsava-urges-use-of-genetic-testing-before-breeding
https://www.wsava.org/WSAVA/media/Documents/Committee%20Resources/Hereditary%20Disease%20Committee/WSAVA-Hereditary-Disease-Committee_Position-Paper-(2018).pdf
posted by しっぽ@にゅうす at 08:44 | ペット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

海外で死者も…実は恐ろしい「狂犬病」の感染経路と症状、かまれた際の対処法

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今年5月、ノルウェー人女性が滞在先のフィリピンで子犬にかまれ、数日後に狂犬病で亡くなったというニュースが話題になりました。報道によると、女性は帰国後に体調を崩したとのことで、狂犬病の予防ワクチンも接種していませんでした。ネット上では「怖い」「どう気を付けたらいいの」など、さまざまな声が上がっています。

 狂犬病については、日本では「犬だけが感染する病気」というイメージを持つ人が多く、その症状やヒトへの感染リスクについて知らない人も多いようです。海外旅行シーズン前に知っておきたい「狂犬病の怖さとリスク」について、獣医師の増田国充さんに聞きました。

海外では年間5万人が死亡
Q.そもそも「狂犬病」とは、どのような病気でしょうか。

増田さん「『狂犬病』という名前から、犬に関連した病気であることが想像できますが、実際は人間を含めた哺乳類が感染・発症する可能性のある、ウイルスが原因の感染症です。世界の多くの国では、この狂犬病が普通に存在し、現在でも多くの人が亡くなっている現状があります。

野生動物がウイルスを保有し、犬にかみついた際に感染するのが一般的といわれます。感染後、2週間から2カ月程度の潜伏期を経て発症、興奮状態や不安状態、錯乱、水を怖がるなどの脳炎症状を呈し、最終的には昏睡から呼吸停止を起こして死亡します。

確立された治療方法がなく、発症してしまうと100%死に至ります。また、血液検査などの生前診断方法もないため、最終的には死後解剖によって、神経細胞からウイルスが検出されることで診断に至ります」

Q.狂犬病がヒトに感染するリスクや原因、感染源となる動物について教えてください。

増田さん「狂犬病ウイルスを持つ犬にかまれることによって感染するケースが多いです。狂犬病ウイルスは、感染した動物の唾液に多く含まれているため、かまれることで最もリスクを生じます。犬以外の動物では、コウモリをはじめとした野生動物にかまれた傷や、引っかかれたことによる感染が多いといわれています。

多くの哺乳類が狂犬病にかかるリスクがあるので、むやみに動物を触らないことが重要です。なお、ヒトを含む動物全般が傷を介して感染するので、傷のない部分に唾液が付着しても感染するリスクはまずないと考えられます」

Q.ヒトが狂犬病を発症するとどうなりますか。

増田さん「発症初期は風邪と似た症状が現れます。犬の場合と同様、進行していくと、不安感や、水を見ると首の辺りがけいれんする兆候がみられる『恐水症』の他、少々の刺激にも過敏に反応するようになります。その後、全身のまひがみられるようになり、最終的に呼吸障害を起こして死亡します。

動物にかまれた後、発症を予防するための『暴露後ワクチン接種』を数回にわたって行います。犬と同様、狂犬病を発症してからの治療方法はありません。いずれにしても、発症するとほぼ100%死に至ります。

ちなみに、ヒトからヒトへの感染は、『患者が他の人にかみつく』ということでなければ生じません。そのため、このケースでの発症は現実的に可能性が低いと考えるのが妥当です」

Q.ヒトが感染しているか確認する方法はありますか。

増田さん「感染を確認する方法は原則『ない』と考えておいた方がよいでしょう。血液検査をしても、ウイルスが検出されるわけではないからです。

かんだ犬が特定されており、その犬の容体が観察できる場合、狂犬病の症状を2週間以上示さなければ、狂犬病に感染した可能性を初めて除外できます。そのため、狂犬病の発生地域で犬にかまれた場合には、『狂犬病に感染している可能性がある』と想定して迅速に『暴露後ワクチン接種』を行う必要があります」

Q.日本国内での狂犬病の発生率や、狂犬病が流行している国・地域を教えてください。

増田さん「日本国内での感染としては、1956年を最後にヒトでの発生はありません。ヒト以外では、猫への発生が1957年に確認され、以降、発生はありません。海外で感染して帰国後に発症した事例としては、2006年に、フィリピン渡航中に狂犬病に感染した男性が亡くなった例があります。

世界保健機関の調査によると、年間5万人強の人が狂犬病によって命を落としています。そのうち、濃厚地帯となっているのはアジア地域で、死者は年間3万人にも上るといわれています」


渡航前のワクチン接種も有効
Q.狂犬病に感染することを防ぐため、海外旅行の際に気を付けるべきことはありますか。

増田さん「狂犬病が存在する地域では、むやみに動物に触らないことが重要です。動物に触れる可能性がある場合や、医療機関を受診することが難しい場合は、渡航前に狂犬病ワクチンの接種を行っておくことが推奨されます。このワクチン接種は、決められた方法で接種を行う必要があるため、事前に、計画的に接種を行う必要があります。

渡航前の狂犬病ワクチンが接種できる機関は、検疫所のホームページで確認できます」

Q.もし、渡航先で犬にかまれた場合、どのように対処すべきでしょうか。

増田さん「まず、せっけんと流水を使って傷口をしっかり洗います。そして、現地の医療機関にかかり、適切な初期対応を行うことが重要です。対応可能であれば、『暴露後ワクチン接種』をします。また、帰国した際にその旨を空港などの検疫所や保健所に報告し、日本国内の医療機関でしかるべき治療を受けましょう。

渡航先で処置がなされなかった場合は、速やかに保健所に相談し、医療機関で適切な処置を受けてください」

Q.犬以外に、狂犬病のリスクに注意すべき身近な動物はいますか。

増田さん「狂犬病の発生国では、犬以外に猫や野生動物が感染源となっています。また、地域によって異なりますが、アライグマ、スカンク、コウモリ、マングースなども感染源として注意が必要な動物と認識されています。基本的に、哺乳類の広い範囲が感染対象となっているため、いざ流行が発生してしまうと大きな脅威となってしまう可能性があります」

Q.日本国内で犬を飼う場合、飼い主に求められる意識・行動は何でしょうか。

増田さん「『過去24カ月間感染症例が確認されていない』『予防および管理のための規制措置を適正に実施』などの条件を満たした『狂犬病清浄国』は日本をはじめ、ほんのわずかです。日本人の場合、狂犬病になじみが薄いことから、その実態が分かりづらい面があります。

1950年に狂犬病予防法が施行されて以降、日本は清浄国に認定されましたが、ヒトや物流の行き来が激しい時代となり、ウイルスが侵入するリスクがないとはいえません。また、犬に予防接種を行う内容の法律ではありますが、本来の主旨は『ヒトの感染症対策』であり、防疫のために重要なものです。

万が一、日本国内に狂犬病が侵入してきた場合、流行を阻止するためには『70%以上の集団接種率が必要』というデータがあります。犬の飼い主さんは現行の法律にのっとり、必要とされる方法を講じることを心掛けてください」

オトナンサー編集部
posted by しっぽ@にゅうす at 08:42 | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

人よりも発見が遅れやすい? 意外と知らない犬の「がん」のこと

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犬の死因の1位ともいわれる「がん」ですが、犬の「がん」について意外と知らない飼い主さんも多いのでは?  そこで今回は、犬の「がん」についての疑問ついて、わかりやすくご紹介します。知っておくと、愛犬が「がん」になったときに進行を抑えることにも役立つはずです!

Q「がん」って何? どうしてなるの?
人よりも発見が遅れやすい? 意外と知らない犬の「がん」のこと
A.細胞が傷つくことで起こる「突然変異」です
A.細胞が傷つくことで起こる「突然変異」です
犬も人も、体は多くの細胞によってつくられています。体内の細胞がなんらかの原因で傷つくと、突然変異を起こして正常な働きを失い、過剰に増殖を繰り返すことがあります。これが「がん」細胞です。「がん」細胞は健康な犬の体の中にも毎日発生していますが、通常は免疫によって消されています。しかし、年をとると「がん」細胞が増える一方で、免疫の働きは衰えるので、生き残った「がん」細胞がかたまりとなり、「がん」になるというわけです。

Q.犬の「がん」って遺伝するの?
A.事例はありますが、まだ解明されていません
「がん」そのものが、遺伝することはありません。犬種でなりやすい「がん」があったり、親子で同時期に肺がんにかかったケースなどがあるため、「がん」の要因が遺伝されることは考えられますが、まだ解明されていません。

Q.犬と人の「がん」に違いはあるの?
人よりも発見が遅れやすい? 意外と知らない犬の「がん」のこと
A.人に比べて発見が遅れやすいです
A.人に比べて発見が遅れやすいです
避妊や去勢手術で一部の「がん」のリスクを低下できるなど、治療についてはやや異なりますが、「がん」になる仕組みは同じです。ただし、犬は痛みや違和感を言葉で訴えられないため、発見が遅れやすい傾向にあります。

Q.犬が「がん」になるのは飼い主のお世話の仕方が悪いせい?
A.そうとは言いきれません
人の「がん」でも同様ですが、「がん」になるまでにはさまざまな要因が絡み合うため、原因を特定することはできません。ただしストレスは免疫力を低下させるので、犬に強いストレスを与えるのはNGです。

「がん」はどの犬でもなりうる病気。正しい知識を知っておき、いざというときにあわてないようにしましょう。

参考/いぬのきも18年6月号『知っておきたい犬の「がん」』(監修:池尻ペットクリニック院長 遠藤美紀先生)
イラスト/ワタナベモトム
文/melanie

いぬのきもちWeb編集室
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法律改正でどう変わる?|国家資格制度の導入が決まった動物の看護師さん

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取材・文/柿川鮎子 撮影/木村圭司

第一線で活躍しているベテラン動物看護師の佐々木優斗さんに、動物看護師の現状と国家資格に関するお考えを教えていただきました。佐々木さんは動物看護師の方たち向けに看護の具体的な方法の講演をされるなど、動物看護師の現状に詳しい立場にいます。

■動物看護師の現状
――資格制度の無い現在、どんな人が動物の看護師さんになっていますか?

佐々木さん「少し前までは専門学校を卒業後になる方が多かったのですが、現在は大学で専門知識を学んだ後、動物病院に勤務するケースが増えました。動物看護師専門の大学が設立されて、大学を卒業後に、動物看護師の道に進まれる方が多いです。

動物医療にかかわる仕事をしたいという、明確な目的を持った人が多く、獣医師と看護師の両方を目指していて、獣医科に合格できなかったので、看護師になった、という人も増えました。国家資格の導入で、動物看護師を目指す人にとっても、期待できる面が増えたと思います。

■資格制度の導入のメリットとは?
――国家資格が導入されると、どんな点が看護師さんにとって有利なのでしょうか?

佐々木さん「有利かどうかは別として(笑)、これでやっと社会的に認められたという感じですかね!現在、活躍している動物看護師は、動物病院で獣医さんと一緒に働いていても、社会からみたら、正式な資格も無い、ただの一般人という位置づけです。

したがって、いくら実績を積んでも、採血や注射、投薬などの医療行為は人間の看護師と違ってNGでした。それが変わるという点が、今回の資格制度において、大きな意義になるのではないかと、私は考えています。

海外、特に米国では獣医療における動物看護師の役割はとても大きく、病院によっては獣医師が診断を下した後は、看護師がほとんどの処置や治療を行うようです。ベテランの動物看護師と若手獣医師だったら、動物看護師の方がスキルが高く、獣医師が意見を聞いて診断を下すこともあると聞きました。

■資格をもった動物看護師で病院が変わる?
――実際に国家資格が導入されると、動物医療の現場はどのように変化するでしょうか?

佐々木さん「具体的な内容は決まっていないので、あくまでも私自身の考えですが、一番は獣医さんへのサポートの質の向上かと思います。採血や注射なども可能になるかと思いますので。新たに開業する獣医さんも「ベテランの動物看護師がいれば事足りる!」ってことで、開業しやすくなるかもしれないですね。

あとは飼主さんに対して、より医療的なアドバイスが可能になるかと思います。動物看護師が飼い主さんの立場に立つことで、より具体的なアドバイスができるようになると期待しています。

お金がかかってもよりよいサービスを受けたいという人と、ある程度ペットにかけるお金を制限したいと考える人の、二通りの飼い主さんがいるかと思います。動物看護師が上手に架け橋を作って、飼い主さんのニーズに合った治療を提案できるようになるかもしれません」

■看護師資格導入によるデメリット
――逆に国家資格になることで予想される問題点は?

佐々木さん「先ほど社会的に認められる!、と言ったのですが、これがデメリットにもなるのかなと、懸念もしております。

現状は国家資格の取得方法は決定していませんが、国家試験があると予想されています。現職の動物看護師であっても「試験に落ちたら、動物看護師ではない!」となり、試験ひとつで判断されてしまいます。現役動物看護師であっても試験に落ちてしまうと、次の試験まで動物看護師は名乗れないのが痛手となるでしょう。

現職で働かれている動物看護師は、エキゾチックなど専門の道を極めていたり、中には現場よりもマネージメントに力を入れている方も少なからずいらっしゃいます。そうなってくると試験範囲によっては、不利になってしまう可能性もあるでしょう。

学校で動物医療や公衆衛生などを習っていても、現職で使わないために、埋もれている知識もありますから。獣医さんでさえ、たまに「あれ学生時代に習ったけど、いったい何だったのかなぁ?」なんて笑いながら話す人もいます。

試験内容によっては、現職の看護師の方が不利になるかもしれません。試験前に再講習などがあれば有難いのですが、働きながら通えるかどうかが、問題になるでしょう。資格となると本当に難しい問題がいくつも出てきます。期待もありますが、不安もあり、どうなっていくか見守りたいですね」

■看護師さんと飼い主さんが良い関係でいるために
――動物病院で看護師さんとの付き合い方のコツがあったら教えてください。

佐々木さん「動物看護師は獣医さんと飼い主さん、獣医さんとペット、飼い主さんとペットの3つの懸け橋的な役割をしております。分からないことがあれば何でも聞いてください!『こんなことを聞いたら恥ずかしい』と思わないで、聞きたいことはどんどん納得するまで、徹底的に説明してもらった方が、ペットのために良い結果となることが多いのです。

最近では看護師以外に、受付や、コンシュルジュなどが病院にいるので、獣医さんにできなかった質問などは、その方たちに聞いてもらってもいいですね。

動物看護師が国家資格をもった職業として注目されることで、動物看護師を目指したいと考える優秀な若い人材が増えることを期待しています。よく講演で聞かれますが、動物看護師の適性とは、まず「動物が好きであること」です。ありきたりですがこれが一番です。

あとは飼主さんとの懸け橋の役割を担うので、人と接することが苦にならないこと。「究極のサービス業」ですから。向き不向きはやってみないとわかりませんが、不向きの点は自分の気持ち次第でいくらでも覆せると、私自身の体験から断言できます。

今でこそ獣医さんは私を頼ってくれますが、初めはヘッポコ動物看護師でした。最初に就職したのが動物救急病院だったので、獣医さんの口調も厳しく、「そんなんじゃダメ!」とか「もっと効率よく動け」と叱られ、「自分には向いていない」と不安な時期もありました。

ただ、よく考えると獣医さんの怒りの本質は「もっと動物達の為になる仕事をしよう」だということがわかって、自然と前向きに捉えられるようになりました。多くの看護師は、私と似たような体験をしていると思います。

私の場合は忙しい中でも1日10分は自分が担当した症例を勉強していました。煮詰まってしまわないように、少しずつです。現場で先生の治療を見ながら、自分で症例の治療シミュレーションをして、その差を考えたりもしています。どんな仕事も同じでしょうが、看護師になって終わり、という職業ではありません。

ただ、自分の知識や技術が身に着けば、自然に動物の為に繋がっていく。飼い主さんとの話の幅も広がり、内容が濃くなって、言葉に説得力も出てきます。動物が好きであれば、いくらでも成長できる職業です。国家資格の導入で、看護師になりたいという人が、増えてくれれば良いですね」

* * *

佐々木さんのお話で、動物看護師がさんより身近で頼りになる存在に感じられてきました。ペットと暮らしていると、絶対に縁の切れない動物病院。これからは動物看護師さんとも、より良い関係を築いていきたいものです。

取材協力/動物介護・看護師 佐々木優斗さん
動物看護師として0.5次予防医療から救急医療まで幅広い分野を経験。愛犬の死を機に、もっと「わんちゃんの為にできる仕事」をと考え動物介護士としての道を選択。犬の大型介護施設勤務、ハイホスピタリティ老犬ホームの立ち上げ、老犬&老猫ホームのマネージャーを経て、新たに動物往診事業や動物介護+動物看護の提供、人材育成やキャリアデザイン構築をかかげ株式会社B-sky統括マネージャーに就任。その傍ら、理念を共にする者と一般社団法人高齢動物医療福祉協会を設立し専務理事に就任。
・株式会社B-sky
・往診専門動物病院 わんにゃん保健室
・一般社団法人 高齢動物医療福祉協会

文/柿川鮎子
明治大学政経学部卒、新聞社を経てフリー。東京都動物愛護推進委員、東京都動物園ボランティア、愛玩動物飼養管理士1級。著書に『動物病院119番』(文春新書)、『犬の名医さん100人』(小学館ムック)、『極楽お不妊物語』(河出書房新社)ほか。

撮影/木村圭司
posted by しっぽ@にゅうす at 08:38 | 法律 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「子猫殺し」から13年…… SNSが増幅させる「善意のバッシング」一瞬で食らいつく「人格否定」の猛威

withnews



ネット炎上を語る上で外せないテーマの一つに「善意のバッシング」がある。「○○がかわいそう」「○○するのは許せない」などの共感を土台にした「善意」が動機になっているが、結果として誹謗中傷や脅迫まがいの行為が横行する、いわゆる「集団リンチ」の様相になるのが特徴といえる。今からおよそ13年前の2006年に起こった「子猫殺し」を告白した作家をめぐる「炎上」はその先駆けともいえるものであった。作家の死後、明らかになった「意外な顛末」も含め、一連の騒動は、「感情の拡張」を制御できない私たちへの警鐘として生き続けている。(評論家、著述家・真鍋厚)

問題提起として書かれた1本のエッセイ
「子猫殺し」は、直木賞受賞作家として知られる坂東眞砂子が、日本経済新聞の夕刊「プロムナード」欄に週1回で連載していたエッセイが発端だった。
「私は子猫を殺している。家の隣の崖の下がちょうど空地になっているので、生れ落ちるや、そこに放り投げるのである」。当時住んでいたタヒチで飼っていた三匹の雌猫とその子猫の取扱いを通じた問題提起だった。

坂東が述べた理由はこうだ。

避妊手術は「本質的な生」を人間の都合で奪う面があり抵抗がある。しかしこれに異は唱えない。ただ、「避妊手術」と「生まれてすぐの子猫を殺すこと」は同じことだ。「子種を殺すか、できた子を殺すかの差」である。「どっちがいいとか、悪いとか、いえるものではない」。そもそも動物を飼うこと自体が、「人のわがままに根差した行為」であり、どこかで必ず矛盾や不合理が生じてくる。私は猫の「生」=生殖行為の充足を優先し、その「責任として子殺し(の方)を選択した」。

――という内容だった。

人格否定であふれた書き込み
坂東は、文中で「人は他の生き物に対して、避妊手術を行う権利などない。生まれた子を殺す権利もない」として、自分も「矛盾や不合理」の渦中にいることを明確に認めている。エッセイそのものが、広範な議論の提起を目的としたものであった。
しかし、結果として、そのメッセージは正確に伝わらなかったと言わざるを得ない。当時のネットの電子掲示板やブログなどの書き込みでは、一部で人間と動物の関係をめぐる活発なやりとりが行なわれたが、その多くは子猫を殺した著者の人間性を疑うといった人格否定へと傾いた。

「子猫殺しの変わった作家」というレッテル貼りである。週刊誌も興味本位で書き立て、扇情的な空気を作り出した。

スポットライトとしての共感
つまり、議論のための材料を提供したと思ったら、材料そのものへの批判が殺到したというわけだ。
それは分かりやすくいえば「動物愛護」に対する共感の輪が、そのままバッシングの包囲網となっておそいかかったようなものであった。

心理学者のポール・ブルームは、このような「共感」に基づく関心が一つの物事に集中し、それ以外が見えなくなる現象を「スポットライトとしての共感」と呼んでいる。

著書『反共感論 社会はいかに判断を誤るか』(高橋洋訳、白揚社)では「スポットライト的な性質を持つ情動は、共感に限られない。怒り、罪悪感、恥、感謝の念などの情動も、共感に類似する」と主張している。

害を大きくしてしまう「共感」
ブルームは、「共感」を2種類に分ける。「情動的共感」と「認知的共感」だ。
「情動的共感」は、無意識的なもので「他者の心の中で起こっていることを自分も感じること」。

「認知的共感」は、「他者の心の中で起こっていることを感情を差し挟まずに理解すること」である。

ブルームがとりわけ問題視するのは「情動的共感」だ。

普段の日常生活で身内などを思いやる分には害は少ないが、道徳的な課題や政治問題など公共政策を考える場面では害が大きくなるという。なぜなら前述した「スポットライト」の効果によって、問題の焦点そのものが狭まり、残りの暗がりにある様々な事情が見えにくくなるからである。

<この効果はまた、私たちが持って生まれた感情について、より一般的なことを教えてくれる。つまり、それらが数的感覚を欠いていることを。私たちの関心が特定の個人の苦難に関する思考によって駆り立てられているのなら、一人の苦難が1千人の苦難より重要と見なされるような倒錯した状況を生み出し得る。>――ポール・ブルーム『反共感論 社会はいかに判断を誤るか』(高橋洋訳、白揚社)

呪詛に満ちたメール、議論が萎縮
坂東のエッセイでは、「子猫を殺した」という部分だけに注目が集まり、そこに「情動的共感」でつながる人々が大量に生じたとみなすことができる。
「共感のスクラム」は「一つの動物虐待」という事件性にのみ固執する。そうなると、中立的な立場から突き放して分析することすら非難の対象になりかねず、自由な議論が委縮し、個人攻撃が野放しにされるようになる。

著者の元には呪詛に満ちたメールが多数寄せられ、コラムの担当デスクの名前がネット上でさらされ、新聞社主催の公開討論は中止に追い込まれることになった……。

ソーシャルメディアが増幅させる「泥沼」
当時はまだ電子掲示板やブログなどが主流(mixiがサービスを開始して約2年)だったが、現在では速報性と感情の連鎖を重視するソーシャルメディアによって、この「情動的共感」は化学反応のスピードを増し、ますます先鋭化する状況になっている。
いわば「情動的共感の泥沼」にはまり込むのである。その時、ソーシャルメディアは、わたしたちの「感情を劇的に拡張させる」方向に作用する。

もう一つ、現代に特有の重大な落とし穴がある。それは、「スポットライト」による効果と非常に似ている、ネットによる「特定の出来事の可視化」と、その結果として生まれる「目に入らない領域」の増大である。

「この世の悪はネットによってすべて暴かれる」
確かにソーシャルメディアは、これまで表に出てこなかった「事件」を「可視化」するツールという面ある。
しかし、それは「可視化された特定の出来事」以外への興味や関心が抑えられ、言い換えると「目に入らない領域」が際限なく拡大していくことだ。

今年2月、散歩中の犬を飼い主である女性が足で蹴り上げる様子が映った動画が、Twitterに投稿されてネット炎上を誘発し、テレビ局が取り上げる「事件」にまで発展した。

もちろん動物虐待は決して許されるものではないが、もっと大きな視点で見れば、年間数万件に及ぶペットの殺処分の問題があり、その背後には飼い主による飼育放棄が存在している。さらに深く掘り下げると、「動物の権利」(アニマルライツ)や「動物福祉」(アニマルウェルフェア)という概念も考えなくてはならないだろう。

しかし、そのような根本的な解決が困難な重苦しい全体図よりも、衝撃性のある分かりやすいストーリーの方が好んで拡散され、あっという間に炎上ネタ≠ニして消費されることとなる。

まるで「この世の悪はネットによってすべて暴かれる」かのような錯覚が生まれやすくなると、ソーシャルメディアを一種の監視システムとして運用する傾向が強まり、「膨大な目に入らない現実」の存在を忘れさせてしまう。

ただでさえ情報で飽和している時代、人々は自分に必要な情報が何かを見分けることは難しい環境に置かれている。何が大事な情報なのか考える余裕がない中、この「情動的共感」とリンクした「可視化」の波、つまり、画面に表示される「わかりやすいストーリー(見世物)」をクリックしてしまいがちになっている。

現実をも変えるリスク
「目に入らない領域の拡大」は、現実をも変えてしまう。
人間関係が希薄になった現代において、その空白を、ネット空間に生まれる間接的で手軽なリアリティで代替しがちになるからだ。

それは、広大なオフラインの領域があるという単純な話ではない。ソーシャルメディアでの滞留時間が増えると、コミュニケーションの密度が濃くなり、「情動的共感」と「可視化」が結合した特殊なリアリティが立ち上がってしまう。その結果、オンライン上に文字や画像として現れる一部の現実だけをもとにしたネットユーザーの主観的な社会像を再構成していくのである。

統計的には減っているにも関わらず、凶悪犯罪に対する過熱報道とソーシャルメディアによる過剰な情報共有により、「体感治安」が悪化して社会不安が増幅される現象が典型だ。

そのような人々がこぞってネット炎上に便乗すればするほど、社会的課題としてもっと熟慮しなければならない数々の「矛盾や不合理」を素通りしてしまう。それは脊髄反射的なリアクションの対極にある「引いて見る」「全体像を掴む」思考の停止を意味する。

「じつは子猫を殺してなどいなかった」
坂東の死去後、作家の東野圭吾は、『集英社WEB文芸 RENZABURO(http://renzaburo.jp/bando_memorial/index.html)』で「じつは子猫を殺してなどいなかった坂東眞砂子さんのこと」と題した追悼文を寄稿した。坂東本人の口から「子猫殺し」の話が脚色したものであることを聞いたと書いている。
「実際は二メートル程度の段差。下は草むらやから、落としたぐらいでは死なへん。つまり正確にいうと、子猫を裏の草むらに捨てた、ということやね」「つまり、殺すも同然ということやね。けど、私は子猫を殺してるも同然である、と書いたのでは意図が伝わらへんと思た。そこでひとつ、子猫を殺している、と」などと誇張した経緯を喋ったとしており、「たった一本のエッセイのせいで作られた誤ったイメージを、とうとう彼女が生きている間には払拭できなかったこと」が無念に思うと記している。

ところが、かつて坂東を叩いた人々はその事実をケロリと忘れたのか、ほとんど何の反響も呼ばなかった。このような顛末も含めて一連の炎上騒動は、今日ネットに氾濫する「行き場のない善意の空騒ぎ」の原点といえるものであり、「共感の飢えに促された感情のはけ口」としてのソーシャルメディアの現在地を予見させるものであったのだ。

わたしたちには「感情の拡張」というマジックと上手く付き合っていく知恵が必要である。
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