週刊文春デジタル 園長役の志村けん(69)と、飼育係役の嵐・相葉雅紀(36)が司会を務める「天才!志村どうぶつ園」(日本テレビ系)の準レギュラーコーナー「白井家」。子どもたちから神≠ニ呼ばれる母親の白井由紀子氏が中心となり、長男・鴻明氏と次男・迅氏のイケメン大学生兄弟らが37匹の動物の飼育に悪戦苦闘する様子が人気を博している。しかし既報の通り、白井家は“不適切飼育”や“近隣トラブル”の問題を抱えている。
「11月16日、『週刊文春デジタル』報道後も予定通り『志村どうぶつ園』は放送され、白井家も登場しました。白井家には新たな仲間としてカメレオン3匹と犬1匹が増えていた。増え続ける動物の餌代を抑えるために、魚釣りに出かけたり、畑を耕して野菜を作ったり、スーパーの特売に向かうなど白井家の節約術も紹介されています。しかし、いつもなら画面の左上にスタジオの出演者の様子が映し出される“ワイプ”が一切ありませんでした。問題視されている白井家とタレントを絡ませないようにという、制作側の配慮のようです」(日本テレビ関係者)
実は、白井家の抱える問題は既報のものだけではなかった。今回新たな証言と物証によって、“チャリティー詐欺疑惑”や“ボランティア搾取”の実態が浮かび上がってきたのだ。
白井家の馬の蹄鉄を1万円に値上げした
白井家の関係者Aさんは「テレビ出演後、白井家ではチャリティー活動に力をいれるようになった」と語る。
「白井家で主に仕事をしているのは英会話教室を経営している由紀子さんだけなので、彼女の収入だけで約40匹もの動物を飼育することはできません。だから動物のために、チャリティー活動で飼育費用を集めているんです」
白井家が行っているチャリティー活動は主に3つ。「馬の使用済み蹄鉄販売」「動物のお世話体験会」「馬との撮影会」だ。
「特に大きな収入源になっているのが蹄鉄販売です。由紀子さんや鴻明くんがSNSで“馬の蹄鉄は昔から幸運を引き寄せる”といって、白井家の馬の使用済み蹄鉄に鴻明くんがスプレーでペイントを施して販売している。当初は3000円で販売していましたが、今年の春くらいからラッピングをしたりお礼の手紙を添えたりするうちに、どんどん売れ出した。それで蹄鉄を1万円に値上げしました」(同前)
《【幸運の蹄鉄チャリティー販売】「白井家」の馬達のとても貴重な馬蹄を、チャリティー販売することとなりました! 多くの方に知っていただきたいので、シェアしていただけると嬉しいです。白井家の馬の命とも言われる蹄鉄を、鴻明が一つ一つ磨き、特殊加工でデザインしたもので、時間だけでなく想いがいーっぱい詰め込まれたものです。この売り上げは、白井家の動物達のための資金に活用させていただきます。※当初20個の数量限定とさせて頂きましたが、数量を超えたため、予約販売とさせていただきます。※現在、予約が殺到し お返事に時間がかかっております。メールの届いた順番で、1件ずつ必ず返信をいたしますので、申し訳ありませんが、お待ちいただけると嬉しいです。※デザインの指定はできませんので、ご了承ください》(2019年4月14日 由紀子氏のインスタより)
蹄鉄販売の告知(由紀子氏のインスタグラムより)※現在は削除されている
蹄鉄販売の告知(由紀子氏のインスタグラムより)※現在は削除されている
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蹄鉄は飛ぶように売れ、収入も激増したという。しかしAさんは「それはどう考えてもおかしいんです」と続ける。
蹄鉄は足りなくなったら運ばれてくる
「蹄鉄は馬のヒヅメに釘で打ち付けたU字型の保護具です。白井家の乗馬用の馬は40日ごとに装蹄師が交換しています。白井家の家で飼育されている馬は現在2頭。ということは、使用済み蹄鉄が出るのは多くて1カ月に8個、1年で96個。しかし少なくとも今までに300個以上は売れています。
実は、蹄鉄が足りなくなると、どこからか白井家と無関係の蹄鉄が車で自宅に届けられるんです。鴻明くんが作業をするプレハブ小屋には、大量の蹄鉄が入った缶が置かれていました。作業場にはいつも蹄鉄が山積みされていて、『多いときは20個くらい作る』と自慢していたこともあります」
ファンが購入した蹄鉄
ファンが購入した蹄鉄
11月14日、記者が直撃取材のため白井家を訪ねた際も、玄関脇には無造作に置かれた多数のスプレー缶の横に十数個の蹄鉄が並べて乾かされていた。
「白井家の馬の蹄鉄だからと購入しているファンの人たちへの裏切り行為ですよ。それに、第1弾で報じられた記事で、鴻明くんがヤギに落書きしていたのはこの蹄鉄をペイントするスプレーです。このスプレーは輸入品で、人体や動物に有害なトルエンやアセトンが含まれている。スプレー缶にも《脳神経系に影響し、めまい、頭痛、吐き気の症状をひきおこすおそれがあります》《目に入れたり、皮膚や衣服に付着しないようにしてください》と書かれています。それをヤギに吹き付けるなんてひどい虐待ですよ。動物のためにチャリティーをやっているはずなのに、本末転倒です」(同前)
蹄鉄の仕入れについて、動物研究家のパンク町田氏は「タダ同然で手に入る」と指摘する。
「蹄鉄の原価は安くて1つ500円くらいで、平均1500〜3000円くらいです。トレーニングセンターなどでは、毎日100個くらいの蹄鉄を取り換えているのでタダ同然でいくらでも手に入る。
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そもそも競走馬でもない馬に蹄鉄を履かせる必要はない。ムツゴロウさんも馬をたくさん飼っていますが、蹄鉄を履かせている馬はほとんどいませんよ。逆に蹄鉄をつけてしまうと、パンチ力・キック力が増すので大変危険です。ハンマーを持たせているのと一緒ですから。ましてや脱走するような環境で蹄鉄まで履かせたら、重大な事故が起きる可能性もある」
チャリティー活動のなかでの不適切行為はほかにもある。白井家の関係者であるBさんが目撃したのは、2019年4月29、30日に行われた「志村どうぶつ園で有名な白井家で動物たちのお世話体験会」でのことだった。
足場の悪いぬかるみで乗馬体験を強行
「お世話体験会は人気のチャリティーイベントです。白井家の厩舎の掃除、馬のブラッシング、乗馬体験にお散歩、軽食付きで大人は1名1万円で子供は1名5千円。安くはない料金ですが《ここで得られました収益は、白井家の動物たちの為に使わせていただきます》と銘打たれていたので、動物好きな人や白井家を応援している人が2日間で50名ほど集まり、とても盛り上がりました」
白井家のSNSで告知されたお世話体験会の案内
白井家のSNSで告知されたお世話体験会の案内
しかし4月29日に大雨が降り、30日には放牧場がぬかるんでほとんどが水溜りに覆われていたという。Bさんはその様子を見て「今日の乗馬体験は中止だろう」と考えていた。
「以前、由紀子さんは『志村どうぶつ園』(2019年1月19日放送)で、ヒヅメは馬の命で、濡れたままだとカビや細菌が増殖して走ることが出来なくなって、命を落とすことになると説明していたんです。今回は動物のためのチャリティーイベントですし、中止や延期するとなってもみなさん納得してくださると思うのですが、結局由紀子さんは水溜りの上で乗馬体験を行い、馬は参加者を乗せて30分近く放牧場内を回っていました。2日間で約40万円の収益を出したそうです」
ぬかるみで乗馬体験
ぬかるみで乗馬体験
ぬかるみで乗馬体験。左の人物は由紀子氏
ぬかるみで乗馬体験。左の人物は由紀子氏
前出のパンク町田氏はぬかるみでの乗馬体験についても「不適切だ」と指摘する。
「蹄鉄を履かせた状態でヒヅメが濡れたままでいると、サビついてしまいます。サビは身体にとって良くないですし、サビから化膿してしまうこともあります。濡れてしまったら拭いてよく乾かしてやる必要があります。
そもそも馬は非常に足元を気にする動物ですよ。足元が悪いところで乗馬をするというのは馬にとって非常にストレス。人間側にとっても危険が伴います。わざわざ雨の日や足元の悪い日に乗馬体験をする必要はない」
チャリティー活動での収益の使い道に疑問
Bさんがチャリティーイベントに不信感を覚えるのは、動物への不適切な扱いだけではない。
「最近、チャリティーイベントの収益が急増しています。2019年5月2日に開催された撮影会は料金が2万円でしたが、11月3日に3組限定で開催された撮影会は1組15万円に値上げしました。SNSで告知をして人が集まったらすぐに消してしまうのですが、それでも5月の撮影会には約20人が参加していたから、相当な額のお金が集まっているはずです。動物の飼育にはお金がかかるので稼ぐことはいいと思うのですが、問題はその使い道なんです」
今まで白井家は多くの部分をボランティアに頼ってきた。番組でもカナダ人男性らがボランティアとして登場している。
「ボランティアの方々は、お金がない中でひたむきに動物の飼育をする白井家に心を動かされて、動物の世話はもちろん、設備が壊れれば無償で修繕し、時には自腹を切って修繕材料を購入してきました。テレビ出演後も、由紀子さんが『出演料はもらっていない』と言っていたから大変だろうなと続けてきている。でも、チャリティーイベントであれだけ収益が出ているなら、せめてボランティアの交通費くらい出してあげるとか、それくらいはしたっていいんじゃないかと思うんです」(同前)
「ヒヅメは馬の命」と語っていた(「天才!志村どうぶつ園」1月19日放送回より)
「ヒヅメは馬の命」と語っていた(「天才!志村どうぶつ園」1月19日放送回より)
ボランティアからの奉仕を受ける一方で、「白井家の生活は派手になってきている」とCさんが続ける。
鴻明氏の部屋にはギターが増え、車も買い替え
「蹄鉄の料金の振り込み先は鴻明の個人口座なのですが、蹄鉄が売れはじめた頃から鴻明の部屋のギターが増え始めたんです。急に新しい洋服が多くなり、学生ながら車も買い替えた。元々鴻明はファミリーカーに乗っていましたが、春以降に中古の高級車を80万円くらいで購入した。車高を低くし、マフラーも改造して住宅街の狭い道を猛スピードで走っていく。夜に寝ていると重低音が響くのですぐわかります。動物のためになるならと寄付をしている近隣の農家の方や、親しいペットショップの方々もいるのに、そういうお金の使い方はおかしいですよ」
15万円での撮影会風景。ドレスなどのレンタル衣装を着て撮影していた
15万円での撮影会風景。ドレスなどのレンタル衣装を着て撮影していた
白井家には、外部から蹄鉄を取り寄せているか、1組15万円の撮影会を行っているかどうか、「志村どうぶつ園」から出演料を得ているかどうかについて文書で質問した。回答は以下の通りだ。
――飼育する馬の使用済み蹄鉄を以前は3000円で販売していましたが、テレビ放映後には1万円で販売し、蹄鉄が不足すると他から大量に取り寄せて販売しているのは事実でしょうか。
「販売していることは事実です。他から大量に取り寄せて販売はしていません」
ヒヅメの重要性を番組も説明(「志村どうぶつ園」1月19日放送回より)
ヒヅメの重要性を番組も説明(「志村どうぶつ園」1月19日放送回より)
――2019年11月3日に限定3組で1組15万円の撮影会を行っていますが、収められたお金は適正に動物たちに使用されていますでしょうか。
「チャリティーイベントは行いましたが、1組15万円の撮影会は行っておりません」
――「天才! 志村どうぶつ園」出演に際して、日本テレビから白井様に出演料などの金銭は支払われていますでしょうか。
「取材協力費はいただいております」
鴻明氏は馬のためにぬかるみをなくす作業をしていた(「志村どうぶつ園」1月19日放送回より)
鴻明氏は馬のためにぬかるみをなくす作業をしていた(「志村どうぶつ園」1月19日放送回より)
今回新たに、チャリティー活動内の動物への不適切な扱いや、チャリティー活動で得た収益の使い道、今後の「天才!志村どうぶつ園」への出演などについて質問したところ、白井家から文書で回答があった。
「私たち家族は動物たちを愛し、動物たちの健康を考えながら飼育しております。また、ご支援を頂くことはありますが、動物のために使用しております」
白井家に浮上する数々の疑惑。チャリティー活動が動物のために適切に運営されることを祈るばかりだ。