ペットに対する関心が高まるにつれ、関連産業も大きな変化を遂げている。ドラッグストアも販路となっているペットフード・用品の多様化から、高齢化による訪問看護・在宅ケアまで商品やサービスが次々と誕生している。矢野経済研究所(東京・中野)の調べによると、国内のペット関連市場は2018年度、1兆5千億円規模だったもようだ。
飼い主の都合で飼育を放棄するなど、ペットを単なるモノとみなす動きは後を絶たないものの、家族の一員として扱おうという基本的な考え方がようやく浸透してきた。少子高齢化が進む日本では、ペットの存在価値や社会的役割は一層高まるだろう。飼い主のモラル向上はもちろんだが、ペットを支えるための法や制度を整えることも大切になる。
6月、動物病院で獣医師を補助する動物看護師の国家資格を創設する、愛玩動物看護師法が国会で成立した。獣医師の業務が増えるのに伴い、支援する看護師の質の向上を目指す目的だ。
動物看護師の存在は、人の医療に関わる看護師と異なり、あまり知られてこなかった。動物看護師はこれまで、民間団体による認定資格にとどまっていた。今後、愛玩動物看護師として国家資格に合格すれば、より高度な動物医療に携わることができる。
具体的には、獣医師のみに認められていたマイクロチップの挿入や採血、投薬などが可能になる。犬や猫へのマイクロチップ装着を義務化する改正動物愛護法も6月、国会で成立した。捨て犬や捨て猫を防ぐ狙いで、愛玩動物看護師の活躍の機会も増えるとみられる。ほかにも、ペットの栄養管理からアニマルセラピー活動、高齢者・障害者への飼育支援まで幅広いニーズが予想される。
インターネットでは、ペットに関する様々な情報があふれかえっている。愛玩動物看護師ら正しい知識を持ち飼育について的確なアドバイスのできる専門家を充実させることは、ペットに関わる企業にとっても欠かせなくなる。ペットを家族と同等の「コンパニオンアニマル(伴侶動物)」とみなし、愛する思いをより浸透させるために、ドラッグストアもかたちある環境整備に協力したい。