動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2019年11月12日

ペットに噛まれて腫れても放置、命の危険に 動物からの感染症を獣医師が解説

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猫や犬と一緒に暮らしていると彼らの機嫌を損ねて、噛まれることがあります。「朝、起きたら、猫に噛まれたところが腫れている」「ひっかかれたところが、熱っぽい」という経験を持っている人も多いです。愛犬、愛猫が噛んだ傷なので、大丈夫だと思っていませんか。

放置しておくと命の危険にさらされることもあります。今回は、犬や猫などの動物に噛まれたときの対処の話をします。ある意味、噛傷が非常に多い筆者が、ポイントをお伝えします。

「フェレットにかまれ感染症で死亡の警官 公務災害と認定 大分県警」の事件がありました。最悪の事態になり、警察管のご冥福をお祈りします。

この警察管は、フェレットを捕獲しようとした際に手を噛まれて3カ月後に感染症を発症して、16年半の間、入退院を繰り返し死亡しています。動物による噛傷は、侮れないのです。

動物から人にうつる病気のことをズーノーシスといいます。

ズーノーシス(Zoonosis)
ズーノーシスとは、人獣共通感染症、動物由来感染症と呼ばれることもあります。WHOでは「脊髄動物と人の間を自然な条件下で伝播する微生物による病気または感染症(動物等では病気にならない場合もある)」と定義しています。簡単にいうと、動物から人にうつる病気です。

ズーノーシスは、WHOが確認しているだけで、200個以上あるといわれています。これには、生物テロで使われる炭素菌やペスト菌なども含まれています。

ズーノーシスの伝播(でんぱ)
伝播とは、広がり伝わることです。その方法は、直接伝播と間接伝播があります。

直接伝播:噛まれる、ひっかかれる、触れる(糞尿、飛沫、その他)などをして動物から直接感染します。

間接伝播:節足動物(ダニ、ノミ、蚊、ハエなど)媒介、動物から出た病気が環境(土、水など)媒介、動物性食品(畜産物が病原体に汚染されている)媒介など、間接的に人にうつることです。

今回はその中でも、日本にあり直接伝播の中の「噛まれる」「ひっかかれる」ことで動物から人にうつる病気を主に紹介します。

猫ひっかき病
(症状)

猫に噛まれたり、ひっかかれたりして発症する病気です。病原体を持っているイヌやノミから感染することもあります。バルトネラ菌(Bartonella henselae)が原因です。

受傷した部分の赤く腫れたり、化膿したりします。発熱、痛みがあり、ひどい場合は、腋窩のリンパ節まで腫れます。稀に脳炎になり意識障害を起こします。

感染経路:犬、猫、保有菌を持っている猫を吸血鬼したノミから感染することも。

パスツレラ症
(症状)

犬の約75%、猫のほぼ100%が口腔内常在菌としてパスツレラ菌を持っています。

パスツレラ菌の種類は現在、P.multocida、P.canis、P.dagmatis、P.stomatis の4種類が犬や猫が保菌しています。

主な症状は、皮膚の化膿です。最新の調査では、呼吸器系の疾患、骨髄炎や外耳炎などの局所感染症、敗血症や髄膜炎など全身重症感染症もあり、ひどい場合は、死亡に至った例も確認されています。

感染経路:犬、猫

カプノサイトファーガ感染症
(症状)

犬や猫の口腔内に常在している3種の細菌、C. canimorsus、C. canis、C. cynodegmiが原因です。

発熱、倦怠感、腹痛、吐き気、頭痛などで始まり、ひどくなると、敗血症を起こし、死に至ることもあります。日本での報告は少ないです。

感染経路: 犬、猫

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
(症状)

ブニヤウイルス科フレボウイルス属の重症熱性血小板減少症候群(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome : SFTS)ウイルスによって感染。

人の症状は、発熱、消化器症状が主なもの。名前の通り血小板減少する。

感染経路: 主にSFTSウイルスを保有するマダニから。いまの時点では、SFTSウイルスに感染した猫や犬に噛まれる、その血に接触したことで感染することも否定できません(新しい疾患なので、まだ詳細は不明な部分が多い)。

鼠咬症(そこうしょう) ストレプトバチル感染症
(症状)

日本では多くありません。人の症状は、悪寒、発熱、患部の腫れがあり、関節炎を起こして、まれに敗血症になることもあります。

感染経路: ドブネズミ、クマネズミ

噛まれたらどうするか?
私は、仕事柄、猫によく噛まれます。そのときは、以下のことに気をつけています。

1、水道水を流しながら、傷口をよく洗う。

たとえ、診察の途中でも一旦、中断して洗面所で、洗い流します。丁寧にじっくりと。

2、傷の周りを押し出すように、洗う。

傷口の辺りの病原体を押し出すようにしています。

3、決して、貯めた水で洗わない。

洗面器に貯めた水で洗うと、そこに病原体が残ることになるので、流水にすることが大切です。

4、もし、近くに水道水がない場合は、ペットボトルのミネラルウォーターでもいいので、かけながら、洗う。

5、患部から血が止まらない場合は、洗い流した後に圧迫止血する。

飼い主が、猫を保定しているときに、手を噛まれて、圧迫止血をしていても止まらず、救急車を呼んだこともあります。救急隊員が、5分以上押させてくださり、事なき得たました。血が止まらないときは、ひたすら押せることが大切です。

NGな行為
1、痛いからといって、よく洗わない。

2、絆創膏を貼りっぱなしにしておく(不衛生になる)。

体調に不調を感じたら、早めに受診を
患部が「赤く腫れてきた」「熱っぽい」「芯がある」などの異変を感じたり、体がだるいなどの不調を感じたら早めに医療機関にかかりましょう。

・噛傷の場合は外科を受診する。

・どんな動物に噛まれたか伝えましょう。

子ども、お年寄り、糖尿病などの慢性疾患を持っている人は、病気が悪化しやすいので、早めに受診しくださいね。

日本にある 他のズーノーシス
ブルセラ症
ブルセラを保菌した犬のお産を手伝ったとき、発熱、悪寒、倦怠感を感じる。

感染経路:死産の犬やその胎盤、精子に排泄されることも

トキソプラズマ症
トキソプラズマに感染した猫の糞便や生の豚肉から感染します。妊娠の初期感染は胎児にも感染して、流産、先天性トキソプラズマ症なる可能性もあります。

感染経路:トキソプラズマ症を持っている猫の糞便が口に入る、またはトキソプラズマに汚染された豚肉を食べるなど。

サルモネラ症
食中毒菌として有名ですが、犬では約20%、ミドリガメでは約60%が保菌しているといわれています。人では胃腸疾患。

感染経路:汚染食品、後は爬虫類などの接触感染

レプトスピラ症
人は、軽症だと風邪症状、重症になると黄疸や出血、腎障害

感染経路:レプトスピラを保菌した犬やネズミの尿中に菌が排泄され、水や土を介して皮膚を通して感染。

オウム病
人は、高熱、咳、頭痛、倦怠感、筋肉・関節痛など、インフルエンザに似た症状。

感染経路:オウム病のクラミジアに感染した鳥の排泄物を吸引したり、口移しでエサを与えたときに感染。

エキノコックス症
北海道を中心に問題になっています。人は主にキタキツネの便中の虫卵を口にすることで感染します。10年以上かけてゆっくり肝機能障害。

感染経路:キタキツネのウンチが主な感染源。北海道で放し飼いの犬もエキノコックスを持っている場合は、キタキツネと同様。

E型肝炎
急な発熱、倦怠感、嘔吐、数日して黄疸を示して、ひどい場合は劇症肝炎になります。

感染経路:ブタ、イノシシ、シカなどがE型肝炎ウイルスを保有していることがあり、肉やレバーを十分に加熱していないことで感染する。近年のジビエブームで感染者は増えています。

ズーノーシスの予防
・濃厚な接触は控えましょう。

動物に舐めさせない、キスをしたり、食べ物を口移しで与えない。一緒の布団で寝ない。一緒に入浴しない。

・石鹸で手洗いよくしましょう。

動物と触れ合った後、食事をするとき、料理をするときは、石鹸でよく手を洗いましょう。

・環境を衛生的に。

動物の排泄物は、早めに処理しましょう。ノミなどが付かないように、予防薬も忘れずに。

・ワクチンにより防げるズーノーシスもあります。

適切なワクチン接種を行いましょう。

まとめ
動物から人にうつる感染症があることをあなたのためにも、そして動物のためにも知っておくことは大切です。医学は進歩していますが、野生動物のズーノーシスは、まだよくわかっていないこともあります。しかし、だからといって動物が全て悪いわけではないのです。ズーノーシスを正しく理解して適切に対応していけば、防げます。

正しい情報は、何よりの薬になりますから。私たち獣医師は、一般的な人よりも動物に噛まれた、ひっかかれたりして生傷が絶えませんが、今日も元気にしていられるのは、適切の処置と知識のおかげなのです。

犬や猫が、家族の一員なので、さらに彼らとの関係が密になっていくことでしょう。そんな時代であるので、医学と獣医学が協力して、動物からうつる病気を治す取り組みの強化が必要なのでしょうね。愛する動物たちと健やかな関係を続けたいものです。
posted by しっぽ@にゅうす at 09:24 | ペット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

元気で長生きを目指すために! 猫の年齢別・動物病院の通いどきを知っておこう


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猫も年齢の変化に伴い、必要なケアや健康のため気をつける事柄も変化します
そのため、年齢の変化によって動物病院への通い方も変わってきます。健康だからとつい忘れがちですが、長生きのためにも年齢に応じた動物病院の通いどきを把握しておきましょう!

0〜2ヵ月:初めての健康診断
子猫をおうちに迎えたら、月齢にかかわらず、まずは動物病院へ。体重や週齢、性別がわかるほか、感染症などにかかっているかどうかも調べてもらうことができます。

2〜4ヵ月:ワクチン接種
ワクチンの接種時期や回数については諸説ありますが、目安は2〜3ヵ月齢で1回、3〜4ヵ月齢で1回です。詳しくは、かかりつけの獣医さんに相談してみましょう。

6〜8ヵ月:去勢・避妊手術
繁殖の予定がないのであれば、去勢・避妊手術を行いましょう。とくにメスの猫は子宮蓄膿症や乳腺腫瘍など病気にかかるリスクを減らすことができるので、長生きにつながります。

1才〜:年1回の健康診断(血液検査、尿検査)をスタート
成猫になったら、年に1回は動物病院で健康診断を。とくに猫はオシッコの病気にかかりやすいので、尿検査を受けることをおすすめします。また、さまざまな病気の発見につながる血液検査は必須です。

5才〜:レントゲン検査や超音波検査も追加を
まだまだ若いものの、そろそろ病気にかかりやすくなる年齢です。とくにガンは早期発見したいので、年に1回の健康診断にレントゲン検査や超音波検査も追加するといいでしょう。

7才〜:ホルモン検査も追加して
いよいよシニア期に突入し、病気の早期発見の必要性が高まり始める時期です。シニアになるとかかりやすくなる甲状腺機能亢進症などの病気も見据えて、年に1回の健康診断にホルモン検査も追加しましょう。

11才〜:年2〜4回の健康診断を
ついに本格的なシニア期の到来です。猫の体調を踏まえ、かかりつけの獣医さんとも相談して、健康診断のペースを年2〜4回に増やしてみてもいいでしょう。動物病院の受診は、猫によってはひと苦労なことも。往診なども利用して、病気の早期発見に努めましょう。

愛猫の健康管理は飼い主さんの大切な務めです。年齢の変化に応じた動物病院への通い方を知って、愛猫が健康で長生きできるよう、気を配ってあげたいですね。

参考/「ねこのきもち」2017年12月号『季節、年齢、猫の様子、環境etc. 猫の「変化」はお世話の替えどきです』(監修:モノカどうぶつ病院院長 小林清佳先生)
文/terasato
※写真はスマホアプリ「いぬ・ねこのきもち」で投稿されたものです。
※記事と写真に関連性はありませんので予めご了承ください。

ねこのきもちWeb編集室
posted by しっぽ@にゅうす at 09:20 | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ペットショップの子犬・子猫たち その裏にいる「販売できない子」たちの存在

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某大型ショッピングモール内にあるペットショップの子犬・子猫コーナーは、連休ともなるとたくさんの人でごった返します。そこでは、係員が子犬・子猫を抱っこさせてくれます。抱っこする前には、手に消毒スプレーを噴霧することになっています。一見清潔で、ペットのことを考えているようですが、実際はどうでしょう。

【写真】こちらの猫ちゃんは、お家に来てから先天性の心臓病が発覚しました

お客さんが多かった日の夜、ペットショップ併設の動物病院には、彼らがたくさん運び込まれました。

ある子は元気食欲が無くなり、下痢が始まっていました。ストレスがかかったのでしょう。ある子は前の手が痛くて挙げていました。抱っこされるときに前の手を強く引っ張られたようです。両眼が真っ赤に腫れあがっている子もいました。消毒スプレーを浴びてしまったり、体中に付いてしまったりして粘膜がやられたのではと推測しました。ある子は、その日を境に全身状態が悪くなり、やがてお店から別のところへ連れて行かれてしまいました。

   ◇   ◇

ペットショップで無邪気に遊んでいるようにみえる子犬・子猫たちは、実はいろいろな試練の中で過ごしています。このように、ペットシショップでお客さんを待つ毎日も大変ですが、ペットショップにやってくるまでの「選抜」も過酷といえるかもしれません。

ペットショップで販売する子犬・子猫はどこから来るのでしょうか。昨今は様々な形態がありますが、市場(いちば)というものも存在します。市場では、野菜や魚と同じように、ブリーダーが持ってきた子犬・子猫がセリにかけられます。

セリに出すときは、今ではとても念入りに獣医師による健康チェックがなされます。多くは元気で外観上も問題のない子たちですが、ときどき見つかるのが『心臓に雑音がある子』です。心臓に雑音がある場合、その子は短命に終わる可能性があるので、ブリーダーに戻されてしまいます。

ここで「ちゃんとチェックしてはるんやなぁ」と感心するだけで終わらないでくださいね。そこで心雑音のあった子犬・子猫たちは、どうなるのでしょうか?…実はその後はケースバイケースです。

子犬・子猫で心雑音がある場合の多くは、生まれつき心臓に奇形や不具合がある子です(先天性心疾患といいます)。犬の先天性心疾患のなかで一番多いのは動脈管開存症(27.7%)、猫では心室中隔欠損症(15.0%、心臓の心室の左右に穴が開いていて交通する病気)だったという報告があります(1999年)。

動脈管開存症という病気は、人間や他の動物でも確認されています。これは、『動脈管』という生きていく上では必要のない血管が残っている病気です。

赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる頃は、赤ちゃんは空気を吸えないので肺は機能していません。ですから肺をショートカットして血液が流れるように、大動脈(全身に血液を送る血管)と肺動脈(肺に血液を送る血管)の間にバイパスを作って、肺には血液が流れないようになっています。一方で、お母さんのお腹から出てしまえば、今度は自分で空気を吸って酸素を身体に取り込まなければなりませんので、そのバイパスは必要なくなり消えてなくなります。しかしそのバイパスが消えずに残ってしまうのが動脈管開存症です。

バイパスが残ってしまうと、必要以上に肺に負担がかかってしまい、短命になる可能性が高いのです。しかし、早期にこの病気を発見してバイパスを塞ぐ手術を行えば、その後はこの疾患の無い犬猫と同様に、寿命をまっとうする事が出来るようになります。

私が大変お世話になっております某先輩獣医師は、この動脈管開存症で販売できない子犬・子猫を引き取り、自分の動物病院に勤務する若手獣医師にこの動脈管開存症の手術をさせ、誰かに飼ってもらうという試みをされていらっしゃいます。

生き物を売買することに対しては、いろいろな考え方があると思います。購入されたにしても譲渡されたにしても、あるいは拾ったにしても、ご縁があってお家にやってきた犬や猫たちです。お家にやってくるまでの辛かったことや痛かったこと、怖かったことやしんどかったことなどは、彼らは語ってくれません。ただただ、私たち人間を全面的に信用してくれて、過去の辛かったことは思い返したりせず前を向いて生きていく彼らを、私はとても尊敬しています。飼われた犬や猫たちはみんな、幸せになって欲しいなと思うばかりです。

(獣医師・小宮 みぎわ)
posted by しっぽ@にゅうす at 09:17 | ペット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

愛猫との同伴避難の実情とやるべき準備

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動物を連れた避難の現状

災害時、人的被害が発生する可能性が非常に高く、既に被害が出ている際に出される「避難指示」。この避難指示が出た場合は、直ちに避難しなければ命に関わるほど危険とされる最終警告になります。この最終警告を受けたとき、通常であれば最寄りの避難所に避難するでしょう。

また、最近では災害に対する危機的意識が高まり、一歩手前の「避難勧告(避難することを勧めるが、強制ではない段階)」から避難する人も増えています。その一方で、強制力が高い避難指示が発令されても尚、避難を躊躇する人々がいます。それは、動物と暮らすご家庭です。

日本の約3割がペットを飼育
現在、日本では約3割の家庭が犬や猫などの動物と暮らしています。更に、2017年には猫の飼育頭数が犬を上回りました。単身の家庭でも、散歩がないことや、トイレの躾がしやすいなどの理由から猫と暮らす人が増えたのでしょう。つまり、避難しなければならない状況に陥ったとき、現代では猫を連れた被災者が多いことになります。猫をはじめとした動物連れでの避難にはまだまだ厳しい現実があります。だから、避難しなければ命の保証がないほど危険な状況でも躊躇ってしまうのです。

さて、動物を連れた避難について災害時のマニュアルではどのような決まりが定められているのでしょうか?「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」では次のように紹介されています。

同行避難を勧める

未曾有の大規模震災であった東日本大震災発生時、多くの動物と飼い主さんが離れ離れになり、再会できずに放浪してしまった結果、そこから更に犬や猫が増えるという問題が発生しました。言葉を話すことができず、全ての言葉を理解することができない動物たちは、「大切な人に見捨てられてしまった」と誤解してしまいます。

その誤解が生じる中で子孫が増えると、「人間を信じてはいけない」と子どもたちに教育してしまうのです。もちろん飼い主さんは見捨てたのではありません。それでも離れたままになってしまった場合の動物は、そのように認識してしまうのです。そして、街には「人への信頼をなくした動物」と「人を全く知らず、人を恐れる動物」が彷徨う結果になってしまいました。

このときの教訓を踏まえ、環境省によって新たに推奨されたのが「同行避難」です。同行避難は、避難指示が発令された際に動物を連れて一緒に避難することを指します。ここで大切なポイントがあります。同行避難とはあくまでも一緒に安全な場所へと避難することに留まるということです。同一の空間でともに避難生活を送ることはできず、避難所内外のペットスペースにペットを置き、人間のみ避難場所で避難生活を送ることとなります。ペットの避難スペースの環境や、条件については各自治体によって異なります。

理想は同伴避難

動物と暮らす人々にとって願うことは、動物と同じ空間で避難生活を送ることでしょう。先ほどの「同行避難」という言葉は、動物も同一条件で避難できることと思われがちです。しかしこの言葉は、飼い主さんの理想とは異なる現実が意味されています。人間も動物も、同じ条件で避難が可能な状況は「同伴避難」といいます。

「避難勧告」と「避難指示」という言葉が理解されにくいように、この両者も意味の違いが非常に分かりにくいものになっています。日頃から動物との暮らしに癒され、家族のように感じている飼い主さんの意向に最も寄り添う意味合いの言葉は「同伴避難」です。しかし、実際には同伴避難が可能な避難所は少ないのが現状です。その主な理由は次のようなものが挙げられます。

✔アレルギー疾患のある人も避難していること
✔犬や猫が苦手で恐怖を感じる人がいること
✔衛生面での問題が発生し得ること
✔動物の行動面でトラブルが発生し得ることなど

同伴避難にはいくつかの問題がある
震災という、通常とは全く異なる危機的状況では、人間も極限状態にあるといっても良いでしょう。そのような状況下では普段以上にアレルギー疾患が悪化する可能性があります。そこへ、アレルギーの原因である犬や猫が同じ空間に避難してくるということは、非常に危険な状態を作りあげてしまうことになります。そして、ただでさえ不安が続く中、恐怖の対象が目の前に出現したらどうなるでしょうか?最悪の場合、パニック発作に襲われる被災者も出てくるでしょう。

また、排泄物や体の汚れ、ダニなどの問題もあります。更に、動物の鳴き声がストレスを増幅させてしまう可能性もあります。そして、これが更なるトラブルへと発展する恐れがあるのです。これらは、どれも配慮しなければならない重要なものです。特にアレルギーの問題は深刻であり、優先的に守られなければなりません。これらの現状から、避難所での同伴避難は厳密なルールを制定しない限り不可能に近いことなのです。

同行避難及び同伴避難のメリット

同伴避難が困難な現状の中、同行避難が推奨されることにはあるメリットがあります。それは、動物と避難することによる安全性の担保です。東日本大震災のように、動物を連れての避難が全くできない環境では、敢えて避難しない道を選ぶ人が出てきます。それが救助要請を増やす要因や、犠牲者を増やす要因になります。しかし、せめて安全な場所まで一緒に避難できることで、助かる命が増えることに繋がります。また、飼い主さんが管理することで放浪する動物も減らすことができます。以上のような内容が同行避難が推奨されるメリットです。

今現在、動物を連れた避難においては「同行避難」までが限界に近いことが現状になります。この同行避難ですら各自治体によって対応は異なり、万全な体制とはいえない環境で動物が避難生活を送らなければならないこともあります。そして、避難所によっては完全に動物連れが不可能という場所も多く存在しています。たとえガイドラインで推奨されている内容であっても、実際の受け入れには厳しい現実があるのが実情です。

同行避難に備えてすべきこと

いざという時に備えて、まずは「同行避難」が可能な避難所を探しておくことが重要です。各自治体に問い合わせるか、HPなどで確認をしてみましょう。このときに、可能であればペットがどのような形で避難生活を送ることになるのかも確認しておくと、その状況に応じた準備をすることができます。

猫に前もってしておくべきこと
猫と非難する場合、平常時に次のようなことをしておいてください。

✔ワクチン接種
✔首輪やハーネスの装着
✔キャリーケースへの抵抗感を失くす訓練
✔人馴れする
✔トイレの躾
✔可能であれば避妊去勢手術を済ませる
✔迷子札もしくはマイクロチップの装着

完全室内飼育が主流となる中、外部の猫との接触がほとんどないためにワクチン接種の必要性が問われるかもしれません。しかし、災害時はたとえケース越しであっても様々な動物と同じ空間にいることを余儀なくされます。過酷な状況下では直接接触することがなくても、病気や寄生虫などのリスクが高まります。

ワクチン接種証明書を避難袋へ

愛猫を守ると同時に他の猫への感染を予防する意味でワクチン接種は必要です。接種時期に応じて、なるべく接種することをお勧めします。接種後は証明書(原本又はコピー)を避難袋に入れておきましょう。また万が一に備えて、繁殖を望まない場合は避妊・去勢手術を受けさせておくことも大切です。

キャリーケースに慣れさせておく

猫はキャリーケースやケージに対してネガティブな印象を抱いてしまう場合があります。日頃から遊びの一環として、これらに入る習慣をつけておくとよりスムーズに入ることができます。更に首輪(セーフティ機能付き)やハーネスもスムーズに装着できるように、日頃から身につける習慣を付けておきましょう。首輪には、猫の名前・飼い主さんの情報を明記しておきましょう。もし可能であれば、マイクロチップを装着しておくことも安全策のひとつです。首輪のように紛失の恐れがないことが最大のメリットになります。かかりつけの動物病院に相談してみてください。

トイレの躾と人慣れ

そして重要なことは、トイレの躾と人馴れです。避難先では、最低限の躾はマナーになります。所定の位置で排泄できること、人や他の動物に慣れていることは大切なポイントになります。簡易トイレでの排泄もトレーニングしておくと良いでしょう。また、日頃からストレスにならない程度に生活音に触れさせるようにしてください。

飼い主さんがしておくべきこと
同行避難にあたり、飼い主さんにも前もって準備してほしいことがあります。それは次のようなものです。

✔猫の情報を記録したもの
✔飼い主さんの情報を記載したもの
✔猫の食品及び飲料水
✔食器類
✔常備薬や救急セット
✔首輪やハーネス、リード
✔ガムテープ
✔洗濯ネット
✔日用品各種

アナログ形式での情報を作成しておく

デジタル化が普及する現代では、主にスマートフォン(以下スマホ)に猫の写真や情報を記録していることが多いでしょう。自分自身の電話番号もスマホで情報を呼び出すことが可能なため、記憶していない場合もあるでしょう。普段の生活であれば問題ありません。しかし、非常時にスマホが使用できるとは限りません。水没や故障で起動しないことも考えられます。そこで役に立つのはアナログ式の記録です。猫の避難に関する情報が掲載されたリンク内で、フォームを入手することもできます。予め印刷し、それに沿って書き込むと、簡単に猫や飼い主さんの情報を作成することができます。

必要なものは避難袋に準備しておく

次に避難にあたり、必要なものを揃え避難袋に入れておく必要があります。ここで紹介したものは概ね優先的に用意してほしい順番に記載しています。フードや飲料水は5日以上は確保しましょう。特に療法食を必要とする場合、確実に食べられるものを準備するようにしてください。薬を服用している場合は、必ず常備薬も忘れずに入れておきましょう。避難先に持ち込むものは全て愛猫の名前をフルネームで書いておきましょう。また、ここで用意する飲料水及び救急セットは必ず猫用のものを用意しましょう。

洗濯ネットは避難時や、避難先で診察を受ける際に猫を入れると脱走防止に役立つためです。これも日頃から活用してみることをおすすめします。日用品とは、簡易トイレやペットシート、排泄物を処理する道具、ブラシ、ブランケット、おもちゃなどです。ガムテープは、ケージやキャリーケースが故障してしまった際の補修に役立ちます。

避難時の心構え

非常事態に陥ってしまった際に、動揺するのは人間だけではありません。動物は特に、本能的に危機を察知する能力に長けているとされています。実際に思い返してみると、大きな災害の前には普段とは異なる行動を取っていたという報告が何例も挙げられています。大切な愛猫を守るために、次のようなことを心がけてください。

✔まずは飼い主さんが無事でいること
✔避難所のルールを守ること
✔愛猫の健康管理を責任持って行うこと
✔他の動物連れの方と協力し合うこと

「人命優先」という言葉をよく耳にするでしょう。この言葉は、平凡な日常で聞くと動物を蔑ろにしているように感じてしまうかもしれません。でも、冷静に考えてみてください。飼い主さんが命を落としてしまったら、愛猫は誰が守るのでしょうか。非常時には、誰もが自分自身のことで精一杯です。だから、まずは飼い主さんが助かる努力をしてください。そして全力で愛猫を守ってあげてください。

非常事態での飼い主の重要性
災害という非常事態では、普段とは異なり猫も落ち着きをなくしてしまうでしょう。こういうときは、飼い主さんの声かけが重要な鍵になります。不安で我を失いつつある中、大好きな飼い主さんが声をかけてあげるだけでも安心できます。猫にとっては最も聞き慣れた心地よい音声だからです。

また、飼い主さんの不安な気持ちも猫に伝染すると覚えておきましょう。難しいことですが、できるだけ冷静さを保ち、愛猫を励ましてあげましょう。避難先では、その場所のルールを守るようにしてください。そして、愛猫の健康管理も飼い主さんが管理しましょう。猫は環境の変化が苦手です。食事や排泄が思うようにできなくなる可能性も予め理解しておきましょう。更に、他の動物連れの飼い主さんと情報交換をし、お互いに協力し合うことが大切です。

同伴避難の事例

先にも述べたように、同伴避難にはクリアすべき課題が多く存在します。一見不可能なように思える同伴避難を実践した事例があります。それが、熊本県内にある動物病院です。ここでは熊本地震の際、運営する病院を「同伴避難ができる場所」として解放し、のべ1500人の飼い主さんと千匹もの動物たちを受け入れました。どのような経緯で実践したのかを紹介させていただきます。

きっかけはやはりあの震災
動物病院を経営する院長は、東日本大震災を教訓に、避難場所として機能する病院作りを目指したそうです。免震工事で病院を建て直す際に、300人程度は収容できるスペースと自家発電、堅牢などを用意しました。熊本県でこれほどまでの対策が必要なのかという指摘もあったそうですが、院長は意志を貫き通しました。残酷なことに大地震が熊本県を襲いました。しかし、院長の機転のおかげで同伴避難が可能な環境として多くの人や動物を救うことができました。

院長自らが指揮を執る
同伴避難を想定してはいても、正式な避難所ではなかったため、物資には限界がありました。そこで院長が熊本市長に直談判し、支援物資が集まったそうです。そして院長の指揮の元、避難者をグループ分けし、病院のスタッフをリーダーに置くことでまとめたそうです。

避難所なのに明るい環境になった
大切な家族である動物が一緒に居られる環境は、何よりも安堵感でいっぱいだったでしょう。そして、避難者はみな動物に対する理解のある人たちです。院長の迅速な対応も相まって、その場は明るくなったそうです。

熊本県では、この他にも同伴避難を実施した避難所が複数あります。どのように課題を克服したのでしょう。それはベースになる避難場所は体育館などの広い場所、同伴避難の場合は別の空間に分けるというものでした。ここでは体育館から離れた校舎内のフロアや教室を活用し、アレルギーや動物を苦手とする人が不安にならないように対応しました。熊本県における事例は、一例に過ぎませんが貴重なものといえるでしょう。

まとめ

今日のねこちゃんより:ウリ / ♀ / ラグドール / 0kg

まず、これまでの震災で被害に遭われた方や、今も尚、避難生活を余儀なくされておられる方にお見舞い申し上げます。そして、大切な人やしっぽのある家族を失われた方にお悔やみ申し上げます。とても悲しいことですが、平凡な日常はいつ危機に見舞われるか分かりません。大きな震災があった後は、猫と避難することについて意識するでしょう。しかし、時の流れとともに風化されてしまうことも事実です。

今や台風も勢力を増して襲いかかってきます。やはりいざと言うときに備えて、ハザードマップや同行避難についての確認をしておくことが重要でしょう。日本の約3割の家庭が動物と生活する中、同伴避難が普及していないことは残念なことです。熊本県の事例も、成功例のようでありながら、まだまだ課題はあるでしょう。それでも実践した経験のある事例として、全国各地で今後の避難所の在り方について検討するうえでの参考にしていただけたら嬉しいです。動物と暮らす人もそうでない人も、安心して避難できる環境が整備されることを願います。
posted by しっぽ@にゅうす at 09:16 | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

臆病な猫を社交的にする方法5つ


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臆病な猫の特徴

人間は皆、個性があります。社交的な人、温厚な人、無愛想なようで打ち解けると話しやすい人など様々な性格の人がいます。猫も人間と同様に個性があり、皆違った性格をしています。中にはとても臆病で、なかなか心を許してくれない猫もいます。そして、このような猫には特徴があります。ここでは、警戒心が強い猫が取る行動と、仕草についてご紹介いたします。

警戒心が強い猫の行動

猫は元々、警戒心が強い動物です。これは、祖先が厳しい野生の世界でも単独で逞しく生きてきた証です。そして猫は野生の本能を強く残しており、安全な室内で暮らしていても慎重に行動することがあるのです。慎重派で臆病な猫がよく取る行動には次のようなものが挙げられます。

✔常に高い位置にいることを好む
✔些細な物音に過剰な反応を示す
✔来客が来ると隠れてしまう
✔家族の中にも苦手な人がいる
✔人が見ている状況では食事が取れないなど

猫が高い位置を好むのは、習性のひとつです。人馴れした猫でも高い位置は落ち着く場所として人気の高いスポットになります。ただし、人との暮らしに慣れ、同じ空間を共有したい猫は、より地面に近いところで過ごすことが多くなります。臆病な猫の場合は、地面に近いところよりも、高い位置で過ごす時間が長く、我々よりも目線が高くなります。高所はあたり一体を見渡すことができ、天敵の襲来にいち早く気がつくことができます。

最も、完全室内飼育という安全な環境下で天敵に襲われることはありません。しかし「安全な環境」というのは、あくまでも人間の目線から見た状況です。猫にとっては意外なものが天敵となりうることがあり、安全な環境とは思えないことがあるのです。

更にこんなことも
このような性格の猫は、事ある毎にその優れた警戒心と、反射神経をフル稼働します。例えば人がくしゃみをしたり、インターホンが鳴ったりと、我々からするとありふれた日常の生活音に対して飛び上がってしまいます。また、来客が来れば忍者さながらに身を潜めてしまいます。「幻の猫」と呼ばれることもしばしばです。そして悲しいことに、警戒心が強い猫の場合は家庭にいるメンバー全員に懐くとは限りません。苦手意識を持ち、その人に対しては冷たい態度を取ることもよくある行動です。

食事やトイレは遠くから見守って
また、人が様子を見ていると食事に手をつけることができない猫がいます。これも、警戒からくる行動です。猫が食事中に警戒するのはなぜなのでしょう。横取りされると思っているのでしょうか?いいえ、猫は横取りを恐れているのではありません。無防備な状況で天敵に襲われることを恐れているのです。ちなみに無防備な状況もいえばトイレも同様です。臆病な猫と接する場合は、食事・排泄をしているときは遠目から見守るようにしてください。

警戒している仕草

猫がとても警戒している状況では、先に紹介したような行動とともにお決まりの仕草が加わります。次に紹介する仕草が分かると、ナイーブになっていることを察してあげることができます。

✔耳を後ろに寝せる(いわゆるイカ耳)
✔目を見開く(瞳孔が大きくなる)
✔ヒゲが斜め上方向に反れる
✔しっぽを足の間にいれる
✔怯えているときは身を縮める

耳を寝せる仕草、いわゆるイカ耳は警戒のサインです。犬の場合は信頼の証とされ、大好きな飼い主さんに撫でられたときや、甘えたいときにも見せる仕草になります。犬と接する機会が多く、猫との関わりが浅いと誤解してしまうことがあるかもしれません。猫がイカ耳になっているときはそっとしておきましょう。

目を見開き、瞳孔が大きくなっているときも同様です。目が丸く可愛らしい印象を与えますが、猫はリラックスしているわけではありません。ここで無理して撫でようとしてしまうと、攻撃されてしまうかもしれませんので要注意です。猫は何かに怯えたり、警戒心がむき出しになっている状況では、できるだけ体を小さく見せようとします。これは、猫同士が喧嘩になりかけたときの降参の仕草に似ています。

猫を襲うつもりはなくても、近づかれることでより恐怖を与えてしまう可能性があります。猫は言語を操れない代わりに、仕草で感情を表現しています。サインを読み取り、気持ちを察してあげましょう。

なぜ臆病になってしまうの?

臆病と聞くと、何事にも怯えている弱々しい印象を持たれるかもしれません。しかし、臆病で警戒心が強いということは、逆に慎重に行動することができるということになります。猫が慎重派になる要因はどこにあるのでしょうか?ここでは、2つの視点から猫が臆病になる背景についてご紹介いたします。

遺伝的なもの
性格を形成するうえで、最も基礎的な部分に「遺伝的なもの」が存在します。つまり、猫の両親から受け継がれるDNAそのものが既に慎重派な性格をつくりあげているのです。猫にとって社交的か、そうでないかを決める要素は「父親」にあります。つまり、父親が慎重派で警戒心が強い猫である場合は子猫もその要素を持って誕生します。生まれながらにして、遺伝子的に臆病である素質のようなものを持ち合わせているということです。この核となる部分を元に、次に紹介する「環境的な要因」が加わって性格が形成されます。

育った環境によるもの
人間も猫も、基礎となる性格は遺伝的なものとして最初から持っています。しかし、その性格が全てではないところが心を持った存在の魅力です。猫も人間のように、多くの人生経験を積んで成長していきます。その過程で性格も築きあげられていきます。猫の性格形成においては、遺伝的要因は父親の存在が大きく、環境的な要因は実際に子育てをする母親の影響を強く受けることになります。猫社会では、育児は母猫がひとりで行うことが一般的とされています。中には例外もあり、いわゆるイクメン猫も全くいないわけではありません。しかし、ここでは、一般的なケースを例に紹介させていただきます。

母猫の教育

母猫は、子猫が生後1ヶ月半頃から6ヶ月までの間に持てる全ての知識を伝授します。生後半年を過ぎると子猫は独立し、単独で逞しく生きていかなければなりません。だからそれまでの間に、危険を回避する行動や狩りの方法などを徹底的に教えます。猫の性格に関する要因は、生後2週から3ヶ月に至るまでの「社会化期」と呼ばれる時期が大きく影響します。猫はこの時期に母猫の愛情を受け、きょうだい猫との関わりの中で力加減や、猫以外の存在との距離感などを学習します。

母猫が人馴れした猫の場合は、人間を警戒すべき存在として教育することはありません。しかし、人間に虐げられた過去を持つ母猫は、人間を危険な存在として警戒するように教育します。母猫の人生経験が子猫の社交性にも影響を与えるのです。更に子猫が成猫へと成長し、自分自身の人生を歩む過程でも心境に変化が生じます。母猫には人間は怖い存在と教えられても、心から信頼できる人間に出会うことができれば、また異なる考え方をしてくれるようになります。

猫以外と触れあうことの大切さ
猫の性格は、父親の遺伝子による「遺伝子的要因」と母親の育児による「環境的な要因」が大きく関係していることが分かりました。この2つの要素を元に成長し、人をはじめとする他の動物と接する環境が、最終的な性格を形成します。ここで人から怖い思いをさせられてしまうと、人を信頼することが難しくなってしまいます。特に社会化期の経験は後の人生に与える影響が大きく、この時期に他の猫はもちろん、猫以外の存在と多く触れ合う経験が重要になります。

少しでも社交的な猫にするためにできること

猫というと、これまで述べてきたことに関係なくクールで、人に懐く印象が弱いかもしれません。警戒心が強いことや、臆病な仕草も、猫ならではの自然な行動のように感じるでしょう。だから、猫を社交的にすることは不可能なことのように思えますが、こちらの接し方次第では臆病な性格を克服できる場合もあるのです。

本来であれば、社会化期に経験できればなお良いのですが、既にこの時期を過ぎてから家族に迎えることも多いため、今回は社会化期以降の猫を対象に紹介させていただきます。猫の警戒心を解き、積極的に他者と関われるようになるためのポイントは次の5つです。

1.猫に歩調を合わせる

慎重派の猫に、こちらが積極的に関わろうとすることは逆効果です。まずは猫のペースに合わせ、様子を見守ることからスタートしましょう。人に対する恐怖心が強いと、打ち解けるまでに時間がかかるでしょう。それでも、焦らずに待つ姿勢を大切にしてください。猫の歩みに沿って、こちらも歩調を合わせてあげるようにしてください。

2.目を合わせない

人馴れしていない猫の場合は、目を合わせないことも大切な配慮です。猫社会では、目を見つめるという行為は喧嘩を売ることに相当します。つぶらな瞳を目の前にすると、ついつい見つめたくなるものです。しかし、ここはぐっと堪えましょう。目線を合わせないことを意識しつつ、時々目が合ったときはゆっくりと瞬きしてあげましょう。この動作は猫の愛情表現になります。愛おしい存在であると、猫の感情表現をもって伝えてあげるのです。

3.ご飯を食べさせる

食事は生きるうえで欠かせない大切なものです。この命に関わる事柄に関与することで、徐々に信頼関係を築いていきます。先にも述べたように、食事中は無防備になるため、最初は目の前で食べてくれないかもしれません。だから、ここでも焦りは禁物です。最初は食器をケージ内に入れ、その場からすぐに立ち去ります。そして遠目から見守ります。この見守りの距離を少しずつ縮め、手の手のひらからでも食べられるようになれば、心を許してくれたサインになります。

4.優しく声をかける

まだ直接触れ合うことが難しい状況下では、優しく声をかけるようにしてください。言葉の意味を全て理解することはできませんが、雰囲気は伝わります。日頃からよく声をかけることで、飼い主さんの声が安心感に繋がるようになります。猫は日常で頻繁に聞く言葉は覚えることができます。特に褒め言葉にはポジティブな反応を示すようになります。「いい子だね」「可愛いね」と優しく、やや高めの声で話しかけてください。

5.少しずつ撫でていく

距離が縮まり、猫が近づいてくれるようになったら、人差し指を鼻に近づけてみましょう。においをかいでくれたら挨拶が成立したことになります。そして顎の下、耳の後ろなど顔周辺を撫でてあげましょう。腹部やしっぽ、肉球などは撫でないように気をつけましょう。これらの場所は、急所やデリケートな部位になります。はじめは顔周辺から撫でることがおすすめです。こちらが撫でる幸せと同じように、猫も撫でられる幸せを感じてもらえるように優しく撫でてあげましょう。

これら5つの行動が緊張を解し、人馴れする過程の第一歩になります。この他にも、猫が苦手とする大きな音や、無理やり抱き上げるなどの行動を慎むようにしましょう。猫は一度心を開いてくれると、人間を深く信頼し、猫なりの愛情表現を用いて甘えてくれるようになります。

初対面では威嚇されるほど怯えていた猫が、野生を忘れお腹を見せてゴロンと転がったり、目を見つめて鳴いてくれるようになることはとても感動的です。でも、大切なことを忘れないでください。全ての猫の社交性が高まるわけではありません。中には警戒心が強いままの猫もいます。その場合は、猫の個性として受け入れてあげることも大切です。

猫の社交性を高めるメリット

元々臆病だった猫を、社交的な猫に成長させることは簡単なことではありません。完全に社交的にならなくても、些細なことで驚いたり、常にビクビクしているような状況を克服することを目標にしてみましょう。人馴れしてくれることでコミュニケーションを取りやすくなり、より楽しい生活を送ることができます。少しでも社交的な性格になってくれることのメリットは、他にも次のような場面で役立ちます。

✔動物病院を受診するとき
✔災害時、避難を余儀されなくなったとき
✔猫を預けなければならないとき

完全室内飼育とはいえ、ワクチン接種は可能な限り受けることが推奨されます。また繁殖を望まない場合、避妊・去勢手術を受けさせることも大切です。このように普段は健康であっても、動物病院に行く機会は巡ってきます。このときに、臆病な性格ではよりストレスが大きくなってしまいます。

特に病院は、猫以外の動物や、その飼い主さんである見知らぬ人がたくさんいる環境です。更に機械音も聞き慣れない音として不安の種になります。これらの環境に慣れておくことは、必要以上に負担をかけずに済むという点から重要になります。また、旅行や出張などでホテルに預けたり、シッターさんに来てもらう場合も同様です。

人慣れは災害時に役立つ
そして、災害時にも人馴れしていることがとても役に立ちます。平凡な日常とは全く異なる非常事態では、人間も不安になります。不安が強い猫にとっては、普通の猫以上に苦痛を受けるでしょう。知らない環境での避難生活も、人や動物と接する機会が多く、社交的な性格のほうがいくらか過ごしやすくなります。よって、ある程度の人馴れと、人に対する恐怖心の克服は無理のない範囲で頑張ってみてください。

まとめ

今日のねこちゃんより:あさり / ♂ / チンチラペルシャ / 0.7kg

人間の性格が、簡単には変えられないことと同じく、猫の性格もそう簡単には変わらないものです。しかし猫は賢く、適応力も高い動物です。猫の気持ちを尊重し、愛情をかけることを大切にすることで、我々の気持ちも伝わります。

基本的にはその猫が持つ個性を受け入れることが大切です。しかし、いざと言うときに備えて、人や他の動物に対する恐怖心を克服しておくことは重要になります。猫の気持ちに寄り添って、ゆっくりとその成長を見守るようにしてください。
posted by しっぽ@にゅうす at 09:15 | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする