動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2019年11月23日

台風被害「ペットと一緒に避難する」を実現するための具体的「方法」

Yahoo! JAPAN



台風19号の豪雨災害から1か月を過ぎたが、災害を受けた地域では未だに復旧が進まず、日常を取り戻せない方も少なくない。

【写真】台風に震災…災害に直面した時のペットたちの姿

 今回の災害では、避難所の場所や数、対応などの課題も浮き彫りになった。中でもSNSなどで話題になったのが、ペットの避難問題だ。開設された避難所に行ったもののペット同伴で受けれを拒否されたケースがSNSなどで数多く上がり、「ペットも家族」、「災害時は人間が優先」「動物アレルギーもあるのだから安易な受け入れは心配」などさまざまな意見が持ち上がった。

 災害から約1か月、台風15号で団体が管理する動物シェルターが被災し、台風19号では東京渋谷区の動物シェルターも避難勧告を受けたという特定非営利活動法人ランコントレ・ミグノンの友森玲子さんとともに、動物と避難の問題について、改めて考えてみたいと思う。

ペットとの避難。スムーズだった渋谷区のケース
 私が主宰を勤めている『ランコントレ・ミグノン』は、渋谷区千駄ヶ谷にある。今回の台風19号で、渋谷区はレベル4の避難勧告が出た。幸い渋谷のシェルターは、建物の入口が高いところにあり、さらにガラスにもワイヤーが入っている。最悪な事態を想定しても、まずは安全だろうということで、避難所を利用することはなかったが、この渋谷区のペット同行避難の対応が非常にスムーズだったと、話題になった。

 実際にミグノンのクリニックによく来られる患者さん(Aさん)は犬といっしょに避難されたという。家にひとりで犬と共にいたAさんは、避難勧告が出たため、不安になり渋谷区のホームページを開いた。そこには「ペットも家族なので一緒に避難するように」と、ペット可の避難所のリストが掲載されていた。事前に電話で問い合わせをするように書かれていたため、最寄りの小学校へ連絡をした。

 連れて行くにあたりどうすればいいかを尋ねると「ケージに入れていただければペットも大丈夫です」との返答であったという。しかし、ケージを所有していなかったため、「キャリーバッグしかない」と伝えたところ、キャリーバッグでも問題ないとのことで避難を決意した。

 キャリーバッグに入れた犬を背負って小学校へ到着。すると、「ペットがいる人は理科室へ」と案内された。ペットがいる人といない人とで部屋が分けられていたのだ。マットも貸してもらい夜の理科室でドキドキしながらも、自宅で不安な夜を過ごすよりもとても安心して過ごせたそうだ。深夜には台風が通り過ぎ、雨が止んだために家に帰るか迷ったけれど、その夜は避難所で過ごしたという。避難所のスタッフの方がとても親切で、自宅に被害はなかったものの思い切って避難してよかったとAさんは語っていた。


「私は大丈夫」の余裕は禁物。ペット同伴者は災害弱者
 この渋谷区の避難の例はとても理想的だ。実際に渋谷区では他のエリアに比べて避難する人数が少なく、避難所に余裕があったことも要因のひとつであると思うが、それにしても区や避難所の対応は素晴らしい。

 そして飼い主さんが何より早めの避難を決行したことが重要なポイントだ。災害時には健康な大人でさえも避難に危険が伴う。高齢者や病気の家族、子供、ペットがいる人は避難の準備や移動にも時間がかかる。そう、「災害弱者」である、という意識をまず持つことが大事だと私は思う。

 私自身、台風19号のとき暴風雨の中、渋谷のシェルターからケアが必要な犬を自宅に連れていった。自宅について車のドアを開けようとしたら、あまりの強風にドアを持って行かれそうになり危険を感じた。犬を下ろしているときにドアが勢いよく閉まったら大事故になってしまう。さらに、冠水などしていたら、大型犬でも抱いて移動しなくていけない。小型犬や猫であっても複数飼いしていれば、彼らを抱えて身動きを取るのは至難の業だ。

 また、受け入れてくれる避難所も限られている可能性もある。実際に、渋谷区のようなケースはまだまだレアだ。千葉県東金市にあるうちのシェルターは、台風15号で被災し、長い間、断水と停電に悩まされた。台風19号では、まだまだ地盤がしっかりせず、裏山の土砂崩れも心配だったので、犬を連れて早めの避難を管理人に提案していた。しかし、東金市エリアでは、ペット同伴避難できる避難所は探してもなかったのだ。

国もペット同行避難を勧めているが、その現実は……
 「避難所には、猫アレルギーの人がいるかもしれないから……」
「犬が騒いでしまうと迷惑をかけるから……」

 こんなコメントが台風19号の際に、数多くSNSに書き込まれた。多摩川の氾濫で亡くなった川崎市高津区の男性も、犬とうさぎと暮らしていたという。動物同伴で避難することへのためらいが亡くなった要因かはわからないが、「動物がいるから……」と避難を躊躇し、身の危険を感じた人は今回の災害ではとても多かったと思う。

 確かに、災害時には人命が最優先される。が、「ペットを飼うのは自己責任なのだから」動物と暮らしている人は自分たちでどうにかしてくださいでは、なんの解決にもならない。基本、国はペットとの同行避難を認めている。自治体によって状況にばらつきがあるが、避難所におけるペットの居場所を決めておくように指導されている。

 しかし、以前、命の授業を行った目黒区の小学校で校長先生に伺ったところ「災害時避難所になったとき、動物たちの居場所を決めてはいるが、どの程度の方が連れていらっしゃるか分からないので不安だ」と話していた。

ペットがいる世帯だと地域に共有しよう
 災害の規模により避難して来る住民の人数、動物の頭数によって対応が違って来るのは当然だ。また災害時は状況が刻々と変化するため、その都度対策を変えていくことも必要になる。

 例えば、
@人数や頭数が少ないときは飼い主と一緒に同室で避難してもらう
A想定数に近くなってきたら、少しでも収容数が上げられるように策を練る
B収容数以上になった場合は、受け入れを不可にして他の避難所へ誘導する
というのが、望ましい避難時の対応の基本的な流れだ。

 しかし実際には、その地域で動物と暮らしている人がどれだけいて、どのくらいの数の動物がいるか予測がつかないのが現状だ。また、ペット同行できる避難所が決まっていない地域も多くあり、いざという時に避難所に向かったものの「動物は外に繋いで下さい」という状況が生まれてしまう。豪雨、台風、猛暑、極寒の状況下では、「外に繋いでください」は動物たちの命が危うくなることなので、受入拒否と同じことになってしまうのだ。

 犬は畜犬登録があるが、猫などは、住民票などの届出がない分、行政も把握できてない。だからこそ、飼い主も「待っているだけ」「どうにかしてくれるはず」と受身になっているだけでは話は進まない。自治体が行っている避難訓練に、ペット同伴であえて参加してみる。そして、そのとき担当者にペット同伴の避難について詳しく話をまず聞いてみるといいと思う。そこに不備があれば改善要求を自治体に提出するのもいいだろう。

 災害時は、緊急事態なので、行政の担当者もひとつひとつの声に耳を傾けることは難しい。冷静に話ができるときに、自分の避難環境を詳しく調べ、整えておくことが人だけでなく、動物を助けることにもなるのだ。

台風被害「ペットと一緒に避難する」を実現するための具体的「方法」
キャリーバッグをベッド替わりにするなど、日常的に慣れさせることも必須だ。photo/iStock
行政だけじゃない、飼い主のマナーも変わらないと!
 SNSの書き込みでも多かったが、避難をためらう理由として一番にあがるのが、「うちの子は騒いでしまうから」、「興奮してしまうに違いない」という声だ。確かに、災害時に避難所のような場所へ集まって興奮しない動物はいない。人間も興奮状態だ。しかし、そういった状態ではなくても、人や他の動物を見ると吠え続けて飼い主が阻止できない犬も少なくない。

 これはケージの中で落ち着いていられる練習を飼い主が行っていないともいえる。犬の場合、他の動物や人に興奮しすぎないよう日々の生活の中で社会性を身につけていくことで、無駄吠えなどをしにくくなる。また、寝るときはケージを使うなど、日常の中でケージに入ることに抵抗をなくしておくことも必要だ。

 犬以上に知らない人の前では隠れたり、緊張しやすい猫は、普段から十分なスキンシップを取り、触ったり、抱き上げたりすることに慣らしておくことも必要だ。キャリーバッグを常に部屋の中に置いて、入ることに慣らしておくこともぜひ行ってほしい。避難しようと思ってもキャリーバッグに入れなければ、連れて行くことはできないのだから。

 今回の災害で、ある学校を利用した避難所で、ペット同行避難に開放した教室に、ペットの糞尿やペットの毛が散らかり、その後の掃除がとても大変だったと職員が上げたコメントが話題になった。

 排尿のしつけは、飼い主の責任だ。汚れたままで放置して帰るなど言語道断だ。毛の散らかりも日頃きちんとケアをして清潔に保ち、汚れたら掃除をする。避難所で苦情が出る問題の多くは、動物自体ではなく、飼い主の務めを行なっていないのが原因だ。そのせいで避難できずに危険な目に遭う動物がいたとしたら、愛情にあふれた良い飼い主と言えるだろうか。災害が起きてから慌てるのではなく、普段から家族である動物と一緒に備えてほしい。

避難できない足かせ?「ケージ」問題の誤解
 ペットを受け入れてくれる避難所があったとしても、どの避難所も「動物はケージに入れて」という管理をお願いしているところが多い。しかし、「1週間分以上の水やケージ、トイレ用品、フードなどを持って避難をすることは実際には困難だ」と言う人は多い。

 中でもケージは金属製だと、ロータイプのものでも重さは6kg以上になる。大型犬になれば、相当重たいものになるだろう。それも持って、今回のような暴風雨や冠水の中、避難はできない。

 では、どうすればいいのだろうか。避難をする目的で考えると判断がしやすい。水害や地震の後の二次被害など、とにかく危険から生き延びるため安全な場所へ避難するときには、家族やペットと貴重品、最低限のトイレ用品と飲食物を持って安全な場所へ素早く避難するしかない。この緊急時には、重たいケージではなく、移動に適しているキャリーバッグに動物を入れていっしょに避難する。まずは身を守ることが最優先と考えることが必要だ。

 災害が去った後、避難所にまだ滞在する場合は、自宅に戻れる状況下であれば、ケージ、必要なフード、水、トイレ用品などを取りに戻ればいいのだ。さらに長期で避難生活になる場合は、避難所にペットと共に身を寄せるのか、安全なところにペットを預けるのか、自宅の安全が確認できて戻るのかなどの判断をしていくといいだろう。

 避難所で動物による苦情などの問題は、長期避難などで発生することが多い。だからこそ、命の危険がある緊急時にはペット連れの人を自治体も拒否しないでほしい。拒否することにより人命が危機に晒され、後から大掛かりな救助活動が必要になってしまうケースもあるのだから。

台風被害「ペットと一緒に避難する」を実現するための具体的「方法」
受身ではなく行動を起こすことで、動物たちの安全も確保できるのだから。photo/友森玲子
受身ではなく積極的に動くことで動物との避難はスムーズになる
 今回の災害で、ペットとの避難の難しさ、厳しさをリアルに感じた人は多いだろう。でも、「どうせ相手にしてもらえないから」と諦めていたのでは、いつまでたっても状況は変わらない。

 避難所の運営は基本的に自治体の職員が駆けつけて行う。しかし、今回のように被害が大きいほど、誰が避難所を開けられるか分からない状況になる。そんな状況に対応するために、『ファーストミッションボックス』が注目されている。危機管理教育研究所 国崎信江氏と長野県飯田市が考案したアイディアなのだが、最初(First)に集まった人達が、迅速で適確な初動対応が行えるよう、各避難所にファーストミッションボックスを設置する。

 ボックスの中には、やるべき事柄を書いたカードと必要な事務用品などを入れておくのだ。このボックスはすでに全国の自治体でも採用されている。この中に、「避難所開設 ペット」と書いたカードを加え、動物避難のために必要なマニュアルなども入れておくのはどうか。例えば、ケージの設置場所の図面、飼い主への注意事項の張り紙、世話の仕方のマニュアルなどを共通認識で持てば、排泄物を片付けない、ゴミを放置する、人の動物を触ろうとして逃がすなど、避難所でよくあるトラブルを軽減することも可能だ。こういったものを事前に設置してほしいと、自治体に嘆願するのもいいかもしれない。

 避難所開設自体は、自治体の作業になるが、ペットの避難問題は住民の声が上がらなければ反映はされにくい。先にも述べたように、ペットを連れて避難訓練に行くことや、各自治体にペット避難について問い合わせや意見を伝えるなど、飼い主側も受身ではなく、積極的に声を上げていくことが変化に繋がると私は思っている。弱者だからこそ、日常のマナーやケア、準備はもちろん、声を上げることが、今真剣に求められているのかもしれない。

友森 玲子

posted by しっぽ@にゅうす at 10:33 | ペット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

猫の不審死相次ぐ 1週間に5匹 「人為的に何かされた可能性高い」/沖縄

毎日新聞


【石垣】沖縄県石垣市街地の飲食店などが連なる通称「十八番街」で、野良猫の不審死が相次いでいる。今月10〜18日の1週間あまりの間に5匹が死んだ。いずれも外傷はなく、苦しんだ様子がみられたという。原因は今のところ不明だが、人為的な可能性も指摘される。地域からは「偶然ではないだろう。今以上に大きな事件が起こるのではないか」と不安の声が漏れる。

 死骸を確認した地域の関係者によると、10日未明に住宅脇で口から液体を吐いて衰弱した猫が発見され、同日朝に死んだ。その後、18日までに同様の状態で死んだり、死骸として発見されたりする事態が十八番街で続いた。

 死んだ猫のうち3匹を解剖した獣医師によると、個体はいずれも健康体で、感染症が原因の可能性も低い。一方、動物が食べて死ぬことがたびたびある固形状の農薬も、胃の内容物にはなかったという。

 死骸の口の周囲と前足がぬれていたことから、「呼吸困難をどうにかしようともがいたとみられる。相当苦しんだだろう」とする。

 死因は呼吸不全とみられるとした上で、「その原因までは分からない。ただ状況を見ると、人為的に何かをされた可能性は高いのではないか」と話した。

 十八番街で飲食店を経営し、地域の猫の不妊・去勢活動に協力する長川千佳子さん(53)は「猫がかわいそうだという思いもあるし、人の往来もあり店も並ぶこの地域で何かが起こっていることがすごく怖い」と不安げに語った。

 長川さんらは21日までに市や保健所、八重山署に事態を報告・相談した。八重山署は「付近のパトロールを強化している」とした。(琉球新報)
posted by しっぽ@にゅうす at 10:21 | 法律 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

動物の殺処分と安楽死を考える「アニマルウェルフェア」

BLOGOS


【まとめ】

・クリステル財団、動物の殺処分と安楽死を考えるシンポジウム開催。

・独には殺処分施設なく、適切な理由なく動物を殺す事は法律で禁止。

・私たち一人一人が動物福祉について考える事が大事。

動物福祉を推進する一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブル(以下、クリステル財団)は、11月16日、動物保護の最前線に立つゲストと,動物の殺処分と安楽死について考えるシンポジウムを東京都の青山学院大学本多記念国際会議場で開催した。

青山学院大学で開催された、クリステル財団主催の「フォスターアカデミー」は、ヨーロッパ最大の動物保護施設「ティアハイム・ベルリン」からスタッフのアネット・ロスト氏を始めとするゲストを招き、動物の殺処分と安楽死についての議論を行った。

冒頭、財団の代表理事滝川クリステル氏が登壇した。滝川氏は「今日はこの場で皆さんの声を伺い、ディスカッションして殺処分について深く切り込んでいきたい。」と述べ、殺処分について、いかに動物に苦痛を与えない方法を作るのかの議論を促した。会場には約300人が集まったほか、メディアの姿も多く見られた。

続いて、クリステル財団の事務局長である堀江雄太氏が、財団の活動の一つである「パネル・フォー・ライフ」という取り組みを紹介した。QRコードが印刷された等身大の保護犬猫のパネルを様々な場所に置き、そのパネルを見て興味を持った人がQRコードを読み取ることで、飼い主を待っている犬猫の情報にアクセスできるものである。堀江氏はこのプロジェクトについて、「オンラインとオフラインを繋いだ取り組み」と述べた。


▲写真 QRコードが搭載された犬の等身大パネル ⒸJapan In-depth編集部

基調講演では、「ティアハイム・ベルリン」の、アネット・ロスト氏が登壇した。

ティアハイム・ベルリンは現在180人の職員が在籍し、約1400頭の動物を保護しているドイツで最も古い歴史を持つ協会の一つである。現在、約400匹の猫を保護しているが、親子、病気とケガ、リハビリ、野良猫などセクション毎に分けて、異なる保護をしているという。また、一般の猫とシニア猫の部屋を分けるなど、猫と里親のマッチングの確率をあげている。

動物の安楽死についてロスト氏は「ドイツにはシェルターや殺処分施設がなく、適切な理由なく動物を殺すことは法律で禁止されている」と説明した。しかし、重度な行動異常を持つ動物に対しては、倫理委員会が召集され、12項目の判断基準に基づき安楽死を認めることが可能であることが紹介された。「本当に苦しんでいて生きる喜びが見つけられないと判断された場合、安楽死も動物福祉である」とロスト氏は述べた。

ロスト氏の講演後、滝川氏がロスト氏に「今一番必要なことは何か」と質問した。これに対して、ロスト氏は「協会は年間1000万ユーロ(約12億円)を必要とするが、政府による補助がなく、財政の60%は一般の寄付によるものであるため、経済的な支援が必要だ。」と答えた。


▲写真 ロスト氏に質問にする滝川氏 ⒸJapan In-depth編集部

後半は「動物のニーズを満たす」について、加隈良枝氏(帝京科学大学 准教授)の講演が行われた。加隈氏はアニマルウェルフェアを「人間による動物の利用を認めながら、動物により良い生活をさせる考え」と定義付け、動物の心、体、自然状態を理解し、動物にとって何がベストなのかを中心に考えることが重要だとの考えを示した。

次に、佐伯潤氏(日本獣医師会理事)が「殺処分方法の方法の理想と現実」について講演した。佐伯氏は安楽死について「獣医師に認められた最後の治療法」であり、獣医師もまた本当に正しい決断と選択をしたのかと悩み続けている、と話した。「安楽死=獣医師の敗北」という一般的な考え方に対して佐伯氏は「医者にとって死は敗北ではない。」と述べ、「動物を苦痛からどう解放してあげるかを考えることが重要である」と自身の思いを語った。

最後に、17年間アメリカでシェルターメディスンを勉強した田中亜紀氏(日本獣医生命科学大学助教)は、「安楽死はサイエンスでありメディスンである。そして科学であって動物に対する尊厳である」と述べた。そのため、安楽死による痛みは最小でなければならず、動物の状態を配慮してその動物に合った安楽死の方法を探す必要があると訴えた。

また田中氏は、アメリカの殺処分ゼロのプレッシャーによる悪影響にも触れた。アメリカではどんなに良いシェルターでも安楽死を実施すれば叩かれるため引き取りの拒否、年単位のケージ生活、多頭飼育崩壊の助長などの問題が起きている。それによって譲渡ができず、殺処分もできないというジレンマが生じている、と紹介した。


▲写真 登壇者クロージングセッション 左から堀江氏、田中氏、佐伯氏、ロスト氏、野原氏(通訳)、加隈氏、司会者 ⒸJapan In-depth編集部

その後、殺処分ゼロに関するクロージングセッションが行われた。佐伯氏は「臨床現場でやれることは臨床現場でやる、安楽死に対する正しい理解が必要だ。」と述べた。

加隈氏は「現場の人が知識を増やすだけではなく、飼う側も正しい知識を持つべきである。」と述べた。田中氏は「法律で全部の問題を解決できないが、しっかりと整備することが大切だ」と訴えたのに対してロスト氏は「国と国のシチュエーションを比較するのが難しい。国によっては状況が違うし抱えてる問題も異なる。」と動物福祉の課題を提起した。最後に堀江氏は「こういう機会をきっかけに、1人1人が何をできるのかを考えることが大切だ。」と全体をまとめた。


▲写真 会場の様子 ⒸJapan In-depth編集部

来場していた高校生の三浦花連さんは「安楽死の話がとても印象的だった。人間でも難しい話なのに、動物は自分の意思を伝えられないからもっと難しい。」と話した。


▲写真 来場者の三浦花連さん ⒸJapan In-depth編集部

一般男性の岩熊さん は「命と幸福について考えさせられた。会場に女性が多かったが、男性にも興味を持ってもらうために、動物福祉による自分自身のメリットを理解してもらう必要がある。」と話した。


▲写真 来場者の岩熊さん ⒸJapan In-depth編集部

【訂正】2019年11月18日

本記事(初掲載日2019年11月17日)の本文中、「1000万円」とあったのは「1000万ユーロ(約12億円)」の間違いでした。お詫びして訂正いたします。本文では既に訂正してあります。

誤:これに対して、ロスト氏は「協会は年間 1000万円 を必要とするが、政府による補助がなく、財政の60%は一般の寄付によるものであるため、経済的な支援が必要だ。」と答えた。

正:これに対して、ロスト氏は「協会は年間 1000万ユーロ(約12億円)を必要とするが、政府による補助がなく、財政の60%は一般の寄付によるものであるため、経済的な支援が必要だ。」と答えた。
posted by しっぽ@にゅうす at 10:09 | 動物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

神奈川県動物愛護センター、6年連続殺処分ゼロになるまで

BLOGOS


日本では1950年に施行された狂犬病予防法により、野犬などを捕獲・収容することが義務づけられ、飼い主の引き取りがない犬たちは殺処分となる。神奈川県動物愛護センターも昭和のピーク時には年間2万匹以上の犬・猫を殺処分していた。その一方で、獣医師職員たちが収容犬の譲渡に奮闘した歴史がある。

【写真】殺処分ゼロに取り組んだ上條氏

◆獣医師が動物を殺処分にするというジレンマ
「1972年にオープンした時は、『神奈川県犬管理センター』という名称で、野犬や飼えなくなった犬たちを収容して処分する施設でした。

 今もまだこの新施設の隣に、収容室やガス室が残る旧施設が建っています。捕獲され、あるいは持ち込まれてから5日経って引き取り手のない犬・猫を毎日、順番に処分していたんですね。煙突から煙が上がらない日はありませんでした」

 そう語るのは神奈川県動物愛護センターの愛護・指導課長の上條光喜さん。上條さんはもちろん、保健所をはじめ、このような動物施設の職員は資格を有する獣医師だ。

「『あなたたちは、動物の命を助けることも奪うこともできる。それを肝に銘じなさい』と、大学で言われたことを覚えています」(上條さん・以下同)

 動物の命を助けるために勉強をし、国家資格まで取ったのに、毎日元気な犬・猫をガス室に送る…というジレンマに悩む同窓生も多かった。

「当時は、野犬を捕まえるだけでなく、飼えなくなった犬を引き取る回収ポイントが、神奈川県下に多い時で300か所以上あったんですよ。収集用のトラックで集めて回るんですね。1979年からは猫も収容するようになり、出産時期には親からはぐれた乳飲みの子猫もいました」

 まさに、昨日の“愛犬”が躊躇なく今日の“粗大ゴミ”となった時代。しかしこれは過去の話ではない。今でも飼えなくなると人里離れた森林に放置する無責任な飼い主は後を絶たないし、チワワなどの小型犬は猪などの餌食になることもある。公道を首輪もリードもつけず、迷走していた大型犬もいる。

「飼い主に捨てられた犬・猫が、再び人間を信頼するようになるには、時間を必要とします。すぐに譲渡できるわけではありませんし、成犬の縁組みは簡単ではありません」

◆狂犬病予防策の徹底が殺処分ゼロを可能に
 しかし上條さんは、神奈川県が徹底的に野犬などに対応したからこそ、6年連続殺処分ゼロ、そして殺処分設備のない動物愛護センターの開設が可能だったと考える。

「狂犬病は人間も含め、哺乳類ならどんな動物も発症し、発生した場合は死亡率はほぼ100%の恐ろしい感染病です。日本での狂犬病は昭和32年、猫の発症を最後に根絶されましたが、世界ではいまだに年間5万人以上が狂犬病で亡くなっています。日本でも再び発生することも考えられたし、今もその可能性は充分にあるんです。

 ただ、職員はやはり獣医師ですから、なんとか動物の命を助けたいと思った。そこで、講師を招いてスタッフが成犬のしつけ方を学び、しっかりしつけて新しい飼い主を探す『愛犬教室』ということを始めたんですね。

 譲渡に奔走しながら殺処分も続けるという矛盾。『何やってんだ!』とマスコミには相当叩かれましたが、そんな騒ぎが人々の動物愛護への意識を喚起した部分もあったと思います。その証拠に、以後、殺処分は激減していったのですから」

◆ボランティアと力を合わせ、殺処分ゼロを6年連続達成
 収容犬の譲渡、殺処分激減の立役者となったのが、ボランティアの存在だ。

 1972年の犬管理センターオープン時から、殺処分に反対するボランティア団体とは確執もあったが、「死なせたくない」の心は同じ。ボランティアを登録制にして力を合わせるようになった。

 収容された動物については一斉に登録ボランティアに連絡が入り、種類や負傷・病気の有無などにより、対応できるボランティアが引き取りに駆けつけるというシステムを設定。特に、子犬や子猫が収容された場合は、センターが夜間は無人になるため、ボランティアや職員が手分けして自宅に連れ帰ることも。譲渡会を開催して新しい飼い主探しに尽力し、2013年度は犬の殺処分ゼロを達成。以後、毎年更新を続け、2019年6月、「生かすための施設」として神奈川県動物愛護センターが誕生したのである。

「新センター開設は、ボランティアのかたがたのご尽力の賜物です。収容できる頭数には限りがありますし、多頭飼育崩壊の時なども、ボランティアのみなさんが自主的に動いてくださるからなんとか運営できているというのが実情です」

◆簡単には引き取らない。安易には譲渡しない
 現在、同センターが保護するのは、迷い犬、親からはぐれた子猫、捨て猫、「飼えなくなった」と持ち込まれる動物など。

 しかし「殺処分しないから安心」と持ち込んでも、簡単には引き取ってはくれない。

「ペットは終生飼っていただくのが基本ですから、まず終生飼っていただくために切々とお話をします。その上で、どうしても所有権を放棄しなければならない事情があると判断した場合は、新しい飼い主を探すノウハウなどをお伝えします。ですから、1本電話が入ると1時間話しているなんてことがよくあります」

 新しい飼い主として引き取りを希望する場合でも、飼育前講習会、個別面接を経て譲渡の可否を決定、3回目の来訪でようやく譲渡という手順を踏まねばならない。

「2013年以前の数年、獣医師たちは自分の手で一匹一匹、麻酔で眠らせ、心臓を止める薬を投与していました。もうあの頃に戻りたくない。とにかく最期まで飼ってあげてほしい。それだけが願いです」

※女性セブン2019年10月31日号
posted by しっぽ@にゅうす at 10:07 | 行政 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「ゾウは、いません」消える人気動物、迫られる動物園改革

産経新聞社



全国の公立動物園で、ゾウやトラなど人気動物が姿を消しつつある。動物保護を目的とする条約の厳しい規制や購入費の高騰により、高齢で死亡しても次の個体を調達できないケースが多いからだ。専門家は「動物園が“過渡期”にきている」と指摘する。経営主体のほとんどは自治体で、限られた予算やエリアの中、人気動物に頼らない改革に迫られている。

 「天王寺動物園にゾウはいません」

 大阪市立天王寺動物園(同市天王寺区)のゾウ舎の入り口にはこんな張り紙が貼られている。昨年、アジアゾウの「ラニー博子」(雌、推定48歳)が高齢と病気のため死んでから、代わりのゾウはやって来ず、展示スペースは静まり返っている。

 ゾウだけではない。9月には、アムールトラの「虎二郎」(雄、7歳)が死に、10月には唯一いたコアラの「アーク」(同、12歳)も繁殖のため英国へ旅立った。

 同園は、アジアゾウとトラは新たな個体を迎えるべく国内外の動物園と交渉中だが、時期のめどは立っていない。コアラについてはアークを最後に飼育をやめる決断をした。

 日本動物園水族館協会(東京)の岡田尚憲事務局長は「全国の動物園でゾウやキリン、ゴリラといった人気動物が手に入りにくくなっている現状はある」と話す。


背景にあるのは規制や購入費といった高いハードルだ。アジアゾウは、希少動物保護を目的とするワシントン条約により、学術目的以外での商業取引が禁止されている。また、動物商の白輪剛史さんによると、一部の国による買い占めや種の減少で、アジアゾウを購入するには1頭約4千万〜5千万円、アムールトラは1千万円ほどかかるという。

 こうした中、各動物園では、飼育する動物の選別も進んでいるという。

 「各園が『うちの動物園にこの動物は本当に必要か』という判断をするようになっている。アークのように、繁殖のために他の動物園に行った方がいい、という判断もそう。各園がそれぞれの特色をどう打ち出していくかが問われている」。岡田さんはこう指摘する。

海外動物園とやりとり

 動物を連れてくる場合、海外の動物園などと情報を共有し、繁殖計画を立て、交渉するのが一般的だ。同協会によると、動物の個体や飼育情報などをデータベース化している国際的な動物情報管理システム(ZIMS)などを活用しているところが多いという。

 近年、より厳しく求められているのが動物福祉や保全を目的とした飼育環境の整備だ。

希少種の保全と動物の福祉に対する意識が高い“動物園先進国”の欧米に対し、「日本は『遅れている』とみられがちだった」と話すのは岐阜大応用生物科学部の楠田哲士准教授(動物園動物繁殖学)。こうした状況を打破するため、日本の動物園では、飼育環境の改善を図る取り組みが加速しつつあるという。

 「国内でも園同士の繁殖協力や施設整備は進んでいる。飼育基準の向上や保全への取り組みを積極的にアピールすることで、海外の動物園との交渉もしやすくなるだろう」と楠田氏はみる。

あの手この手の改革

 実際、各動物園ではさまざまな改革を進めている。

 天王寺動物園では平成28年、野生に近い新たな展示方法や飼育環境改善計画などを打ち上げた改革「天王寺動物園101計画」に着手。今年度からは専門職の「動物専門員」を3人採用。獣医師や飼育員とともに動物の健康管理や飼育方法の改善を行い、動物がより健康で幸せに暮らせる環境整備に取り組んでいる。

 富山市が所有する富山市ファミリーパークでは、ニホンカモシカやホンドタヌキなど日本や富山県が原産の動物を中心に飼育。27年からは、特別天然記念物のニホンライチョウの保護・繁殖に力を入れている。村井仁志動物課長は「単なる娯楽として動物園に来るだけでなく、展示を通して身近にいる動物と共存するという意識をもってもらえたら」とする。

「海外からの動物を導入するなら『この施設で動物が幸せに暮らせるか』ということが厳しく問われる。施設作りや餌のやり方など工夫している」。こう話すのは札幌市円山動物園の山本秀明飼育展示課長。同園ではテナガザルやシンリンオオカミなど35種の飼育を断念し、3頭いるホッキョクグマの飼育に重点を置く方針へ転換した。

 海外からのさらなる導入を考え、従来の約5倍の飼育スペースを確保し、繁殖拠点を目指す方針だ。
posted by しっぽ@にゅうす at 09:52 | 動物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする