動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2013年04月17日

数字で見る動物愛護の途中経過

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2006年(平成18年)、日本で動物愛護管理法の改正が行われ、それに伴い2008年(平成20年)までに全国都道府県で動物愛護管理推進計画が策定された。それから3年たった2011年(平成23年)に日本全国で殺処分された犬猫の数が、先日環境省より発表されたが、犬では実に4万3606頭、猫はその約3倍の13万1136頭で、合計17万4742頭がこの年に全国の殺処分施設で殺された。

◇ 環境省ホームページ「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況(平成23年度)」

犬の殺処分頭数は2006年の11万頭に比べ、2008年には8万2000頭、そして2011年では4万4000頭と毎年確実に減ってきている。この5年間で7万頭弱の犬の殺処分数が回避・削減できたのならば、この先の5年間で、もしかしたら犬の殺処分ゼロが現実となるのかもしれない、そんな錯覚を感じてしまう。そう、ここであえて「錯覚」というのは、実は都道府県によって殺処分頭数に大きな地域格差が存在するからである。

全国都道府県の犬殺処分数統計を単純に比較しただけでも、その差はよく分かる。例えば、殺処分となった犬の数では、頭数が一番少ないのは新潟県の80頭で、収容数711頭の11.3%が殺処分である一方、一番多いのは茨城県の3334頭で、これは収容数4270頭の75.5%に当たる。

両県ではそれぞれ収容頭数が大きく異なり、少なからず規模が大きくなれば収容した犬の扱いだって異なってくるはずだ。収容施設の規模が収容頭数に見合わなければ、収容頭数が多くなるほど殺処分の最たる理由に「収容場所の不足」があげられることになる。

しかし譲渡率を比べてみると、新潟県の犬の譲渡率が高いかというとそうではなく、新潟県の犬の譲渡数は208頭で収容数711頭の20%、そして茨城県は収容数4270頭の19%である846頭が譲渡されていることから、むしろ絶対数で見ると、今度は茨城県の方が譲渡頭数が多い結果となる。

なんといっても新潟県では犬引き取り数711頭のうち59%にあたる419頭が返還で、これは東京都や神奈川県の46%を大きく上回る。そして茨城県の飼い主への返還は6%(156頭)、あまりにも少ないといえば少ない(茨城県の引き取り頭数の内訳では、その85%(3519頭)が所有者不明で、茨城県の条例である「係留義務」に違反してうろついている犬達が捕獲・収容されることで大部分を占めている)。原因はどこにあるのだろうか?迷子札や鑑札、マイクロチップの装着率、そして飼い犬が迷子になったときの飼い主の対応の仕方や捜索方法など、細かく検証することで他県にもヒントとなるはずだ。

もしも茨城県の返還率が東京都や神奈川県並みの46%になった場合、収容された犬の半分近くである1964頭が返還されるわけだから、計算上では殺処分頭数も一気に半分以下になる。平成23年度に飼い主の手によって持ち込まれた犬の引き取り数614頭を引き取り拒否によって頭数を減らすのも良いが、返還数の方が絶対数としては大きいことが見込まれる。そう考えると、返還率を上げるための検討はぜひともなされるべきだろう。





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さてここで、平成20年(2008年)に策定された茨城県動物愛護管理推進計画を見てみよう。茨城県動物愛護管理推進計画では究極的な目標を「致死処分頭数ゼロ」と掲げつつ、計画最終年度(平成29年度/2017年度)には犬の引き取り頭数を平成18年度引き取り頭数3064頭の半分の1532頭、そして譲渡頭数を500頭以上を目標にしている。

ところが、策定3年後の平成23年度の時点で譲渡頭数目標はすでに達成。ひとえに多くの人たちの努力の成果であり、大変喜ばしいことである。ただ、計画最終年度に無事これらの目標がぎりぎり達成できたとしても、まだ1500頭が収容されていることになる。仮に現在の譲渡数800頭ほどがそのまま継続するとして、残る700頭前後は、やはり返還頭数をも著しく上げることをしなければ、その大部分は殺処分となってしまうことが予想される。

また茨城県は平成23年度に所有者不明の幼齢犬の引き取り数1608頭、飼い主からの引き取りを合わせると1786頭と、ダントツワースト1位となってしまった。2位の香川県(1321頭)に400頭以上の差だ(補足するならば、この3年間の統計を見る限り、幼齢犬引き取りワースト下位常連は広島県、徳島県、香川県である)。そしてこれらの子犬達の運命はといえば、最小限見積もっても8-9割は殺処分といったところ。戸外で飼われる犬への避妊去勢の必要性を、適正な飼養の一環として飼い主に徹底させることも、今一度強く広めなければならない。

殺処分ゼロを実現させるためには、現状を多方面から解決してく必要がある。今回は数字だけを取り上げ比較をしてみたが、現実的には各都道府県の状況を踏まえたうえで目標よりも高いところを目指していかなければ、ただ各都道府県の動物愛護管理推進計画にある目標を見ただけでは、本当に殺処分ゼロが実現できるのか、一体いつ実現できるのか、とても不安が残る。

今年は9月に改正動物愛護管理法の施行を控え、それに伴い、多くの自治体では動物愛護管理推進計画の見直しを行う予定である。今一度、自身が住む都道府県の動物愛護管理推進計画に目を通し、どうすれば自分たちが望む将来を実現できそうかをそれぞれが考えておかなければ、全てを自治体まかせにしては自治体の方としても荷が重すぎるというもの。せめて自分たちの声はできるだけ自治体に届けておくことで、自治体側も方向性を決めやすくなるというものだ(皮肉なことに、犬猫に対する市民の声は「苦情」として自治体に多く届けられているのが現状で、むしろポジティブな意見やアイデアは「苦情」ほどには届けられていない)。

「到底無理」といわれた殺処分削減を、アメリカでは20年かけて成し遂げた。日本では、数字を見る限りすでに犬の殺処分ゼロへの道筋は見えている。殺処分ゼロの実現は自治体の大きなイメージアップに繋がるのだから、一日も早く実現できるよう、目標を前倒しする勢いでがんばって欲しいと思う。



posted by しっぽ@にゅうす at 09:55 | 法律 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする