
動物愛護センターの職員に世話される野良猫から生まれた
生後2カ月の子猫=新潟市中央区の同センターで
新潟市は、犬や猫を10匹以上飼っている飼い主に対する届け出義務制度を9月1日からスタートさせる。8月1日施行の「新潟市動物の愛護及び管理に関する条例」に盛り込んだ。違反した場合は5万円の過料を科す。届け出制度は全国の政令市で初の試み。
市動物愛護センターによると、県も1977年に動物愛護に関する条例を定めている。だが、同市では2011年に強制執行で退去させられた市民の飼い猫53匹を一度に引き取らなければならない「想定外」の事態が起こるなどしたことから、独自に条例化することを決めた。
市の条例では飼い主に連絡先などを書いた名札をペットに付けることや、最後まで飼育することなどを努力義務として定めた。ペットを飼っていない市民にも「動物が命あるものであることを認識」することや、野良猫に餌を与える場合は不妊治療など繁殖防止措置をとり、周辺住民の理解を得た上で行うことなどを求めている。条例に野良猫の扱いについて盛り込むのは全国的にも珍しいという。
同センターによると、昨年度殺処分された犬は11匹の一方で、猫は707匹にも上る。同センターが昨年度収容した猫792匹のうち、約8割が野良猫が産んだ子猫だ。同センターの担当者は「犬猫の里親探しには限界がある。収容数を減らさないことには殺処分数も減っていかない。安易な優しさで野良猫に餌を与えるのではなく、きちんとルールを守ってほしい」と話した。条例施行を前に、篠田昭新潟市長は8日の定例記者会見で「(犬猫の)殺処分数ゼロを目指す」としている。【真野敏幸】