家電製品の電源コードをかじったり、おしっこでショートさせたり―。かわいいペットをはじめ、身の回りの動物たちが火災などの事故を引き起こしてしまうことがある。ペット用品に関する事故も報告されており、思わぬ被害に遭わぬよう注意したい。
札幌市中央区の道立消費生活センター。商品テスト部の梅田裕幸部長が、茶色く腐食したプリンター内部の基板を見せてくれた。「煙が出たので調べてほしい」と持ち込まれたものだ。
原因とみられるのは猫の尿。プリンター内部に入った尿が基板を大きく腐食させ、その一部がショートして焦げたようだ。幸い火災には至らなかった。
さまざまな製品の事故情報を収集し、原因究明を行っている独立行政法人・製品評価技術基盤機構(東京、略称ナイト)によると、メーカーや消費者センターなどからナイトに通知された製品事故のうち、ペットなどの動物やペット用品が関係する事故は、2007年度から11年度までの5年間で186件に及ぶ。
死亡事故こそないが、こうした事故は人がいないときや目を離したときに発生することが多いため「周囲の製品や建物にまで火災などの被害が広がってしまうケースが6割以上と多いのが特徴」とナイトの佐々木茂・道支所長は言う。
186件のうち、ペットによる事故は23件。犬が電源コードをかじる、電気カーペットをひっかく、猫の尿がプリンターやファクスの内部に入るなどでショートして発火した例や、犬が携帯電話のバッテリーをかんだためにショートから破裂・火災につながったケースも寄せられている。
また、ペット以外の小動物(ネズミや虫など)の事故は50件。電源コードをかじられるケースが多く、冷蔵庫の背面の配線がネズミにかじられて出火したとみられる事故が道内でも起きている。
186件中、道内分は6件。ただ、梅田部長は「古くなったので故障した、ペットがやったのならしょうがないと考える人が多く、大きく火や煙が出たりしない限り、消費者センターなどに相談する人は少ない。実際の事故はもっと多いのでは」とみる。
ナイトは、被害を防ぐためのポイントに、室内でペットを飼うなら《1》電源コードやコンセントに市販のカバーをかける《2》ペットが好む排尿場所には電気製品やコードを置かないか、製品にカバーをかける《3》携帯電話やバッテリーは放置しない―などを挙げる。(西村章)<北海道新聞1月24日朝刊掲載>