動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2014年05月23日

一匹狼OR7:オオカミ保護の行方

ナショナルジオグラフィック ニュース


5年前にオレゴン州東部で生まれ、後に政府の研究目的でその首に首輪を取り付けられたOR7という名のハイイロオオカミは、州を横断し、壮大な冒険の旅に出たことで一躍有名になった。2011年にはカリフォルニア州まで到達し、同州としては1924年以来初の野生のオオカミとなった。以来OR7は、オレゴン南部からカリフォルニア北部にかけてのカスケード山脈の山中を、両州を行ったり来たりしながら自由に放浪していた。

一匹狼OR7:オオカミ保護の行方
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 一匹狼として生涯を過すだろうと思われており、研究者らは今年の冬にも、首輪に付いているGPS追跡機の電池が切れたらそのままフェードアウトさせてやろうと考えていたのだが、3月に米国魚類野生生物局(FWS)の生物学者ジョン・スティーブンソン(John Stephenson)氏が、OR7にどうやら家族ができたようだと気付いた。

 そこで研究チームは、オレゴン州ジャクソン郡にあるローグリバー国立森林公園で、OR7の狭い行動範囲内にカメラを何台か仕掛けておいた。

 そして5月7日、カメラのメモリカードを取り外して持ち帰ったところ、5月3日に撮影された画像の中に、誰もが予想していなかったものが写り込んでいた。OR7と、もう1頭の見知らぬオオカミの姿が1時間と違わず撮影されていたのである。謎の新参者は、OR7よりも毛色が濃く、サイズは小さく、頭も細長く、しゃがんで排尿していたことから、メスであることが分かる。

 繁殖期にこれほどOR7に接近していることから、スティーブンソン氏は既にこのカップルには子どもがいて、どこかの巣の中に隠しているのではないかと見ている。研究者らは一定の距離を保ちながらも、カメラが子どもたちの姿を捉えてくれることを期待している。

◆絶滅危惧種?

 昨年6月にFWSは、南西部の亜種メキシコオオカミを除いた全米のハイイロオオカミを絶滅危惧種から外すことを提案した。オオカミが多く生息しているのはロッキー山脈北部と五大湖西部の一帯だけだが、FWS局長のダン・アッシェ(Dan Ashe)氏は、オオカミはもはや絶滅の危機には瀕していないと主張する。FWSはすでに、この2つの地域においてはオオカミを絶滅危惧リストから外している。

 しかし他の科学者や保護家たちは、これに反対している。

 保全団体「オレゴン・ワイルド」は、OR7につけるもっと親しみのある名前を一般公募し、「ジャーニー」という名前に決定、開拓者ジャーニーの冒険物語を使って反対活動を行っている。広報担当のロブ・クラビンズ(Rob Klavins)氏は、ジャーニーに家族ができたようだとの知らせを受けて、「オレゴン西部にオオカミが生息していることを示す新たな証拠だ。彼らは保護を必要としている。チャンスを与えてやれば、必ず力強い再生を見せてくれるだろう」と期待する。

◆オオカミと暮らす

 いくら首輪をつけたところで、また隠しカメラで撮影したところで、オオカミは自由奔放で気が荒く、危険な動物であることに変わりはない。ユタ州ローガンにあるユタ州立大学のオオカミ生物学者ダン・マクナルティー(Dan MacNulty)氏は、オオカミの生息域に住む人々は、いかにオオカミとともに暮らしていくかを検討しなければならない時期に来ていると話す。

 マクナルティー氏は、オオカミの生息を積極的に保護する地域と、畜産業などが盛んなために厳しく管理する地域を慎重に線引きするというやり方を支持している。

 またオレゴン畜産者協会の元会長ビル・ホイト(Bill Hoyt)氏によれば、環境ロビー団体の提唱している、家畜を襲ったことのあるオオカミだけを取り締まるという管理戦略に、オレゴン州の畜産農家たちも妥協する姿勢を示しているという(OR7は家畜を襲ったことがない)。

PHOTOGRAPH COURTESY OF USFWS

タグ:オオカミ
posted by しっぽ@にゅうす at 00:00 | 動物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする