動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2014年09月06日

ペットから人へマダニのウイルス

NHK

身近なペットが危険なウイルスを運んでくる可能性のあることが分かってきました。
マダニが持つSFTS=重症熱性血小板減少症候群を引き起こすウイルスで、感染すると死に至ることもあります。
マダニは、衣類や寝具など家庭内にいるダニとは違い、野外に生息しています。
もともとは山奥で生息していたと考えられるマダニですが、取材を進めると、ペットを介して感染が広がっている実態が見えてきました。
松山放送局の山下茂美記者が解説します。


ウイルスに感染した男性

松山市に住む62歳の男性は、ことし6月、体調の不調を感じて受診したところ、マダニのウイルスへの感染が分かりました。

38度の高熱が下がらず、食事もできない日々が続き、5週間で体重は10キロ減少。
左目はウイルスによって炎症を起こして見えなくなり、緊急の手術でも回復せず、失明しました。

去年、山口で初確認

マダニが持つSFTS=重症熱性血小板減少症候群を引き起こすウイルスは、人に感染すると出血を止める血小板が著しく減少します。
男性の母親も、ことし4月に、このウイルスに感染。
白血球が減って抵抗力が落ち、肺炎を発症して亡くなりました。

男性の治療に当たった松山赤十字病院内科の藤崎智明医師は、「さまざまな臓器に感染して障害を起こすウイルスで有効な治療法がない」と話しています。
このウイルスによる感染症が日本で初めて確認されたのは、去年1月、山口県でした。
厚生労働省が調査に乗り出したところ、先月下旬までに、西日本で95人が感染。
31人が死亡していることが分かりました。

北海道や東北のマダニからも、人への感染の報告はないものの、SFTSウイルスが見つかっていて、厚生労働省は、マダニが多い山や野原などに行く場合には長袖と長ズボンを着用するよう注意を呼びかけています。

ペットから感染の可能性

男性には、症状が出る1週間ほど前に、感染につながった可能性があると思われる出来事がありました。
飼い犬に付いていた小さな虫を手で潰していました。
それがマダニでした。

男性は、そのときの状況について、「犬の口の周りに付いていた小さな虫を5匹ぐらい指でつぶしたら血が飛び出た」と話しています。

人里に広がるマダニ

なぜ、ペットの犬に、マダニが付いていたのか。
取材を進めると、マダニが人里にも広がっている実態が分かってきました。
去年、山口県でSFTSウイルスを初めて発見した山口大学共同獣医学部の前田健教授が、男性が飼っている2匹の犬を調べました。
犬小屋の周辺には、犬の血を求めてマダニが数多く集まっていました。
マダニの体長は通常3ミリほどですが、犬の血をたっぷりと吸って1センチほどに膨らんでいました。

前田教授が、マダニを研究室に持ち帰って分析したところ、16匹中、少なくとも6匹のマダニから、SFTSウイルスが見つかりました。
また、犬の血液の検査から、2匹ともウイルスに感染していたことも分かりました。

背景に山の環境変化

前田さんは、ペットの犬にマダニがいたのは、山の環境の変化が関係していると考えています。
本来、山奥に生息しているマダニは、鹿やいのししなどの野生動物の血を吸って生きています。
去年の国の調査では、野生の鹿の20%以上、いのししは5%近くが感染の経験があり、前田教授は、そうした野生動物が人里に近い畑などに下りてくることで、マダニが運ばれ、犬や人に触れる機会が増えていると考えています。

野生動物が人里に下りてきて、畑などを荒らすケースは全国で相次いでいて、男性が犬を飼っている場所でもいのししがたびたび目撃されていました。

前田教授は、「日本全国で住宅の周辺にまで野生動物が入り込んでおり、どこでもマダニのウイルスに感染する可能性はある」と話しています。

ペットのマダニ、注意点は

愛媛県の山際に広がる住宅地では、実際にペットからマダニが相次いで見つかっています。
八幡浜市の動物病院によりますと、ペットの犬が、散歩をしていて知らないうちに、顔や耳の辺りなどにマダニを付けている例も少なくないということです。
犬自体は発症しませんが、愛媛県が、ことし行った調査では、野外で飼われていた33匹の犬のうち、3匹がマダニに刺され、SFTSウイルスに感染した経験があることが分かりましました。

動物病院の大山晴嗣院長に、犬を散歩させるときの注意点を尋ねると、マダニは湿り気のある落ち葉がたくさん降り積もったようなところにたくさんいるので、そうした場所に犬を入らせないようにすることだということです。
そして、散歩のあとは、ブラッシングをして、毛に付いた虫を落とすことが大切だということです。
また、人が感染するのを防ぐためにマダニを犬に寄生させないようにする薬も有効だと言います。
市販薬もあるということで、継続して付ければ、犬がマダニに刺されるのを防ぐことができます。
身近なペットの衛生環境や健康状態に日ごろから気をつけることが、人への感染予防にもつながります。

過度におそれず適切な対応を

また、ペットに付いているマダニが、すべてSFTSウイルスを持っている訳ではありません。
国が去年、全国で調べたところ、マダニのウイルスの保有率は5%から15%ほどでした。
しかし、このSFTSウイルスには、治療薬や予防できるワクチンがなく、いったん人に感染すると重症化のおそれもあります。
マダニに刺されないようにすることが最も大切ですが、万が一刺された場合は、無理に取ってはいけません。
マダニの体液から感染リスクが高まることにもなりますので、病院で処置してもらうことが必要です。

posted by しっぽ@にゅうす at 06:48 | ペット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする