動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2014年09月16日

ペットにチップ 遺棄防止へ

読売新聞


犬猫などのペットの体内に埋め込み、飼い主情報が瞬時に読み取れるマイクロチップが広がりつつある。

 チップ装着により迷いペットの殺処分が減り、無責任な遺棄も抑止できると期待されており、環境省では義務化の検討を始めた。ただ、チップの存在自体があまり知られておらず、普及率アップやデータ管理などの制度整備が課題となりそうだ。

登録は98万件

 東京都内の動物病院の診察台で、獣医師の元井宏行さん(56)が犬の首の後ろに円形のリーダーをかざすと、「ピッ」と音がして、リーダーの液晶部分に、飼い主の住所や連絡先が登録された15桁の番号が表示された。

 犬の飼い主の小島昇子さん(56)は、3年前に同病院でチップを装着してもらった。「迷子になるかもしれないので、付けておくと安心です」と話す。

 マイクロチップは、ガラスなどの小さな筒状の容器に入った記憶装置で、直径2ミリ、長さ12ミリほど。専用の注射針にセットし、動物の皮下に注射して埋め込むため、外見からは全く分からない。「装着は一瞬のうちに終わるので、鳴き声を上げたりするケースはあまりないんです」と元井さんは言う。


 チップには番号が記憶されており、動物病院や保健所などにあるリーダーで読み取る。番号ごとに飼い主の情報をデータ登録機関に事前に登録しておき、番号を照会すると飼い主情報が特定できる仕組みだ。

 登録情報を主に管理しているのは日本獣医師会や日本動物愛護協会などからなる「動物ID普及推進会議(AIPO)」。AIPOによると、登録数は2007年度の13万件から13年度末は約98万件と7倍以上に増加している。昨年はチップの照会で飼い主が見つかったケースが150件あったという。

義務化を検討


 マイクロチップが注目を集める背景には、動物の殺処分の多さがある。

 環境省の調査では、年々減少傾向にあるものの、12年度の犬猫の殺処分は16万匹を超え、保健所などに引き取られた犬猫の約77%が殺処分されている。

 保健所が引き取った後にチップで飼い主を特定できれば、殺処分を減らすことができる。災害時などに行方不明になったペットも見つけやすくなる。また、チップ装着で飼い主に責任感と自覚が生まれ、無責任な飼育や遺棄を抑止する効果もあると期待されている。

 AIPOによると、実際に、遺棄された犬にチップが埋め込まれていたため、飼い主が特定された例もあるという。

 チップ装着はスイスやフランスなどでは、すでに義務化されている。日本では今のところ任意だが、環境省では義務化の是非に向けた検討を行っている。今秋から「殺処分ゼロ」を目指すモデル事業の一環として、チップを使う事業を選定する見込みだ。

「知らない」4割

 ただ、チップの普及率と認知度は依然として低い。

 環境省の12年の調査では、普及率は犬猫でも6・8%にとどまった。11年に一般の2700人を対象に行ったインターネット調査では、チップを「よく知っている」「ある程度は知っている」と答えたのは28・3%に過ぎず、「知らない」が38・2%に上った。さらに「かわいそう」「必要ない」など否定的な意見も4割を超え、意見が分かれている。

 運用面でも、飼い主が登録先を把握していなかったり、飼い主が変わったのに変更の届け出がなかったりする例がある。これらは飼い主の意識に頼る部分が大きいだけに徹底が難しい。

 データ管理も大きな課題だ。近年になってAIPO以外にもデータ管理を行うとする団体が現れているが、保健所側や獣医師の認知度は低い。年間3000匹前後の動物を収容する東京都動物愛護相談センターは、AIPO以外のデータベースは把握していないといい、他自治体でも同様のケースが目立つ。都内の獣医師は「データ管理は一元化されるべきだ」と指摘する。

 現在は任意のため、こうしたデータ管理などに規制がなく、同省担当者は「義務化を検討する過程で、データ共有などの制度整備も課題になる」と話している。(井上亜希子)

2014年09月15日 Copyright コピーライトマーク The Yomiuri Shimbun
posted by しっぽ@にゅうす at 07:28 | ペット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする