動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2014年09月20日

動物愛護週間:きょうから 無責任飼い主ゼロ宣言

毎日新聞


昨年9月1日に改正動物愛護管理法が施行されてから1年が過ぎたが、家族の一員として大切にされるペットがいる一方で、虐待されたり、殺処分されたりする犬や猫は後を絶たない。20日から26日は動物愛護週間。人とペットが共生するために必要なものは何か、考えてみよう。【井上志津】

 動物愛護週間は動物愛護管理法によって定められている。「広く国民の間に動物の愛護と適正な飼養についての関心と理解を深める」(第4条)のが目的だ。

 田辺仁・環境省動物愛護管理室長によると、今年の中央行事のテーマは「宣誓!無責任飼い主0宣言!!」。動物を大切にする飼い主がいる半面、虐待したり、飼育放棄したりする事例があるため、「飼い主の責任」をテーマにした。期間中は動物関連団体と協力し、地方自治体でも「動物愛護ふれあいフェスティバル」などの普及啓発行事を実施する。

 改正動物愛護管理法は昨年9月1日、施行された。改正の主なポイントについて、田辺室長は「一つ目は飼い主に対して、その動物が命を終えるまで適切に飼う『終生飼養』の責任があることを明記した点」と言う。

 動物取扱業者に対しても「販売が困難になった動物の終生飼養の確保」を明記した。自治体の動物愛護センターなどが業者から引き取りを求められたり、ペットを持ち込んだ飼い主が「終生飼養」の原則に反していると思われたりする場合、引き取り拒否もできるようになった。

 二つ目は、動物取扱業者に対して規定を増やしたこと。犬や猫の「健康安全計画」の提出や、ペットを販売する際には対面説明や現物確認をすることなどが義務付けられた。

 ◇罰則を強化


 三つ目は災害時における動物救護。東日本大震災の経験を受け、都道府県の動物愛護管理推進計画の中に、災害時の動物の適正な飼養・保管に関する施策が追加された。このほか、動物虐待の例として、酷使や世話をしないで放置する、病気やケガを放置することなども記載。罰則も強化した。

 施行から1年。効果は出ているだろうか。田辺室長は「自治体が犬・猫を引き取る件数は年度末にまとまるので分からないが、感覚としては減少していると思う」と話す。ただ、引き取りを断られ、帰り道に捨ててしまうケースも報告されており、問題はまだ山積しているようだ。

 「今回の改正法は何より第1条を見てほしい」と田辺室長は話す。これまでは法律の目的は「国民の間に動物を愛護する気風を招来し……動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害を防止する」とあったが、改正法ではこれに加えて「人と動物の共生する社会の実現を図る」と明記されたのだ。「動物は『物』ではなく命あるものと認識してもらうことで、共生のための施策作りのきっかけになるようにしています」と強調した。

 ◇殺処分ゼロ目指して


 今月6、7日、東京都新宿区にある集合住宅の一室で「猫の里親会」が開かれた。「人と猫の共生を図る対策会議」(内田明代表)の主催で、主に週末、新宿区と板橋区で猫のもらい手を探すために開催している。

 同会議は2006年に発足。野良猫を捕獲し、不妊・去勢手術を施した後、元の場所に戻す活動や、東京都動物愛護相談センターから殺処分寸前の猫を保護する活動を行っている。6、7日の2日間、新宿区の里親会に参加した猫は延べ30頭。このうち5頭が「お試し入り」として里親に引き取られた。

 スタッフの秋葉雅子さんによると、昨年は365頭の猫に不妊・去勢手術を施し、同センターから93頭の猫を引き取り、前年からいる猫も含めて157頭に里親を見つけた。今年も同センターから約50頭を保護し、約80頭の猫の里親を見つけたという。

 改正法の効果について、秋葉さんは「残念ながらあまりない」と話す。会は同センターから保護する猫の対象を大人の猫や病弱な子猫といった「余った猫」にしているため、数はなかなか減らないのだという。

 行政に対する要望を話してもらった。「不妊・去勢手術費の助成金を増やし、自治体ごとにバラバラな金額を一律にしてほしい。また、捕獲した猫はその自治体の動物病院で手術をしないと助成金を使えない自治体があるので、どの区でも使えるようにしてほしいです」。一度に10頭ほどの猫に安い値段で手術を施す動物病院はどこにでもあるわけではないので、区境を越えて病院を選べれば助成金の枠内で手術ができるというわけだ。

 「実際、区境を越えて手術が受けられる千代田、港、渋谷区などでは野良猫対策が進んでいます」と秋葉さん。「これからも殺処分ゼロを目指してセンターの方と協力していきたい」と続けた。

 ◇改正法の周知、道半ば 「動物病院、もっと利用を」 ペットは伴侶

 改正法は飼い主に周知されているだろうか。13歳の犬をみとった後、2歳の犬を育てている東京都町田市の女性は「知らない」と首を振った。ただ、最近の飼育状況については「動物病院が増え、料金も技術も含めて飼い主の選択肢が増えて飼育しやすい環境になっていると思います」と話した。


 一方、中野区で13歳と11歳の猫を飼う男性は「改正法は知っているが、対象は悪質な業者や飼い主で自分には関係ないという思いがある。それよりも、動物病院の技術の良しあしや料金の高低がまちまちで当たり外れが大きいので、ある程度の基準が見えるようになってほしい」と要望する。

 最近のペットの病気の傾向について、赤坂動物病院(港区)の獣医師で日本臨床獣医学フォーラムの会長を務める石田卓夫さんは「最近は室内で飼われている犬や猫が多いので、以前のような交通事故や骨折といったケガは少なくなった。代わりに、がんや心臓病、腎臓病など加齢とともに増える病気が増えている」と説明する。

石田卓夫・日本臨床獣医学フォーラム会長
石田卓夫・日本臨床獣医学フォーラム会長
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 技術が進み、人間の医療界と同じように医療費もかさんでいるという。「ペットの医療保険も普及していないので、人間の病院に我々が保険なしでかかった時の金額と同じぐらいかかるといえます。機械も人間を診るのと同じものを使っていますから」。このため、獣医師が現在抱えている一番大きな問題は経済的な問題だそうだ。「質は下げないようにしながらムダを省いて医療費を下げるよう、どの獣医師も苦心しているのではないでしょうか」

 では、飼い主はどうしたらいいだろうか。石田さんは、ペットを飼い始める時、前もって医療費がこれぐらいかかるという見積もりを出しておく▽ペットが若い時から定期的に検診を受け、病気の早期発見に努める−−ことをアドバイスする。「早く病気を見つけて治療すれば、トータルでの支払いは安くすむかもしれません」

 また、人とペットが幸せに暮らすために、もっと日常的に動物病院を利用してほしいとも話す。「例えば、『動物を飼いたいが、自分にはどんな種類が合うか』といったことから相談してもらえれば、人とペットのミスマッチが防げます。『動物飼育に関する相談です』と電話で言えば、つないでもらえますよ。そして自分に合ったホームドクターを見つけ、ペットが『伴侶動物』として家族から長く愛されるために、清潔な美しさと健康を保ち、きちんとしたしつけが身につくよう、気軽に動物病院を利用してください」

 ■動物愛護ふれあいフェスティバル

 23日午前11時〜午後4時、屋外会場「上野恩賜公園」(東京都台東区)▽正午〜午後4時半、屋内会場「東京国立博物館」(同)。犬のしつけ方教室、クイズラリー、講演「高齢者とペットの暮らし」など。入場無料。
posted by しっぽ@にゅうす at 08:07 | 法律 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする