動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2014年09月26日

犬猫の殺処分と人間の高齢化問題/動物愛護センター視察

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2081…。この数字は何のことだかお分かりだろうか? 平成24年度に都内で殺処分された犬と猫の数だ。武蔵野市をはじめ地域猫の活動が広まっているが、殺処分ゼロはまだまだ実現できそうにない。どうすればなくすことができるのだろうか。

■数は減った
 東京都動物愛護相談センターに収容された犬の数は平成24年度で789頭(成犬783、子犬6)。猫は2289頭(成猫660、子猫1629)だった(※)。
 このうち、160頭の犬、1921頭の猫が殺処分されている。犬の約20%、猫の約84%が収容後に殺処分となっていた。

 区市町村別から見ると武蔵野市からは23頭が収容されている。内訳は成犬が8頭、成猫10、子猫が5頭となっていた。23頭のうち殺処分された頭数は統計には出ていないが、割合から考えればおおよその数は分かる。これらの犬や猫を救うことはできないだろうか。

 殺処分をなくすには、まず、収容されないことが一番だ。そのためには、地域猫などの活動が効果的だろう。だが、実際にはゼロになっていないこともあり、現状がどうなっているのかを伺うために、武蔵野市で収容された犬や猫を担当することになる東京都動物愛護相談センター多摩支所(日野市)を視察させていただいた。

 担当者の話によると、引き取り依頼の連絡があったとしてもすぐには引き取らない。特に猫の場合は飼い猫か野良猫なのかの区別ができないので引き取らず、地域猫活動など地域で解決してもらうようにしている。収容する場合は、病気やけがをして動けないケースや生まれたばかりで単独では生きていけないケースが多い。以前のように連絡があれば収容することは止めていると方針変更があったことを話されていた。

 統計を見ると確実に減ってきていた(画像は東京都全体の犬猫の取扱数の推移。八王子市は平成19年4月に、町田市は平成23年4月に保健所政令市となったため、それ以降は両市の数値は入っていない)。



■新たな課題は高齢化
 担当者に、方針が変更されたことで数は少なったとはいえ、未だに殺処分がなくならないのは気が変わったなど飼い主の勝手な理由が多いのかと聞いてみた。すると、そのような理由では収容しない。飼い主が高齢化し飼いきれないケースや飼い主が亡くなってしまった場合が多いと説明されていた。

 高齢化の問題が、ペットにも影響しているのだ。

 高齢者が一人暮らしで犬や猫が生きがいになっている例はよく聞く。しかし、飼い主が亡くなってしまった場合には、犬や猫がどうなってしまうのかの問題だ。

 飼い主が亡くなっても犬の場合であれば、犬がよほど高齢になっていなければ引き取り手はあるのだという。しつけをするなど若い年齢の犬よりも手間がかからないのだそうだ。

写真 1 しかし猫の場合は、子猫なら引き取る人は多く愛護センターと連携している地域猫の会などが引き取り第二の人生(猫生?)を送ることは少ないのだが… という現実がそこにはあった。

 わがままな飼い主は、愛護センターで引き取ることがなくなったため、自宅から遠くまで車で運び、そこで捨ててしまったり、高速のインターでも捨てたりするケースがあるのだそうだ。多摩支所の場合には管内にインターがないのでこのようなケースはないが、地方ではよく聞くケースだという。呆れてしまうしかない。人間のわがままが動物の命を左右していることになる。いつか、そのしっぺ返しが人間にくるのかも、と思ってしまった。

■法改正
 change.orgで愛護動物の虐待及び殺害の厳罰化-刑の厳格化を求めるネット署名が行われている。

 日本では、動物を傷つけても、殺しても罪に問われない事が多く、罪としては器物損壊の方が重い罪になるのが現状だ。そのため、動物への虐待は「器物損壊」としての罪に問われることになる。動物は「物」以下というわけだ。
 
 ネット署名が行われているサイトには、『暴力事件を起こした事がある人の8割以上が動物虐待を経験しています。又、動物虐待は幼児虐待やDVとも関係しています。犯罪行為、暴力行為はエスカレートします。凶悪犯罪が増える中、動物虐待の犯人を厳しく取り締まる事は私達人間の安全も守ることになります』と訴えている。

 地球生物会議(ALIVE)のサイトにも児童期の虐待経験と動物虐待の関連を示す研究についての記事が掲載されている。
 ジェームズ・ブレウェットロンドン大学キングズ・カレッジ、社会福祉労働力研究部部長の研究を紹介する内容で、動物を虐待する児童が暴力的傾向を持つ成人になるかどうかに関して、『動物虐待で有罪宣告を受けたことのある153人の若者の70%は、他者への暴力を含め、動物虐待以外に、少なくともひとつの犯罪歴があることを示しており、これらの若者は、財産関連や麻薬関連の犯罪に関わる率が高かった』という事例を紹介し。文献調査では『虐待が、過去のトラウマの表現であったのは明らかだった』ことも紹介している。
 しかし、動物虐待が他者への暴力へと発展する人間の特定予測はむずかしく、単純に決め付けないよう気をつけなくてはいけない、と警告している。それは、児童福祉団体と動物福祉団体が協力してデータを構築する研究をしてこなかったからだとしていた。

 大阪府立中央図書館のレファレンス事例でも明確な文献はないもののいくつかの文献が紹介されていた。動物虐待と暴力行為の関係は明確でないとはいえ、猟奇的な事件があると動物虐待もあったことが報道されていることが記憶に残っていることを考えれば、何らかの関係性は否定できないだろう。

 厳罰化でどこまで効果があるか、私には分からない。だが、物以下ではない。現状のままでは虐待しても罪にならないのはおかしなことではないだろうか。


■どうすればいいのか
 犬猫の殺処分は以前には保健所で行われ、野犬狩りということも行われていた。今では組織も変わり、野犬狩りなどは行わないと大きく状況は変わり、人間の高齢化など新たな課題もでてきている。人間のわがままに変わりがないのかもしれないが、どうしたら殺処分ゼロになるだろうか。

 動物愛護センターでは、小学校低学年を対象に、動物とふれあう体験により動物愛護精神の普及啓発を無料で行っていた。このような地道な活動から動物虐待や殺処分がなくなっていくのだろう。時間はかかるが、さらに広めていくことがまず必要と思った視察だった。

 話を伺った後、収容されている犬を見させていただいた(猫は公開していない。写真撮影は不可)。けなげに尻尾を振ってくる犬。年老いて動けなくなっている犬。病気になっている犬などがそこには収容されていた。引き取り手があれば、救われるのだが、そうでない場合の結果は明らかだ。気持ちが重くなり帰り際に降り出した雨が何かを訴えているように思えてしまった。愛護センターのわきにあった看板は、殺処分止まれと言っているようだった。


posted by しっぽ@にゅうす at 09:24 | 行政 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする