動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2014年11月24日

日本馬“突然死” 愛護団体「競走馬をムチで打つな」に競馬界当惑

livedoorニュース


日本競馬界にとって残念な訃報が入った。

 11月4日に豪州メルボルンのフレミントン競馬場で開催されたオセアニア最大のレース、メルボルンカップ(GI、芝3200メートル、22頭)で、日本から参戦したアドマイヤラクティ(牡7歳)がレース後に急死した。前走のGIレースを勝って単勝1番人気に推され、残り600メートルまで2番手を追走する好レースをしていただけに関係者の落胆ぶりはいかばかりか。死因は心不全とみられるが、アドマイヤラクティの死によって、愛護団体からムチ使用禁止の要望が出るという思わぬ事態にまで発展した。

 アドマイヤラクティは10月18日の前走、コーフィールカップ(GI、芝2400メートル、22頭)で2着に0秒4差をつけて優勝していた。この結果を受け、メルボルンカップでは1番人気に支持された。期待に応えるように2番手の好位でレースを進めていた。

 ところが、残り600メートルで異変が発生。ズルズルと後退し、勝ち馬から73馬身差の最下位22着に終わった。主催者によると、馬房に戻ったところ倒れたという。日本中央競馬会(JRA)は11月13日、死因が急性心不全だったことを明らかにした。

 メルボルンカップから一夜明けた5日、地元メルボルンの新聞はアドマイヤラクティの急死を大きく報じた。地元の有力紙「ヘラルドサン」と「ジエイジ」は「必ず勝てると思っていた」というザカリー・パートン騎手のコメントや他陣営からの驚きや哀悼の声を掲載した。

 その一方で、競走馬保護連合は競走馬が無理強いをさせられすぎているとし、騎手によるムチの使用禁止を求めている。AFP通信によると、同連合は豪州の競馬場で昨年8月1日から今年7月31日の間に125頭が死んでいると発表。「われわれはムチを使用することによって馬を肉体の限界に追い込んでいると考えている。そして、2歳で調教下に置かれることが、なぜ競馬場で馬たちが故障するのかという点の重要要素だ。競馬界にはムチなしでのレースを始めることと、2歳馬の競走を段階的に取りやめることを求める」とする声明を発表した。

 英国では動物愛護団体との取り決めにより、レースで1人の騎手が打てるムチは7回までと厳しく制限されている。

 日本では2010年5月に国際競馬統括機関連盟がムチ使用のガイドラインを制定したことで規制を図ることになったが、回数制限はない。ただ1レース10回程度と徐々に浸透してきている。

 ただ、ムチ使用制限は騎手の間で不評を買う。短期間に2度の違反で15日間の騎乗停止を科せられた英国の名手リチャード・ヒューズが「このルールーがある限り、馬主や調教師を満足させられる騎乗はできない」と主張。騎手免許を返上して抗議したことがある。

 アドマイヤラクティに関しては過度のムチ使用が死因ではないようだ。レーシング・ビクトリアの主任獣医師を務めるブライアン・スチュワート氏は豪州放送協会のラジオに対し「騎手は苦痛を和らげるためすぐさまムチを離し、馬上で力を抜いた。ムチが関わっているという疑問は、この件に関してはない」とコメントしている。

 インターネットに掲載されていた獣医学博士、吉原豊彦氏の論文によると、競走馬がレースで走行中に突然失速し、馬群からズルズルと引き離されていくケースがある。その場合、入線した後すぐに骨や靭帯、筋腱、呼吸器系などをいろいろ検査しても特に異常は認められず、歩様検査も正常だが、聴診すると不整脈があり、心電図検査で心房細動が確認されることがあるという。

 健康な馬でも突発的に発症するため、発症の予測は難しく、発作性心房細動と呼ばれている。原因は今のところ不明だそうだ。

 日本で過去に心臓麻痺や急性心不全で死んだケースとしては、1961年の天皇賞・秋で最下位の7着に敗れたサチカゼ(牡5歳)がゴール後に倒れ、息を引き取った。重賞3勝のダイワカーリアン(牡8歳)は2001年のアルゼンチン共和国杯4着後、地下馬道で倒れ、死因は急性心不全と診断された。

 アドマイヤラクティは今回の結果次第で、ジャパンカップなど日本のGI参戦が視野に入っていただけに無念さが募る。


タグ:競走馬
posted by しっぽ@にゅうす at 06:57 | 動物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする