動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2015年06月03日

水族館のイルカ/施設間の協力体制強化を

河北新報


休みの日、水族館に子どもたちの歓声が響く。目を輝かせてイルカのショーに見入る姿はほほえましい。そんな平和な光景も安穏と眺めてはいられなくなってきた。
 世界動物園水族館協会(WAZA、スイス)が、和歌山県太地町の追い込み漁で捕獲されたイルカの入手を理由に、日本動物園水族館協会(JAZA、東京)の会員資格を停止した問題である。
 世界協会は5月中に改善されなければ、除名すると通告した。イルカを飼育する日本の34施設の多くは太地町から購入しており、対応に苦慮。日本協会は会員投票で、追い込み漁によるイルカ入手を断念し、世界協会残留を決めた。有効142票のうち、残留99票、離脱43票だった。
 会員資格の復活に向けて、国内の会員施設は捕獲イルカの活用を放棄したわけだが、今後、頼ることになるイルカの繁殖は困難がつきまとう。イルカの妊娠や子育ては難しく、時間やコストもかかり、繁殖が可能なのは大規模な施設に限られるからだ。
 施設の中には、漁による入手に依拠せざるを得ないとして、日本協会からの脱退を検討したところもあった。繁殖技術を持つ施設を中心に、水族館同士のネットワーク強化が必要となる。
 世界協会が問題視している太地町の漁は、漁船から大きな音を出してイルカの群れを湾に追い込んで捕獲する。隠し撮りで追い込み漁を残酷に描いた米映画「ザ・コーヴ」の影響も大きく、欧米を中心に強く批判されている。日本の伝統的な漁法や文化への無理解、自然観の違いなど難しい問題が背景にある。
 イルカの飼育と展示は19世紀に英国で始まったとされる。しかし、欧米では1980年代から、野生動物の保護・愛護の観点から批判が高まり、施設の閉鎖が相次いだ。スイスで2013年にイルカショーが中止となり、米国の場合、水族館のイルカは繁殖が主流だという。
 そうした世界的な流れを直視し、日本協会は有効な手を打ってきたのだろうか。世界協会は04年、追い込み漁によるイルカ入手を非難決議。会員資格停止は今回突然、突き付けられた問題ではない。
 日本協会は「許可された伝統的な漁法」「残虐でない」と主張してきたという。ただ、英語による反論や日本の立場を説得力ある形で訴えてきたとは言い難い。
 今回の決定について日本協会は「追い込み漁や日本の捕鯨文化を否定するわけではない」と釈明。展示生物入手への影響など資格停止のデメリットを重視し、受け入れを決めた事情に理解を求める。
 一方、欧州の環境保護団体は「倫理規定に違反したことを認めたことになる」と発言しており、すれ違いによる火種は残っている。
 日本の動物園、水族館は種の保存、教育、調査研究、レクリエーションの4項目を役割に掲げ、生物との触れ合いを楽しみつつ「命の大切さ」「生きることの美しさ」を学ぶことができる。こうした特徴、動物保護の取り組みなどの情報発信に努め、価値をアピールすることも重要だ。




posted by しっぽ@にゅうす at 06:32 | 動物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする