犬の四肢にある肉球。ぷっくりとした見た目がかわいらしく、つい触りたくなってしまいますね。今回は、犬の肉球と弱点について説明したいと思います。
肉球は、皮膚の角質層が厚くなったもので、表面はとても丈夫にできています。内部にはコラーゲン線維や脂肪が詰まっています。プニプニとしたクッションは歩行時の衝撃を吸収し、滑らないようにする役割も果たしています。
また、人の指先のように痛みや温度などを感じ取る大切な器官でもあります。
肉球の表面の厚さや硬さは、環境や加齢によって変化していきます。外を歩くことの多い犬は、肉球も刺激によって厚く硬くなります。一方、室内で過ごすことが多い犬のものは表面が薄く軟らかいまま。子犬の肉球の表面はなめらかですが、高齢になると硬く、がさついてきます。
また、冬は地面が冷たく、空気も乾燥しているので、ひび割れを起こすこともあります。こうした場合には、保湿効果のある肉球用のケア用品が市販されているので、試してみるのも一つの方法です。
肉球を構成する組織の再生能力は低く、けがをすると治りにくいのが弱点です。とがったものなどを踏んで傷つくと、線維や脂肪がぎゅっと詰まっているので、傷口がはじけるように大きく開いてしまうのです。さらに、足には体重がかかるため、傷口がふさがりにくいのです。
普段から見たり触ったりしてチェックし、散歩をする際には地面の状態にも気を配り、けがを未然に防ぎましょう。(アニコム損保 獣医師 石田洋美)