動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2017年02月13日

高齢者がペットと暮らせる施設が大阪に誕生予定。ペットも入居者も住民も考えた施設計画を聞いてきた

エキサイトニュース


カレンダーの販売会社がペットのエキスパートに成長するまで

ペットは家族の一員という感覚は、今や決して珍しいものではない。子供が独立して家を離れた後、夫婦でペットを飼い始める例も多く、ペットは子供と同じような存在なのだろう。しかし、動物飼育率は40代〜60代が全体の約50%を占めるが、70代以上では10%以下にガクッと落ち込む。ペットの世話は重労働で、最後まで世話できるかどうか不安に感じる高齢者が多いようだ。
そんな中、動物用品通信販売カタログのPEPPYを運営する新日本カレンダー株式会社が、2017年末から2018年春を予定としてペット共生型有料老人ホーム「ペピイ・ハッピープレイス TAMATSUKURI」を開設するというので、取材してきた。

お話を聞かせてくださったのは、ペピイ事業部 取締役 事業部長の平尾泰久氏。それにしても、カレンダー会社がなぜ、ペット用品を扱い始めたのだろう。
「1990年ごろに入社した3代目社長が、獣医師協同組合の名入れカレンダーを受注してきたのが始まりでした。バブルがはじけ、カレンダー販売以外の事業を模索する中、ペット用品の通販カタログを動物病院においてもらってはどうかというアイデアが生まれました。当時は今とペットに対する意識が違い、ペット用品売り場も今ほど充実していなかったからです」

PEPPYの創刊は1994年の春。近畿圏の動物病院を中心に、1500軒で配布を始めたが、現在は全国8300軒まで増加している。

獣医師のアドバイスをもらいながら、メーカーの商品を扱うだけでなく、情報発信にも力を入れてきた。創刊当時は動物を飼うとどんな責任があり、どんな作業が生じるのかがまだ周知されておらず、動物病院で説明するのが主であったが、専門用語の多い治療や病気の説明は飼い主にわかりづらく、獣医師の負担にもなっているという問題があったからだ。

その後、これからは動物看護師の役割が大切になるという獣医師たちからの声を受け、敷地内に大阪ペピイ動物看護専門学校を開業。さらに、複数の開業獣医師が出資した高度動物医療施設のネオベッツVRセンターを誘致し、動物医療が進化し続ける中、忙しい現職動物看護師が勉強する場も必要であるとして、株式会社ペピイも創業する。こうして、新日本カレンダー株式会社は、動物関連企業として力をつけてきたのだ。

動物の高齢化と人の高齢化

ペット共生型の老人ホームを作ろうと考えたきっかけのひとつは、人の高齢化だという。
「近年、PEPPY創刊当初からおつきあいさせていただいているお客様から、高齢者がペットを世話する大変さについて聞く機会が増えてきました。動物関連のシンポジウムに出席すると、保健所の方から施設に入る高齢者が、涙ながらにペットを持ち込むとお聞きします。しかしまだ人間の高齢者にスポットをあてられるほどの知識はなく、まず高齢動物の介護商品に力を入れるようになりました」

高齢者の動物飼育問題について気になりつつも、どう手を打てばよいのかわからなかったのだそうだ。

状況が一転するのは2014年のこと。

「本社南側の敷地が売りに出たため、購入したのですが、活用方法については決まっていませんでした。そんなとき、当ビル内に事務局を置いている公益社団法人大阪市獣医師会様から、『ペットと一緒に住める老人ホームを作ってはどうか』と提案されました。でも、我々はペット飼育のノウハウは持っていても、人間の医療介護については無知。そこで、お世話になっている産業医の岩本診療所さんに相談してみたところ、『協力するよ』とおっしゃっていただいたのです」
と、平尾氏は微笑んだ。

家族が巣立ち、仕事からも退職し、健康にも不安が……と、高齢者の生活からは失われていく要素が多くなりがちだが、ペットに必要とされれば「この子のために元気でいなくては」と思えるものだ。最後まで世話ができるかどうか不安で、飼いたくても飼えない高齢者にチャンスを作れればと考えている。

至れり尽くせりの施設

ペピイ・ハッピープレイス TAMATSUKURI の施設詳細はまだ決まっていないが、延べ床面積は3687m2。9階建てで1階には犬の保育園のほか、大阪ペピイ動物看護専門学校の職員室、そしてカフェが入る予定だ。

「カフェにはトリミング棟や子猫ルームを設置し、公益社団法人大阪市獣医師会の『子猫リレー事業』で譲渡を待つ子猫を預かって、当施設で世話をし、譲渡カフェとしても機能させたいと考えています。また、ドッグマッサージやしつけ教室など、居住者以外も参加可能な、ペット同伴イベントも開催予定。

一般の人と入居高齢者との交流が生まれるのではと期待しています」
と、入居高齢者・動物・一般利用者にとって「三方良し」のアイデアが盛り込まれている。

2階は食堂や居住者の健康管理室やフロントなどを設け、9階には露天風呂付大浴場、屋上にはドッグランもある。居室は3階から9階で、45室。ほとんどが犬猫どちらの飼育にも対応したタイプで、クローゼットの下部にペットのベッドスペースや居室内にペットシッティングエリアを設置。バルコニーにペットを出さないことを原則としているが、万が一出た場合でも事故にならないよう、ペットが飛び乗りにくい形状の手すりを設置するなど、落下防止の工夫がされている。猫専用室も二部屋あり、キャットウォークやキャットタワーを設置。天井まで壁で覆われつつ、メッシュフェンスで風の通るガーデンテラスもある。
ペットは高齢者が一人で無理なく世話できる範囲を考えて、一部屋3頭、犬だけなら2頭まで。大型犬にも対応しており、30キロまで受け入れる。

また訪問介護事業所を併設するだけでなく、動物診療機関でもあるネオベッツVRセンターや大阪どうぶつ夜間急病センターも隣接しており、施設オプションサービスとして散歩代行やペットシッターなどもあるという。しかし何より安心なのは、入居者がペットの世話をできなくなった場合、施設で引き取って里親譲渡を行ってくれることではないだろうか。

ペットと暮らしたい高齢者にとっては、至れり尽くせりの施設だが、まだ予定部分も多いので、オープン後に追って取材したい。


posted by しっぽ@にゅうす at 07:36 | ペット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする