動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2017年03月20日

老いる飼い主、老ペットの世話は… 犬猫みとるホーム

朝日新聞


高齢者が高齢のペットの面倒を見る「老老介護」、親の介護に加えてペットの介護もする「二重介護」……。ペットの長寿化が進む中、様々な事情でペットと一緒の生活が難しくなる飼い主たちがいる。そんな飼い主のニーズに応え、ペットをみとりまで世話し続ける施設が静岡県内にある。

特集:どうぶつ新聞
 三島市芙蓉台3丁目の老犬ホーム「富士の里」。NPO法人「日本アニマルセラピー協会」(神奈川県大和市)などが運営する同施設は2014年に犬の受け入れを始め、これまで9〜18歳の老犬10頭の世話をしてきた。うち6頭は最期まで世話をする「終生飼養」での預かりだった。

 木造2階建ての一軒家で広いベランダ付き。室内はエアコンが効き、クラシック音楽が流れる。アットホームな雰囲気で、いつでも犬の世話ができるよう所長の圓谷竜也さん(28)とスタッフ1人が住み込む。

 失禁する犬にはおむつをはかせ、寝たきりの犬には寝返りを打たせる。後脚が悪い犬には、胴部を持ち上げる介助機器を使って散歩させる。夜泣きや徘徊(はいかい)する犬にも対応する。1頭1頭に合った世話の仕方を考えて対応している。

 動物が好きでこの仕事に就いたという圓谷さん。飼い主側には犬との老老介護や二重介護などの問題が生じていたという。15年に大型犬を預けに来た県内の女性は、心臓と後脚が悪く、夜泣きする愛犬の世話をしながら両親の介護も抱えていた。

 富士の里で犬を預かったが、その後、介助なしでは歩けない状態になり、昨年1月、15歳で死んだ。圓谷さんは「大好きな犬のことで悩むことが辛いと感じたり、預ける行為を責任放棄と感じたりする人もいる。でも、ここで穏やかに暮らす犬を見て楽になったとの声をいただきます」

 圓谷さんはこれまで5頭をみとった。愛犬の幸せを願う飼い主のためにも、愛犬にどんな最期を迎えさせてあげるかをしっかり話しておくことが大切という。預かりは有料。圓谷さんは「飼い主は困ったら、1人で抱えずに相談してほしい」と話す。

■飼い主も高齢化、世話できず

 猫専用の施設もある。活動開始から今年で5年目を迎える磐田市大原のNPO法人「ねこホーム」。現在預かっている猫は41匹。終生飼養の預かりは33匹で、約9割は10歳以上の老猫。約1割は高齢による持病の治療を受けている。

運営するのは代表理事の西城磨優美さん(43)と副理事の牧野建男さん(67)。2人は元会社の上司と部下。西城さんが譲り受けた猫2匹を牧野さんが世話をするうち、「僕が死んだら猫たちが困る」と思ったことをきっかけに12年に活動を始めた。

 41匹はログハウス風の施設で暮らす。中は6部屋あり、猫たちは相性を見極めた上で部屋分けされ、1日1回、室内を散歩する。面会が難しい飼い主には猫の近況を知らせる手紙や動画を送る。最期の前兆を感じたら、飼い主に連絡し、最期を愛猫とともに過ごせる環境を準備するという。

 終生飼養で預かった猫のほとんどは、高齢の飼い主が亡くなったり、入院したりする理由から、「実家の猫をどうしたら良いかわからない」という家族が預けに来るという。14年には、高齢者施設に入所した神奈川県の女性の飼い猫を娘たちから預かった。猫は糖尿病だったが、昨年秋、19歳で息を引き取った。その後、娘たちから「預けた時に獣医から余命数カ月と言われたのに、こんなに長生きするとは。ありがとう」と言われたという。

 施設で亡くなった猫たちは、施設の裏の薔薇の木の下に眠る。薔薇の園芸が好きな牧野さんが猫のためにと墓を作り、飼い主たちも祈りに来るという。

 飼い主やその家族は愛する猫を預ける際、「飼えなくなる日が来るなんて。こんなはずじゃなかった」と口をそろえる。ねこホームは有料だが、預けようにも資金がなく、困る人も多いという。

 4年間で受けた問い合わせは1万件以上。ニーズの高まりを感じ、今夏、敷地内に100匹を受け入れ可能な施設をつくる予定。西城さんと牧野さんは「猫の幸せが、飼い主の幸せになる。安心、信頼のできる施設が増えれば」と話す。

 県動物保護協会の齋藤俊夫事務局長(62)は「ペットの世話ができなくなった時には、ペットを施設に預ける、家族に世話をお願いする、ペット可の高齢者施設を探すなどの選択肢がある。飼い主は、どうするかを事前に考え、備えておいてほしい」と指摘する。(北川サイラ)

■犬14.36歳、猫15.04歳

 一般社団法人「ペットフード協会」が行った2016年全国犬猫飼育実態調査によると、犬の平均寿命は14・36歳、猫は15・04歳。「高齢期」とした7歳以上の犬は5割以上、猫は4割以上を占めた。

 県衛生課によると、犬猫が高齢になったことや病気を理由に、保健所に引き取りを求める飼い主もいるという。


posted by しっぽ@にゅうす at 08:21 | ペット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする