動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2017年03月21日

人はなぜ品種改良による遺伝子的疾患がある犬を飼いたがるのか?(デンマーク研究)

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こんかいはちょっと重いテーマとなる。わかっていてもそのことから目を背けていた人も多いかもしれない。また知らず知らずのうちにそのようなペットを選んでいた人もいるだろう。

 犬は人にとって最良の友である。世界的に見ても犬をペットとして飼っている家庭は多い。実はその裏にこんな問題も隠れている。犬の品種改良に起因する健康問題だ。

 人に好まれるように品種改良したのだからその犬種が好まれるのは当然の結果と言えるかもしれないが、健康問題を抱えていると知っても人はその犬を飼いたがる。

 それについて、コペンハーゲン大学のピーター・サンド博士らが論文で議論している。そのあらましはこうだ。

多くの犬種が極端な表現型と高レベルの遺伝性疾患による福祉問題を抱えているが、そうした犬種の人気が衰えることはない。

極端な身体的特徴を有する人気の2犬種(フレンチブルドッグとチワワ)、体型とは直接関連しないものの高リスクの遺伝性疾患がある犬種(キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル )、同サイズだが極端な体型ではなく、かつ遺伝性疾患の程度が全犬種並みの犬種(ケアーンテリア)の飼い主を調査し、その矛盾を調べた。

調査項目は、犬を取得する際の背景にある計画的・動機的要因、ならびに経験した健康・行動問題が飼い主と犬との関係に与える影響や同じ犬種をもう一度欲しいと思う気持ちに影響するかどうかである。

デンマークの登録犬リストから各犬種の飼い主(750人/犬種)を無作為に選び、参加を依頼。最終的に846人が参加した。

購入前の計画については4犬種で明確な違いがあり、チワワの飼い主が最も計画性がなかった。動機にも違いが見られた。

ケアーンテリアでは健康や犬の特質が最重要視されていたが、フレンチブルドッグとキャバリアキングチャールズスパニエルでは性格が重視されていた。

健康・行動問題は、キャバリアキングチャールズスパニエルとチワワの場合、高いほどに飼い主との関係が深まったが、フレンチブルドッグでは悪化し、再度同じ犬種を飼いたいという意欲も低下した。こうした点を鑑みるに、人が福祉問題を抱える犬を飼いたがる傾向に矛盾はないようである。


【データ上はフレンチブルドッグが極端に短命であることが明白】

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フレンチブルドッグ image credit:wikipedia

 研究者は、某スウェーデン保険会社のデータにも言及している。それによると、フレンチブルドッグの平均寿命は、オスなら2.5年、メスなら3.8年であるそうだ。(日本の場合にはフレンチブルドッグの寿命は10〜12年となっている)

 ある専門家は、健康上の問題を抱え、寿命が短い犬種のそうした特性にもっと注意を向けるべきだと訴える。


【子犬を飼う際に健康はあまり重要視されていない】
 
 特徴的な容姿・犬種の特性・飼い易さはいずれも犬の購入動機となる。性格も重要だ。こうした動機は犬種によって異なり、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルとフレンチブルドッグの場合は特徴的な容姿と性格が重要となる。

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キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル image credit:wikipedia

 チワワの場合、そうしたことより飼い易さが大切だ。ケアーンテリアの飼い主にとっては、容姿の重要性は下がり、犬種の特性が大切となる。

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ケアーンテリア image credit:wikipedia

 これを見る限り、子犬を飼う際に健康はあまり重視されておらず、犬の福祉を改善するのは非常に骨が折れそうだ。

 犬種によっては心臓疾患に関連するような場合もあるのだが、もしかしたら、そうした介護が飼い主と犬との絆を強めている可能性もあるかもしれない。

 サンド博士の論文はこう結論している。

本研究が支持する結論は、犬好きの人が犬種特有の福祉問題を抱える犬を飼うという一見したところ矛盾するような状況が、チワワやフレンチブルドッグといった犬種の購入希望者の観点からは、矛盾していないようであるということだ。

したがって、この2犬種の問題についての入手可能な情報は、その人気の高まりを阻んではいない。これらの犬種の表現型特性に対する基本的な感情反応が、購入にあたっての非常に効果的なプラス動機であるからだ。

極端な体型や近親交配に起因する福祉問題に苦しまない犬への需要を人々の間で促進するには、妙案が必要であることを示している。

【愛されるために生れ、愛されるために死ぬ】

 こうした宿命を持つ犬だが、少なくとも犬らしく生きることはできる、という意見もある。食用にされる家畜の生涯にくらべたら愛されながら死ねるのだから。

 しかし、だからといって、人間にとって可愛く見えるからという理由で、健康疾患に悩まされることとなる犬の繁殖を続けることを正当化できるのだろうか?という疑問が見え隠れする。

 先進国では短く悲惨な生涯が運命付けられている犬の繁殖を続けることの是非が問われている。これは犬に限らず猫も同様だ。

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チワワ image credit:wikipedia

 新しい家を必要としている保護犬や保護犬はたくさんいるのに、相変わらずペットショップやブリーダーで買う人が多い。しかも人気の種は、生まれつき健康にリスクを抱えた改良品種である場合が多いということだ。

 飼った以上は責任を持ち、人間が最期まで愛し続けるのなら、そういった種の繁殖を続けてもよいのだろうか?それともやめるべきなのだろうか?

 みんなの意見を聞いてみたい。


via:Why People Buy Dogs Who They Know Will Suffer and Die Young/ translated hiroching / edited by parumo

posted by しっぽ@にゅうす at 07:59 | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする