動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2017年06月12日

猫の命 官民で救え…ブームの陰 殺処分900匹

読売新聞


 世は空前の猫ブームだ。アベノミクスならぬ「ネコノミクス」という造語が生まれ、関連グッズや写真集が売れる。だが、府内では昨年度に908匹が殺処分されるなど、流行の背後には飼い主のモラルを巡る根深い問題がある。今年5月に開設2年を迎えた府と京都市が共同運営する「京都動物愛護センター」(南区)を訪ね、殺処分はどうすればなくせるのか、考えてみた。(木村ひとみ)

 同センターでは、職員の獣医師が1匹ずつ薬を注射して安楽死させる。手のひらに載る子猫は、注射後、あっという間に動かなくなる。機械での処分より猫の苦痛は少ないが、獣医師の精神的負担は大きい。

 「1日20〜30匹を処分することも。動物を助けるために獣医師になったのに、なぜこんなことを、と思うこともある」。同センターのある獣医師は、苦しい胸の内を打ち明ける。

 2013年、動物愛護管理法が改正され、自治体が安易な理由による引き取りを拒否できるように。同センターによると、それ以降は行政が収容・処分する猫の数は減少した。だが、府内では昨年度、犬(41匹)の20倍以上が人間の手で命を絶たれている。

 特に猫が多いのは多産の上、犬と違って自治体への飼育の届け出が義務付けられておらず、放し飼いも禁止されていないためという。殺処分となるのは、ほとんどが捨て猫や放し飼いの親が産んだ子猫。生まれたばかりの子猫は数時間おきにミルクが必要で、人手に限りのある行政機関では殺処分せざるを得ない。

 猫たちを救う鍵は、官民の連携だ。殺処分を減らそうと府北部で活動する市民グループ「キャッツ☆ワン」は、「ミルクボランティア」と呼ばれる飼育経験が豊富なメンバーが子猫を育て、譲渡先を探している。同グループ代表の木村悦子さん(43)は「センターが殺処分する前に、私たちに声をかけてくれれば助けられる」と訴える。

 同センターも、生後1か月程度の子猫を一般家庭で飼育してもらう「預かりボランティア」を導入。野良猫が懐きやすくなり、新たな飼い主への譲渡につながるなど成果を上げている。同センターの獣医師、池隆雄係長(48)は「家庭に預ける子猫の月齢を下げることは検討したい」と、民間との協力体制の拡大に前向きだ。

 

 ◇ペット業者 規制強化を

 ◆京都動物愛護センター名誉センター長 女優 杉本彩さん

 京都動物愛護センターの名誉センター長を務める女優の杉本彩さんに、ペットを取り巻く現状と課題を聞いた。

――センター開設の成果は

 譲渡希望者が圧倒的に増えた。今後の課題は、センターへの無責任な犬猫の引き取り依頼に対してどう指導するか。そして、どのように問題解決に至ったかを追いかける仕組みが必要だ。

――「殺処分ゼロ」への方策は

 まずは、動物愛護管理法をしっかり機能する法律にすること。不妊・去勢手術は一般の飼い主や保護団体への原則としての義務化を検討するべきかもしれない。

 東京五輪・パラリンピックが開催される2020年までに、ペットの福祉環境を世界基準にすべきだ。ペット業者を規制する良いタイミングだ。規制を強化すれば、悪質な繁殖業者もペットショップも淘汰とうたされる。

――法律の不十分な点は

 現状では、虐待している飼い主から強引に保護すれば窃盗罪になる。一時保護のための法律や、虐待をした人が二度と飼育できないような規制も必要。ブリーダーを資格制、ペットショップも許認可制にすべきだ。

――殺処分を行う獣医師の精神的負担も重い

 無責任な飼い主の罪を引き受け、殺処分を行う精神的負担は耐え難いものだと思う。負担をなくすには、殺処分の業務そのものを見直す必要がある。

――ペットを飼おうと思っている人へのメッセージを

 家族に迎える時は、行政または民間で保護されている動物を選んでほしい。マッチングを助言してくれるところから譲渡してもらうことが、人と動物の良好な関係のために必要だ。

2017年06月11日 Copyright c The Yomiuri Shimbun


posted by しっぽ@にゅうす at 07:22 | 行政 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする