動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2017年08月13日

家の中でペット飼うのは危険?世界で年間5万人が狂犬病で死亡、キスや一緒寝はNG行為

Business Journal

今回はペットからのヒトへの病気伝染のお話です。
 まず“常識君”の解説です。
「ペットからうつる病気は動物由来感染症ともいわれます。人類の歴史で猛威を振るった例はペストで、ネズミからうつる病気です。14世紀の流行では、4億5000万の世界人口のうち、1億人が死亡したともいわれています。また、犬からうつる病気で発症すると死亡率が100%といわれているのが、狂犬病です。日本で発症した狂犬病は、幸いにもこの60年間でありません。この間、数人が海外で感染して帰国後に死亡しています。
 日本は島国で感染症流入をコントロールしやすく、また狂犬病ワクチンを飼い犬に打つことが励行されているので、日本の犬にはまず狂犬病ウイルスはいません。つまり咬まれてもほぼ問題はありません。しかし、世界ではいまだに5万人近くが狂犬病で死亡しているともいわれ、中国では2015年には2600人近くが狂犬病で死亡しています。統計上の話ですから、実はそれ以上の可能性もあります。
 狂犬病は潜伏期が数週間から数カ月ともいわれており、狂犬病ウイルスを持つ動物に咬まれても、発症前にワクチンを打てば発症を免れることができます。海外では、とくに発展途上国では気軽に犬に触ることはやめましょう。さて、ほかにもたくさん犬からうつる病気、猫からうつる病気、鳥からうつる病気などがあります。詳細については、日本医師会が出している動物由来感染症ハンドブックが、読みやすく情報量が豊富です」
 そこで“極論君”のコメントです。
「ペストや狂犬病は日本ではまず起こらないと思っています。しかし犬ではパスツレラ症、レプトスピラ症、瓜実条虫症、エキノコックス症、猫では回虫症、Q熱、ネコひっかき病、トキソプラズマ症、鳥では鳥インフルエンザ、オウム病、クリプトコッカス症などが有名です。つまりペットは病気を伝搬することがあるので、僕はペットを飼うことに反対しているのです。リスクのあるものは遠ざけるのが、一番簡単で確実なリスク回避です」
感染症を防ぐ方法


 一方で“非常識君”のコメントです。
「命にかかわるペストや狂犬病がない日本では、僕は安心してペットを飼ってよいと思います。むしろ、ペットによる治療が心の病の病院でも行われていたり、老人介護施設でペットが認知症の進行防止にも一役買っているなどという報道も目にします。僕はペットは動物由来感染症を引き起こすリスクよりも、ストレス社会の昨今、とても役に立っていると思っています。また、ペットを家族同様に扱っている家庭も少なくないように思えます」
 極論君が非常識君に質問します。
「非常識君の家では、ペットとはどうやって接しているのですか?」

非常識君の回答です。
「わが家は犬を飼っています。室内で家族同様に飼っていますよ。一緒の布団で寝るし、ときには軽く口にキスしたりします。お風呂も一緒に入ることがありますよ。同じ食事は食べませんが、食器などは一緒に洗うこともあります」
 常識君のコメントです。
「非常識君の家ではペットの犬はほとんど家族の一員なんですね。ところで動物由来感染症を防ぐ一般的な意見は以下のようなものです。
・定期的に動物病院で検診を受ける
・ペットとキスをしない
・ペットに食べ物を自分の箸で食べさせたり、口移ししない
・ペットと人の食器を一緒に洗わない
・ペットに触ったり、糞の処理をしたら石けんで手を洗う
・ペットと一緒に寝たり、一緒にお風呂に入らない
・ペットの体はいつも清潔に保つ
・糞の始末はこまめに行う
 非常識君の家庭では、この基準を逸脱しているようですね」
人間のストレスを軽減する効果


 非常識君のコメントです。
「僕は少々不潔なほうが、健康になるという持論を持っています。デンマークの報告などでは、家畜を同じ屋根の下で飼っている子供はあきらかにアトピーの発生率が少ないという調査データがあるようです。ですから、そんな意味合いも含めて犬と一緒にベッドで寝ているのです」
 常識君のコメントです。
「医療には“絶対に正解”というものはありません。ペストや狂犬病が日本でも日常的に発生していれば、極論君のようにペットを飼わない、ペットから距離を置く家庭が当然増加することでしょう。また、ストレスがあって、ペットによってそんなストレスを和らげる効果があると思える人は当然ペットを飼うでしょう。大切なことは、利点と欠点をしっかり理解して、自分の判断で選ぶことです。そして迷えば、医師や獣医師に相談しましょう。いくら家族の一員といっても、ペットと一緒に寝たり、キスをしたりするのは行きすぎという意見も少なからずありますよ。教科書的には『友だちとしての距離』という表現が気に入っています。普通の友だちとは同じ布団に寝たり、キスしたりしないですよね。それが建前だと理解して、ペットとそれぞれの立ち位置でお付き合いしてくださいね」
 極端な意見もありましたが、実りあるお話しでした。
(文=新見正則/医学博士、医師)
●新見正則(にいみ・まさのり)
1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年〜 慶應義塾大学医学部外科
1993〜1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年〜 帝京大学医学部外科に勤務
幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。



posted by しっぽ@にゅうす at 05:00 | 動物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする