動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2017年12月21日

ペットが幸せな環境は 栄養不良、痛みや恐怖のない五つの自由 「動物福祉」で今木さん講演

北海道新聞

ペットを適切に飼うことができているかを判断する際に役立つのが「動物福祉」という考えだ。動物が健康や幸福で環境と調和して生きていることを意味しており、栄養不良、痛みや恐怖などから免れることを定めた「五つの自由」を基にしている。アニマルセラピーなどを手がけるアニマルアシステッド(札幌)の今木康彦社長(53)=獣医師、社会福祉士=が、動物福祉からみたペットとの適切な関係について講演した。

 今木さんは「近代の動物福祉の基点となる動物愛護の先進国は英国だ」と述べ、英国など欧米の動物愛護の歴史を紹介した。英国では1822年、「家畜の虐待および不当な取り扱いを防止する法律」(マーチン法)が成立した。家畜の虐待防止を目的にした最初の近代的な法律とされ、24年にはロンドンに世界最初の民間団体・動物虐待防止協会が設立された。

 「だが、動物虐待はなくならなかった」と今木さん。1964年、英国で出版された「アニマル・マシーン」(邦訳は79年)で、著者ルース・ハリソンは、狭い場所で飼育するケージ養鶏のほか、濃厚飼料や抗生物質を大量に与える「集約畜産」の問題を告発した。

 英国議会の専門委員会は1965年、家畜の福祉を確保させる「五つの自由」を定めた。今木さんは、五つの自由について次のように解説した。

 《1》渇き、飢えおよび栄養不良からの自由 食餌や水を十分与えられていることを意味する。

 《2》不快からの自由 必要な飼育環境が確保されていること。身動きの取れない狭いかごに入れっぱなしで飼ったり、ふんや尿を取り除かなかったりしてはいけない。

 《3》痛み、障害、病気からの自由 これに関連するのが猫の病気に対する対応。猫は痛がるなどの症状をあまり見せず、飼い主が分かった時点では症状が進行していることが多い。中でも下部尿路症候群で2日以上尿が出ないと命に関わる。健康状態に気を配り、尿が出ないと気づいたらすぐ病院に連れて行くのがよい。

 《4》恐怖や苦悩からの自由 たたかれたり無理に押さえつけられたりしている犬や猫は、人の手が目の前に来るとおびえる。普段からほめてなでたりおやつをあげたりしていれば人の手を怖がらない。病気やけがを治療するため、人の手が近づいてきても我慢できるように育ててほしい。動物の命を守ることにつながる。

 《5》ごく当たり前の行動ができる自由 これを実現させるには、動物の習性を理解して育てることが大切だ。例えばダックスフントは穴を掘ったりほえたりするので、庭などで穴を掘らせれば満足して家の中で静かにしている。猫は段差や高い場所を好むので、階段やキャットタワーで遊べるようにする。

 今木さんは動物福祉と動物利用の関係について「五つの自由を守り、動物になるべく苦しみを与えないことが守られれば、飼育や食肉を認めるのが動物福祉の考え方だ」と説明した。

 講演会は2日、認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会などが主催し、札幌市内で開かれた。(編集委員 中村康利)


posted by しっぽ@にゅうす at 08:16 | ペット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする