動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2018年07月13日

【ABC 特集】「もう一度幸せにしたい!」イヌやネコの殺処分ゼロ へ  奈良市が優良ペットショップ認定制度導入

Yahoo! JAPAN



年間56,000匹が犠牲に
 およそ56,000匹。おととし、飼い主から捨てられるなどして、全国の自治体に引き取られ、「殺処分」されたイヌとネコの総数です。多くのペットの命が奪われるのをなくそうという目標を掲げ、奈良市が今月から新たな取り組みを始めました。

5月には、およそ400匹のイヌやネコを過密状態で飼育していたとして、福井県の業者が書類送検されました。ペット関連産業の市場規模が「1兆円」といわれる中、悪質業者によって飼育されていたイヌやネコが捨てられるという事例が相次いでいます。「殺処分」をなくそうと、業者への規制強化を求めるおよそ17万人もの署名が提出され、国会議員も動物愛護法の改正を検討しています。

【ABC 特集】「もう一度幸せにしたい!」イヌやネコの殺処分ゼロ へ  奈良市が優良ペットショップ認定制度導入
飼い主との運命的な出会い =「マルエスペット はんな店」(奈良市)
注目の「優良ペットショップ認定制度」とは
そんな中、奈良市が始めた新しい制度に注目が集まっています。

奈良市にあるペットショップ「マルエスペット・はんな店」。多くの子犬や子猫が、優しい飼い主との出会いを待っています。

「(首に)何も付いてないこの子が可愛い。顔が一番可愛い」(女性客)

店にやってきた女性は、ダックスフントの購入を決めました。

「かわいい!こんにちは。カフェオレみたいな色やし。モカです。モカちゃん」(女性客)

「モカちゃん」と一緒に暮らすと決め、あとはお金を払うだけ、かと思いきや。

【ABC 特集】「もう一度幸せにしたい!」イヌやネコの殺処分ゼロ へ  奈良市が優良ペットショップ認定制度導入
「最後まで一緒に暮らします」などの項目が書かれた誓約書にサイン =奈良市
「『誓約書』にサインを・・・」(店員)

店が用意していたのは、飼い主に責任を持って飼育するよう誓約させる書類でした。実はこの店、奈良市が今月から始めた「優良ペットショップ認定制度」の第1号。

「ペットと共にある暮らしをテーマにペットショップをしているので、良い形になるようにどう取り組んで行くか、ということだと思います。制度が負担という感覚はないですね」(「マルエスペット」はんな店 田所和眞店長)

認定制度の運用開始は全国で2例目。「販売するイヌやネコにマイクロチップを埋める」「保健所でもイヌやネコが貰えることを説明する」など8つの項目を満たせば、市が“優良店”のお墨付きを与える仕組みです。

殺処分が200匹から3匹に激減
奈良市はなぜ、こうした制度の運用を始めたのでしょうか。

「私が市長就任当時から殺処分が多かった。国内だけでなく海外のメディアからも『奈良市はなんてことをしているんだ』と厳しい声をいただいていました」(仲川げん・奈良市長)

奈良市では5年前、200匹以上のイヌやネコが殺処分されていました。その後愛護団体と共に、引き取り手を探すことに力を注ぎ、昨年度はわずか3匹にまで減りました。更に「販売業者や飼い主に責任を自覚してもらえば、殺処分も減る」という狙いから、認定制度の運用を始めたのです。

【ABC 特集】「もう一度幸せにしたい!」イヌやネコの殺処分ゼロ へ  奈良市が優良ペットショップ認定制度導入
新制度の必要性を訴える仲川げん・奈良市長
 ただ、業者からは「保健所での譲渡を説明すれば、売り上げが減る」といった声も上がっています。

「私らかて生活がかかってるし、保健所のタダの子を紹介する余裕はありません」(奈良市内のペット業者)

様々な意見がある中、市長は今のペット業界に必要な制度だと訴えます。

「業界としてもいい業界を作っていくということが、結果として自分たちの利益につながると思います。動物の立場をふまえたお店にしていただくと、買う方も安心して買えるし、維持していけると思うんですよね」(奈良市・仲川市長)

【ABC 特集】「もう一度幸せにしたい!」イヌやネコの殺処分ゼロ へ  奈良市が優良ペットショップ認定制度導入
ネコの「さくら」は奈良市の保健所で保護された
保護ネコを引き取った理由は…
「落ちるで、さくちゃん!」(飼い主の女の子)

京都府精華町の家で暮らす、ネコの「にゃんたろう(1歳オス)」と、「さくら(10ヵ月メス)」。

大きなケージに登ったり、飼い主の女の子と遊んだり。家族の“末っ子”として愛されているさくらは、以前、奈良市の保健所で保護されていました。もともとは「にゃんたろう」1匹だけでしたが、「さくら」を引き取ることになったのには、ある理由がありました。

【ABC 特集】「もう一度幸せにしたい!」イヌやネコの殺処分ゼロ へ  奈良市が優良ペットショップ認定制度導入
保健所から「さくら」を迎え、2匹とも仲良く暮らす
「我が家は昼間、留守にすることが多いので、『にゃんたろう』のストレスがたまって、夜になると運動会みたいに騒ぐことが続きまして。」(飼い主の吉井さん)

吉井さんが獣医に相談すると「もう1匹飼った方がいい」とアドバイスされ、保健所にいた「さくら」を引き取りました。

保健所が情報発信すれば、イヌやネコを引き取る人はもっと増えるのではないかと、吉井さんは話します。

「2匹ともすごく仲良くしてるし、夜は静かに寝るようになりました。保健所で保護されているネコは病気のチェックもされてて、信頼できます」(吉井さん)


保健所でネコたちがお出迎え
「奈良市の保健所のオフィスです。多くの市民が窓口に訪れる中、このように保護ネコが展示されています。」(ABCテレビ 田中啓介記者)

市民の目につく場所で飼育されているネコ。奈良市保健所では、保護したネコを日替わりで展示し、新しい飼い主を探しています。

保健所の中にある別の部屋に入ると、およそ20匹のネコが保護されていました。

「ここにいるほとんどが、地域でエサをもらってたネコが出産した子供です」(獣医・江端資雄さん)

保健所の獣医・江端資雄(えばた・よりお)さん(66)は、保護されたネコを見に来た人達に、引き取る手続きや飼い方を丁寧に説明します。

「ネコと遊ぶ時間はゲージの外、プライベートは中、とするとネコもリラックスできます」(獣医・江端さん)
「子どもいないんで、部屋は余ってますね」(保健所を訪れた男性)
「キャットウォークか何かを作って・・・」(獣医・江端さん)

【ABC 特集】「もう一度幸せにしたい!」イヌやネコの殺処分ゼロ へ  奈良市が優良ペットショップ認定制度導入
保護されたネコは新しい飼い主に馴れるよう訓練される =奈良市保健所
もう一度やり直して、幸せに暮らす
 30年ほど前、全国で年間100万匹以上、奈良県でも12,000匹ものイヌやネコが殺処分されていた頃、江端さんは奈良県で殺処分を担当していました。

「行政なので、ある程度の殺処分は必然的なものだったと思いますが、あまりにもたくさんのイヌやネコを殺してきましたので、やる側にとっては負担でしたけど、これは何かおかしいな、と思っていました」(江端さん)

奈良市の保健所では、「噛み癖」や「伝染病」など、どうしても譲渡に向かない場合を除き、殺処分せず保護を続けています。そして、いつ新しい飼い主が現れてもいいように、人に慣れる訓練もしています。

【ABC 特集】「もう一度幸せにしたい!」イヌやネコの殺処分ゼロ へ  奈良市が優良ペットショップ認定制度導入
獣医の江端さんは、殺処分の大幅な減少に時代の変化を実感している
「おかげさまで譲渡希望者が声を挙げてもらえるペースが多くなって、ありがたいと思っています。この2匹はもう既に決まっています」(獣医・江端さん)

「見てるだけでもう…(笑)」(保健所を訪れた女性)

訪れた保健所で、元気に駆け回る2匹の子猫を見ていた夫婦も、江端さんの熱心な説明を受け、気持ちが大きく傾きました。

「避妊したときも補助が5,000円出るとか、いろいろ聞けてよかったです」(夫)
「Q.後ろのネコの声が、気になって仕方ない?」
「そうなんです、『クロたん』が…(笑)」(妻)

飼う前から、もう名前までつけていました。

「時代が変わったと実感します。再生させるというか、もう一度やり直し、幸せにするんだという思いが伝わってきます」(獣医・江端資雄さん)

大切な命にしっかりと向き合うことが、ペットと人間が共に幸せに暮らせる社会へとつながっています。
posted by しっぽ@にゅうす at 09:21 | ペット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする