国内では道内だけに生息し、冬眠するはずのシマリスが、真冬になっても札幌市中央区の円山公園などで近年、相次いで目撃されている。ペットとして輸入されたシマリスが野生化した可能性があり、野生生物について研究する北大大学院環境科学院修士1年の沢田史香(あやか)さん(23)は、遺伝子調査を進めている。
リスの仲間は国内に3種いる。道内にはエゾリスとシマリス亜種のエゾシマリス、本州以南にはニホンリスが生息している。
冬眠せず活動を続ける体長25センチほどのエゾリスに対し、体長20センチほどのエゾシマリスは地中に穴を掘って冬眠する。ペットとして大陸から輸入されたシマリス亜種のチョウセンシマリスとチュウゴクシマリスは冬眠せず、沢田さんによると現在国内で数万匹が飼育されているとみられる。
チョウセンシマリスは、エゾシマリスと見た目も大きさもほぼ一緒で、見分けがつかない。リスの生息数を増やそうと、市民団体が30〜40年前、北大植物園や道内の公園で野生に放す取り組みが行われたという。
沢田さんは2018年春から、道内に生息するシマリスが、エゾシマリスなのか、大陸産なのか、これらが交配した雑種なのかを調べるため、道内の森林や円山公園で採取したシマリスのふんなどから遺伝子を抽出し、分析している。沢田さんは19年度中に研究成果を論文にまとめたい考えで、「シマリスの研究はまだ全然進んでいない。生態も含めて解明するため皆さんの協力が必要」と情報提供を呼びかけている。
道内の目撃情報は「円山リスの会」のホームページから投稿できる。(内山岳志)