動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2019年03月15日

軽視する飼い主は危ない「ペット太りすぎ問題」

東洋経済



アメリカでは、肥満の問題を抱えているのは人間だけではない。共に暮らしている犬やネコも、飼い主同様に食べ過ぎの傾向にあることが非常に多い。

だが飼い犬や飼いネコは、人の助けなしに自力で冷蔵庫を開けることもできなければ背の高い食器棚にしまってあるおやつを取ることもできない。つまりペットの肥満の責任はほかでもない、飼い主にあるのだ。

犬とネコの肥満率は8年連続で上昇
獣医師らの調査によれば、診察した飼い犬の半数近くが過体重もしくは肥満だったという。だが、自分のペットが太っていると認識していた飼い主は17%にすぎなかった。

「それ以外の人々は、ペットの体重が多すぎることはわかっていても、それを問題視していなかった」と、タフツ大学獣医学大学院のデボラ・リンダー准教授は言う。「大間違いだ!」。

ペット向け健康保険でアメリカ最大手のネイションワイド社によれば、犬とネコの肥満率も、肥満に関連した疾患による保険請求も8年間連続で上昇しているという。同社が1月に発表したところでは、2017年に肥満関連で犬やネコが獣医を受診したことによる保険請求は6900万ドルで、過去8年間で24%の上昇だった。

医療保険に加入しているペットは全体のたった2%だから、肥満ペットの飼い主が支払っている医療費はこれよりはるかに大きな額とみられる。

医療費はさておいても、ペットの健康や生活の質、寿命に肥満が与える悪影響は、多くの飼い主が(たぶん)考えているよりずっと深刻だ。太った犬やネコに多く見られる疾患としては、関節炎に心臓病、膀胱および尿路の疾患、慢性の腎臓病、肝臓病、糖尿病、高血圧、背骨の病気など、さまざまなものが挙げられる。

太りやすい犬種であるラブラドール・レトリバーを対象にした研究によれば、肥満により寿命が2年近く短くなる可能性があるという。もしペットを愛しているなら太らせないよう努めようとするはずだし、すでに太ってしまっているなら、ダイエットのために専門家が勧める方法を試してみるべきだ。

リバプール大学で行われた50頭の犬を対象とした減量プログラムに関する研究を見れば、余分な体脂肪を減らすことの意義がよくわかる。参加した犬のうち目標体重に到達した30頭は、太りすぎのままの犬よりも体力が向上し、痛みも感情的な問題も少なかったという。


とは言え太ってからのダイエットより、太る前の予防のほうが大切なのはペットも人も同じ。ペットの肥満を防ぐには、定期的に体重を測るのも1つの方法だ。わが家のハバニーズは、動物病院を受診する際(定期受診であれそうでない場合であれ)には必ず体重を測ってもらっている。

そして、もし体重が230グラム以上増えていたら、えさやおやつを少し減らすことにしている。リンダー准教授は、おやつの量は1日の摂取カロリーの10%を超えないように気をつけるべきだと言っている。

おやつは量がどんどん増えていく危険性も
「ペットはかわいいし、おやつをやりたくなるものだが、おやつのカロリーへの配慮はおざなりになりがちだ」と言うのはコーネル大学獣医学部のジョン・ロフタス准教授だ。「(おやつは)時が経つにつれてだんだん量が増えていく。えさ以外で飼い主の愛情を示すほうがいい」

リンダー准教授によれば「髄の詰まった骨や牛皮といったものも含め、あらゆるものがおやつだ」という。人間の食べ物も(飼い主からもらうにせよ盗み食いにせよ)同じだ。訓練目的で使うおやつは、1つあたり数キロカロリーの小さなものにしたほうがいい。

おやつをやりすぎるより、ボール遊びの「取ってこい」や、綱引きで犬への愛情や関心を示そう。運動にもなってカロリー消費につながるから一石二鳥だ。ネコもおもちゃのネズミやひも、毛糸玉といった取っ組み合いで遊べるものが大好きだ。高齢だったり遊びたがらないペットには、優しく触れたり腹をなでたり、耳の後ろをかいてやるといい。

1日に何回食べ物をやるにせよ、毎回量を量って与えるべきだ。ペットフードのパッケージに表記されている標準量を参考にする人は多いが、これは一般的なガイドラインで、多すぎることもままあるとロフタス准教授は言う。代謝や活動量はそれぞれの個体によって異なる。与えているえさの量とペットの体重の増減を見て判断するのがいちばんだとロフタス准教授は言っている。

同じくコーネル大学獣医学部のジョゼフ・ワクシュラグ准教授は「パッケージには『初めて与える場合は、標準量の下限を与えるようにしてください。そして体重が減る場合に限って量を増やしてください』と書くべきだ」と主張する。

ペットフードはドライフードか缶詰か、もしくは併用のいずれがいいかについては、ロフタス准教授は「どれがいいかについて結論は出ていない」と語る。また、ワクシュラグ准教授はこうも言う。

「問題はカロリーであって、ペットフード(の種類)ではない。高カロリーの食べ物をごく少量与えるというやり方でも、量さえ守ることができれば体重は減らせる。一般的には、同じダイエット用のペットフードでも、缶入りのほうがドライよりもカロリーが低いことが多い」

同じくらい重要なのが、必要以上にえさをねだるペットに対して飼い主がノーを言えるようになることだ。リンダー准教授は言う。「栄養学的に必要な分のえさを与えられていれば、ペットが空腹ということはない。ペットが本当に求めているのは飼い主の関心だ。遊びで食べ物から気をそらしたほうがいい」。

ネコには自動えさやり機がおすすめ
ネコは犬よりさらに大変かもしれない。ネコはだらだら食いの傾向があるから、えてして飼い主はえさを四六時中置いておきがちだ。これは問題だとリンダー准教授は言う。

「好き勝手にえさを食べて減量できたペットにはお目にかかったことがない」。ネコが早朝4時半からえさをねだりに来る場合には、自動タイマー付きのえさやり機を使うのがお勧めだとリンダー准教授は言う。ネコはすぐにえさやり機からえさが出てくることを学び、飼い主を起こすまでもなくえさやり機の前で待つようになるというのだ。

犬の健康全般にとって、1日に15〜30分の運動習慣が重要なのはもちろんだが、それだけでは太った犬の減量にはまず足らないとリンダー准教授は言う。「毎日5キロは走らないと。その辺を歩いて回るだけでは、おやつのカロリーは燃焼しない」

週あたり体重の1〜2%を減らすのが理想の減量ペースだ。えさの量を減らしても十分な効果が得られないときは、ダイエット用のえさが市販されているほか、獣医師から処方してもらうこともできる。えさを変える際は消化管の不調を起こさないように、1〜2週間かけて少しずつ行うこと。またダイエットを始める前に、過度の体重増の理由が病気なのかどうか、確認するために検査の予約を入れることが重要だ。

(執筆:Jane E. Brody記者、翻訳:村井裕美)
(c) 2019 New York Times News Service
posted by しっぽ@にゅうす at 08:09 | ペット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする