脚を失ってしまった愛犬のために義足を。道内の2大学が共同研究を始めました。
パンツ姿に真剣なまなざし。札幌の北海道科学大で行われていたのは、人工の手足や補助道具を作る専門家「義肢装具士」を目指す、全国でも珍しい義肢装具学科の授業です。助教の松原裕幸さんがいま研究しているのは犬のための義足。江別市の酪農学園大からの発案で、3年半前に共同研究が始まりました。
松原助教「症例や知識を貯める試みはこれまでなかった」
この日、チワワのはずきちゃんが出来上がった義足を受け取りに大学を訪れました。うまく歩けるでしょうか・・・義足を地面について4本の足で歩きました。飼い主と並んで歩く姿はどこか嬉しそう。悪性腫瘍で足を切断してからおよそ1年、何度も試作を重ね、ぴったり合う義足がようやく完成しました。義足の色はお気に入りの首輪と同じ、ピンク色です。
飼い主の斉藤花波さん「嬉しいです。この選択をして良かった。いま以上に一緒に歩きたい」
義足は犬の体形や、切断した足の長さや形、歩くときの癖などに合わせ、一つ一つ手作りで作られます。犬は多くの場合、3本足でも歩くことができますが、足への負担が重くなり関節炎になる恐れなどがあります。
松原助教「4本足で負担を分散させてあげることで、最期まで自分で移動できるようにしてあげたい」
一方、義足が全ての犬にとってベストなわけではありません。酪農学園大にトイプードルのピータくんが来院しました。骨肉腫の手術で2週間前に足を切断しています。6歳とまだ若く、これからも楽に歩かせてあげたいと、飼い主は義足を作ることを決めました。しかし、試作の段階でハードルが…義足を付けるためのベルトに抵抗を感じ、装着させることができません。
松原助教「ごめんねピータ…」
ピータくんは治療に専念するうち、3本足で歩くことに慣れ、今は義足を使わない生活を送っています。共同研究では、この3年半でおよそ20頭の義足を作り、ほとんどが義足を使って歩くようになりました。
松原助教「犬の義足に関する知識をまとめて情報発信をし、どこでも作ってもらえるように浸透させるのが最終的な目標ですね」
<犬の義足に関する問い合わせ>北海道科学大 電話011−681−2161
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