動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2019年05月25日

助けて!わんにゃん 高知の動物愛護を追う(55)県の集中的不妊事業

高知新聞



第5部 どうなる新センター(3)土佐清水の成功に倣え
(写真下)神奈川県の獣医師夫妻が次々と手術した(いずれも同市の旧下川口中学体育館)
(写真下)神奈川県の獣医師夫妻が次々と手術した(いずれも同市の旧下川口中学体育館)
 前回書いた、県が本年度から取り組む「雌猫の集中的不妊手術推進事業」。これについて少し紹介しておきたい。うまくいけば、中途半端だった高知県の野良猫減少に弾みがつくかもしれないからだ。
 
 猫の不妊去勢手術に対する県内行政の助成金が本年度、大幅に増えたことは高知新聞の5月10日付朝刊で伝えた。中でも県は前年度比386万円増の1438万円(雌猫だけ1500匹分)。その中の「特別枠」と言われる200匹分(6カ所)がこの集中的事業なのだ。
 
 対象は雌猫が25〜50匹いる「たまり場」。実際には雄も同程度いるから倍の規模。これを2、3日で一斉捕獲し、手術して元の場所に返すのだ。
 
 野良猫が多い所は、「餌やりさん」が現れて栄養補給している。ということは、出産するし、余計に捨てられやすくなり、あっという間に数が増える。だが、一斉手術すれば、野良猫は寿命が短いので5〜7年で激減するという。
 
 ただし、実行は簡単ではない。まず、手術してくれる獣医師の確保が条件だ。1日に数十匹も手術できる人材は県内にはいない。猫の捕獲器、搬送ケージも大量に必要だし、臨時の手術場も要る。ボランティアも入れると総勢十数人の作業。行政がまともに手掛けたら多額の経費が発生してしまうのだ。
 
 では、県はなぜそこに挑むのか。それは今年1月、土佐清水市で成功例が出たことが大きい。県内外の有志が一斉不妊去勢手術を実施。市内の観光名所にいた猫約80匹を捕まえ、旧学校体育館内で手術したのだ。神奈川県の獣医師夫妻を招いて執刀。費用は県の雌猫不妊手術助成金(1匹1万円)と、有志が出し合った資金を充てたという。
 
 「その前から予算申請はしていたんですが、あれで『できるんだ』という確証が持てました」と県食品・衛生課。県は2014年度から活動家や飼い主に助成金を出している。最初は490万円(約550匹分)だったが、18年度は1051万円(約1100匹分)に。だが、さみだれ式の利用だし、秋には予算を使い切って中途半端に終わっていた。
 
 そんな中、活動家と地域住民が協働したことで、地域丸ごと増殖の芽を摘むことができた。同時に思いがけない発見もした。それまで問題視されていた「餌やりさん」が、「戦力」になると気付いたのだ。
 
 「毎日餌をやって、どこにどんな猫がいるか把握しているので、カルテを作って100%近く手術できたそうです。非常にスムーズで、後の管理まで自主的にしていただいている。プラス面が大きいんです」と県担当者。
 
 県内には野良猫の問題地域が多数ある。集中的不妊事業が成功すれば呼び水となり、手を焼いている自治体の関心も高まるだろう。地域住民との連携もできれば情報はさらに集まり、問題解決に弾みがつく―と期待するのだ。
 
 ただし、そのためには、県内獣医師の協力が不可欠だ。いつまでも県外の獣医師に頼るのは無理がある。これまで野良猫問題にあまり目を向けてなかった県獣医師会の協力が得られるかどうかも、成功の鍵なのだが…。(編集委員・掛水雅彦)
posted by しっぽ@にゅうす at 11:04 | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする