動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2019年05月29日

30歳すぎで犬を飼った漫画家が体感した利点と意外な「問題点」


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 漫画家で小説家の折原みとさんは、現在湘南の家でこりきというゴールデンリトリバーと一緒に住んでいる。実は湘南に越したのは30歳をすぎてから。19歳で上京し、21歳でデビューしてからは、東京・中目黒に住み、ミリオンとなった『時の輝き』をはじめとする少女小説や漫画で働きづめの生活を送っていた。

 折原さんが湘南に越した大きな理由は、「犬を飼いたいから」だった。しかし実際に飼うことになった初日、「命を飼う責任の重さ」を改めて感じて号泣したことも! (くわしくはこちらの記事参照)

 折原さんのエッセイ『おひとりさま、犬をかう』には仕事とはなにか、豊かさとは何か、そしてペットと暮らすとは何かについてが書かれている。その中から、数回限定公開にて、デジタルメディアとして初めて抜粋掲載。犬を飼いはじめ、多くのことを教わったという折原さんに、今回は犬を飼ってよかったことと、盲点だった「問題点」についてお伝えする。

 折原みとさんの今までの記事はこちら

30歳すぎで犬を飼った漫画家が体感した利点と意外な「問題点」
「Wリキ」と折原さん。犬同士もすっかり親しくなった 写真提供/折原みと
犬と歩けば友だちができる
 ロクに知り合いもいない見知らぬ土地に、おひとりさまがいきなり家を建てて移住してしまったのだから、今考えると、我ながらけっこうチャレンジャーだったかもしれない。

 それでも、すぐに近所に友人がたくさんでき、新しい環境や生活にすんなりなじむことができたのは、実は犬の力が大きかったのだ。

 それは、引っ越しして2〜3日目のこと。

 リキはまだ外には出られなかったけれど、私は新しい家の近所を探検してみたくて、ひとりで散歩に出かけることにした。

 このあたりは、グルリと1周すると1キロちょっとという住宅街で、緑が多く、高台なので海もよく見える。お散歩するには絶好の環境だ。

 もともと私はテレビの「お宅拝見」番組とかが大好きで、住宅街の中をブラつきながらいろんなお宅の外観を眺めるのも好きなのだが、これから自分が住む場所とあればなおさら興味津々。
だけど、速足のウォーキングならともかく、犬もつれていない人間が、ひとりでキョロキョロしながら住宅街をうろついているのはけっこう怪しい。

 そんな時、たまたま黒柴のミックス犬を連れたやさしそうなマダムが通りかかったので、思いきって声をかけてみた。

 「可愛いワンちゃんですね」

 まあ、犬好き同士ならたいがい挨拶はこれでオッケー。
その方は同じ住宅街にお住まいの佐々木さんという方で、偶然にも、わんこの名前はウチと同じ「リキ」ちゃんだった。

 なんと! これは犬の神様(そんなのいるのか? )のお引き合わせ!? 
 つい最近近所に引っ越してきたことや、ウチの子犬も同じ名前だと言うことを話すうちに、私は佐々木さんとすっかり親しくなり、佐々木さんの御紹介で、近所の人たちともたくさん知り合うことができた。

 引っ越してきた当時、私はこの住宅街で一番若い世帯主だったのだ。
(比較的)若い女性のひとり暮らしの上に、家で仕事をしているので昼間っからプラプラしているように見える私は、普通なら、明らかに不審人物だったろう。

 それが、佐々木さんとの出会いがキッカケで、早い段階で御近所のみなさんに「漫画家」だということをカミングアウトし、あたたかく迎え入れていただくことができた。

 リキがお散歩デビューしてからは、朝夕の散歩を通して犬友達もたくさんできて、不安も淋しさも感じることなく、すぐに新しい環境になじむことができたのだった。
それもこれも、犬を飼っていればこそ。

 私ひとりだったら、こうはいかなかっただろう。

 「犬も歩けば棒に当たる」
 という諺があるけれど、私ならこう言う。

 「犬と歩けば友達ができる」

 コレ、なかなかいい諺でしょう? 

食べ残しをしないことを教わる
 「ウチの子食が細くて、ごはんをあんまり食べてくれなくて困ってるの」
「ウチの子はドライフードを嫌がるから、茹でたお肉と野菜を混ぜてあげるのよ」
時々、犬ママ友たちとの会話でそんな話を聞くことがあるが、ウチのリキに限っては、「ごはんを食べない」という悩みだけは無縁だった。

 というか、リキを見ていると、世の中に食欲のない犬がいるということがそもそも信じられなかったのだ。
リキは無類の食いしん坊で、ウチに来てからというもの、一度たりともごはんを食べないということがなかったから。

 朝晩2回のごはんは、リキの一番幸せな時間。ドッグフードの入ったボウルを見せると、後ろ足で立ってピョンピョン跳ねて、私が「ごはんダンス」と名付けた喜びのダンスを踊った。

 犬に薬を飲ませるために、細かく砕いてフードに混ぜたり、パンに包んで食べさせたりとか苦労している飼い主さんもいらっしゃるようだが、ウチはそんな苦労とも無縁。リキは口に入るものなら何でもいいので、フィラリアの予防薬やサプリも嬉しそうにポリポリ食べてくれるのだ。

 リキのごはんは基本的にドッグフードだったけど、たまに、犬の健康に悪くない程度に、食べ残しの白米や固くなったパン、野菜の切れっ端やリンゴの芯なんかをおやつとして与えることもあった。

 そんな生ゴミのようなモノ(? )をもらっても狂喜乱舞のリキ。

 世の中には、人間のよりずっとお高い犬用クッキーとか、何千円もする犬用ケーキを買ってもらっている犬もいるというのに、ウチの犬、不憫というか健気というか…。

 私も、もともとかなりの食いしん坊で食べることには執着があるほうだが、時には中途半端に残った食べ物を捨ててしまうこともあった。

 だけど、生ゴミだろうと何だろうと大喜びで食べるリキを見ていると、食べ物がものすごく大事に思えてくるのだ。

 ひと口の残り物でも捨てられない!!  (ので、リキにあげる)

 私はリキに、ごはんを食べられることのありがたさを教えてもらった。

「生きるということ」を学ぶ
 リキに教えられたことは、それだけじゃない。
子犬の頃のリキは、とにかく全力で生きていた。

 ごはんを食べるのも全力。
お散歩するのも全力。
遊ぶのも全力。
イタズラするのも全力。
寝るのさえも全力。

 大好きなザ・ブルーハーツというバンドの『未来は僕の手の中』という歌の歌詞に、
「生きてる事が大好きで 意味もなくコーフンしてる」

 というフレーズがあるのだが、ウチのリキはまさにそれだ。

 何でもかんでも力いっぱい! 
生きているのが、嬉しくて楽しくて仕方ない!! 
リキは大人になってもあまり性格が変わらなかったので、いくつになってもずっとそんな調子だった。

 犬は、明日のことなど考えない。
ただ、今を力いっぱい生きている。
ごはんを食べられるだけで幸せ。
お散歩に行けたら幸せ。
遊んでもらえたら幸せ。

 そんな犬と一緒に暮らしているうちに、私もリキのように、生きることを力いっぱい楽しみたいと思うようになった。
食いしん坊でやんちゃでイタズラで手のかかる犬だけど、「力いっぱい生きる」ことにかけては、リキは私の「先生」だったのかもしれない。

 そんなわけで、海とわんこで変わった私の人生。
都会で暮らして仕事一筋だった20代の頃がファーストシーズンだとしたら、湘南に移住して犬を飼ってからの私は、人生のセカンドシーズン。

 ファーストシーズンで仕事に打ち込み、セカンドシーズンは私生活を充実させる。
よしよし。なかなか理想的ではありませんか。

 だが、しかし! 
この理想的な「湘南わんこライフ」にも、ひとつだけ、大きな落とし穴があったのだ。

 はたして、それは……!? 

30歳すぎで犬を飼った漫画家が体感した利点と意外な「問題点」
近所の方とのホームパーティ。本当に仲がいいのだ。折原さん(写真右から3人目)は時に50人規模のパーティご飯を自分で作ってしまう料理上手です 写真提供/折原みと
ひとり暮らしの女性が犬を飼う問題点
 「ええ!? 女ひとりで家を建てて、その上犬を飼うの!? それはマズイでしょ」
「え? どうして?」
「女が自分で家なんか建てちゃったら結婚できなくなるって言うでしょ。しかも、犬まで飼っちゃったら最悪だよ!!」

 23年前、決死の「人生大改革プロジェクト」を友人たちに打ち明けた時、こんな会話が交わされたのを覚えている。

 当時、女友達のほとんどが、「家と犬を手に入れたら、男なんかどーでもよくなって結婚できなくなる!」と心配してくれたものだったが、

 その心配は……適中した!! 

 いや──、まさか自分でも、それが現実になるとは思いませんでした(遠い目)。
逗子に引っ越してからの私はすっかりアクティブになって、仕事以外にも次々に新しい趣味を見つけて充実の毎日。

 しかも、リキと、リキのおかげでできた新しい友人たちがたくさんいるおかげで、ひとり暮らしを淋しいと感じることもない。

 「犬を飼うと男なんてどーでもよくなる」というのはよく聞く話だが、ハッキリ言って、その定説は「真実」です! 

 さほど好きというわけでもない男性と一緒にいるよりも、リキと一緒にいるほうが楽しいし癒される。

 正直、デートをしていても「早く家に帰ってリキをモフモフしたい」とか考えている始末(失礼なヤツ)。

 そんなこんなで早や23年。
まさかの「おひとりさま期間更新中!」なのである。

 犬を飼うのは、苦労もあるけど絶対に幸せなこと。
新しい自分も、新しい世界も発見できて、人生が充実すること間違いなし。

 ただし、

 「イヌ充」しすぎると、結婚は遠のくかもしれません。

 犬を飼っている、または、これから飼いたいと思っているおひとりさま女子のみなさん。

 そこんとこだけは、くれぐれも御注意くださいませ。

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「おひとりさま、犬をかう。」連載次回は6月11日(火)公開予定です! 
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折原 みと


posted by しっぽ@にゅうす at 07:37 | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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