動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2019年06月12日

「不幸な動物をゼロに」目標 女優・杉本彩さん

日本経済新聞



動物虐待の増加や無責任な飼い主による多頭飼育の崩壊、生後8週齢にも満たない幼犬販売の加速――。ペットをめぐる社会的な問題が深刻さを増している。公益財団法人、動物環境・福祉協会Eva(東京・目黒)の代表理事としてペットを取り巻く環境改善に取り組んでいる女優の杉本彩さんに聞いた。

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――動物愛護に取り組むきっかけは何だったのでしょうか。

「20代のころから身近な猫たちの保護活動をずっと個人でやっていた。今から13年前に広島で犬の虐待事件があり、そのときにどうしてこんな虐待が起こるのか、初めて日本の動物を取り巻く法律やルールが整備されていないことを知り、何とかしなければならないと思ったのが啓発の活動に取り組む一番のきっかけだ」

「日本の動物を取り巻く法律、様々な仕組み、ペット業者への規制などは本当に先進国のなかで100年くらい大きく後れをとっている。日本は決して動物に優しいとは言えない国だ」

――動物虐待は増加傾向にあります。

「猟奇的で異常な動物虐待が増えていると感じる。行き場のないストレスや不満を虐待で憂さ晴らしする悪質なものが増えた感覚はある。SNS(交流サイト)が広く使われるようになり、虐待を犯人が自らアップして発覚している。虐待に厳しい目を持つ人たちからの通報が増え、検挙の多さにつながった」


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――動物虐待を動画で発信していた人が、多数の猫を殺害しても微罪で済んでいたケースもあります。

「納得いかなかった。裁判を傍聴したが、心底から反省があるとは思えなかった。それなのに執行猶予がつくなんて日本の法律は動物虐待を軽視している。法律の専門家に聞くと動物を殺傷しても2年以下、200万円以下の罰金という法定刑なら初犯で実刑をつけることは難しいと。法定刑の大幅な引き上げが必要だと強く実感した」

――国会に厳罰化を求めて活動していました。

「最初は請願署名で運動して、提出したが不採択ということで、ものすごいショックだった。ここで諦めるわけにはいかないと、すぐに署名を再開して今回、真筆で約25万筆と一筆一筆に思いの強さを感じた。国会の議員会館にも足しげく通った。SNSでアップされていた動画を持参して、これが2年以下、200万円以下の罰金でいいのか、本当に実刑をつけなくていいのか。一人の人間として見ていただきたいと話した」

「楽な活動ではなかったが、殺されて痛めつけられた何の罪もない命を絶対に無駄にしちゃいけない。これで法改正できなかったら猫たちの死は報われない。どんなことがあろうと諦めたら終わりだと思った」

――厳罰化も含んだ動物愛護法改正案が今国会で審議中です。


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「厳罰化という観点では私たちが求めていた5年以下、500万円以下という改正案が成立する見通しだ。今回の厳罰化については満足しているが、これだけでいいわけではない。本来ならもっともっと厳しくてもいいのではないかというのが私の本音だ」

――東京都をはじめ、殺処分ゼロを目指す自治体が増えました。

「殺処分ゼロの実現は非常に簡単で、行政が引き取らなかったらいい。引き取ってもすぐに愛護団体に譲渡すればゼロになる。過密な状況、過酷な状態であろうとただ生かしておけば殺処分はゼロだ。だから自治体が達成したと誇るのを聞くと、果たしてこれが正しいやり方ですかと問いたくなる。目指すべきは不幸な動物をゼロに、無責任な飼育放棄をゼロにすることであって、殺処分ゼロを目指す危うさを知ってもらいたい」

(聞き手は桜井佑介)
posted by しっぽ@にゅうす at 09:44 | 法律 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする