動物 しっぽニュース
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2019年06月18日

韓国最大の「犬肉」処理場、閉鎖していた 消えゆく犬食文化

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犬肉の本場、韓国で上映された「反・犬肉映画」 最大の犬肉処理場は閉鎖
2019年6月16日 5時58分 デイリー新潮
韓国の犬肉食堂で“ストック”される食用犬(映画『アジア犬肉紀行』http://www.adg-theater.com/asiandogs/ より)
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 1988年のソウル五輪開催時、イメージダウンを嫌った時の韓国政府は、犬肉食を取り締まった。かの国が犬肉の“本場”と認識されているわけは、このエピソードが記憶に残っているからもしれない。翻って、最新の“犬肉”事情は……。

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 とはいえ実際のところ、犬肉食は韓国に限らずアジア諸国に根付いている(または根付いていた)食文化である。我が国にとっても他人事ではない。北田直俊監督の『アジア犬肉紀行』は、中国、韓国、そして日本の犬肉文化に迫り、その“現実”を写した異色のドキュメンタリーだ。

 今年1月には、参議院会館でも上映会が行われ、その模様はデイリー新潮でも報じた(「韓国・中国だけでなく日本でも…議員会館で『反・犬食映画』上映会が開催」)。なんともトガったこちらの作品は、このたび韓国でも上映されたという。


韓国の犬肉食堂で“ストック”される食用犬(映画『アジア犬肉紀行』http://www.adg-theater.com/asiandogs/ より)
 北田監督がいう。

「この6月から、作品をネットで無料公開することにしました。それに先駆け、1日にソウルで、ひと晩だけの上映会を行いました。各国の国際映画祭のコンペに出品するつもりだったので、これまで公開は限られた場にしていたのですが、毎年、中国で開催されてきている祭『玉林犬肉祭』が、やはり今年も20日頃から行われる。これに抗議の意味を込めて、英語、日本語、中国語、韓国語で公開することにしたのです」

 映画の内容については、実際に観ていただいたほうが早いはず。作中では、この「玉林犬肉祭」を取材する過程で、現地の公安警察に目を付けられる一幕もあった。「逮捕も覚悟しました。まあ、それで犬肉のことが日本でも話題になるならいいかと……」と監督は振り返るが、いったいなぜ、犬肉をテーマに作品を? 御年51歳の北田監督、実は本格的にメガホンを取ったのは、ここ数年のことなのだという。


保護された韓国の元食用犬(撮影・北田監督)
「最初に撮ったのは、福島原発事故で警戒区域に取り残された動物たちのドキュメンタリー『ZONE 存在しなかった命』で、2013年に公開されました。次に撮ったのが飯館村に残された動物たちを撮った『みえない汚染・飯舘村の動物たち』で、こちらは15年に完成。2つの作品(※こちらもネットで無料配信中)を撮りつつ、頭の片隅にあったのは、以前、Facebookで見た『生きたまま皮を剥がされ、釜茹でにされる犬』の画像でした。アジアのどこかの国の光景なのですが、詳しいことはわかりません。とにかくその犬のことが頭から離れず、3作目は犬肉をテーマにしたんです」


愛護団体に救助される食用犬(提供:CARE)
 撮影を開始したのは2017年。予算は800万円で、借金は今も半分ほどしか返せていない。当初は、犬肉食を阻止するべく奮闘する人々の姿にフォーカスした作品となるはずだった。が、「一部の中国のボランティアさんが、待ち合わせなどの約束をぜんぜん守ってくれなくて」(北田監督)早々にその方向は断念。北田監督が回すカメラを通して、3国の犬肉文化を描く作品となった。

 そして今回、韓国で上映となったわけだが、まったくの手さぐりで挑んだ、というわけではない。17年1月、韓国EBSの番組が福島の警戒区域に取り残された動物を特集した際、北田監督も取材を受け、この放送回が歴代1位の視聴率をとったのだという。原発事故というセンセーショナルな要素はあったにせよ、動物に対する韓国の意識の高さがうかがえるエピソードだ。


国会前に陣取る保護団体(撮影・北田監督)
「上映会にあたっても、外国人である私が主観を交えて韓国の犬肉事情を撮ったわけですから、多少なりともクレームはあるものかと身構えていました。でも、驚くほどありませんでした。現地の愛護団体『CARE』の協力で開催され、もともと関心が高い方が観に来てくれたこともあるでしょう。犬肉食堂を取材したシーンで、食用の犬を確保していながら、ペットとして犬を飼っているご主人が登場するんです。“これは韓国の犬肉あるあるだ”なんて感想もありました」

韓国最大の食肉処理場が閉鎖
 あわせて、最新食肉事情も取材してきた。

「大きな動きとしては、ソウル市の隣のソンナム市にあった、韓国最大の犬の食肉処理場『テピョンドン屠殺場』が、数カ月前に閉鎖になったとのことです。私の上映会に協力してくれた『CARE』によれば、このとき彼らは犬肉業者たちと衝突し、警察を呼ぶ騒ぎになったと言っていました。今後は公園になるらしいです。愛護団体だけでなく、以前から近隣住民から臭いなどの苦情も寄せられていたらしく、私が話を聞いた住民も『閉鎖してくれてよかった』と。雇い主は韓国人だけれど、働いていたのは中国人がほとんどだったとも言っていました。このあたりも、意外な話かもしれません。場所を変えて屠殺は続くのかもしれませんが、最大の屠殺場が行政の手によって閉鎖に追い込まれたのはとても大きいと思います。犬肉市場として知られるモラン市場 やキョンドン市場も、以前、撮影で訪れたときに比べて、かなり犬肉屋が減っていましたね。私が見た限りでは、それぞれ3軒ほど。それでもやはり年配の方は犬肉を買っていきましたけれど」

 本場でも、犬肉の売買は減っているようだ。なにせ国のトップでもある文在寅(ムン・ジェイン)大統領も、愛護団体に保護された元・食用犬を飼っているそう。さらに韓国の国会議事堂の前では、こんな光景も。

「ある動物団体が食犬飼育場から犬たちを保護して、そのまま国会前の公園に陣取っていました。その犬たちを見せて『もう我々保護団体は疲弊しているので、これからは政府が動け!』というスローガンを掲げているんです。何人かの国会議員が保護団体側に賛同しているようで、大学生や主婦が24間体制で公園に座わり込んでいました。私が行ったときは20頭ほどいたでしょうか。食用犬といっても、近づけばフレンドリーで、普通の犬と何ら変わりありません。もっとも、犬肉産業側も『職業を差別するな。我々の生活を保障しろ』と幟(のぼり)を掲げていましたけどね」

 反発されながら消えゆく、犬肉文化。『アジア犬肉紀行』を観て、その是非を考えてみては――。(日本語サイト:http://www.adg-theater.com/asiandogs/

週刊新潮WEB取材班

2019年6月16日 掲載
posted by しっぽ@にゅうす at 09:17 | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする