動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2019年07月05日

助けて!わんにゃん 高知の動物愛護を追う 連載に賛否の投稿

高知新聞


6月初めに終了した連載「助けて! わんにゃん」(5部・62回)に、関係者から思いのこもった賛否の投稿が寄せられました。猟師の反論、活動家本人の苦悩、本県行政への問い掛け。皆さんはどう思われるでしょうか。(編集委員・掛水雅彦)
 
県中央小動物管理センターの保護犬(高知市孕東町)
県中央小動物管理センターの保護犬(高知市孕東町)
猟犬疑惑は誤解 山に捨てるはずない
長岡郡本山町、猟師、岡本英活さん(51)
 第56話に「猟師に疑いの目 収容の半分は猟犬系?」という見出しの文章が載りました。「半分」はあり得ないと思い反論させていただきます。
 
 私は県内や外国でも狩猟をしており、狩猟歴は35年ほど。猟犬も1匹います。猟犬で一番大切なのは「血筋」です。猟犬の子でなければ、まず猟犬として使えません。中でも「探知犬」といわれる猟犬は獲物の臭いを探知する才能を持ち非常に貴重です。また、一般的な猟犬はペットショップの犬では到底できない距離を追跡し、1日100キロも可能です。
 
 だから、猟犬は非常に高価。狩猟人口の激減で猟犬の血筋を引く子犬も大きく減り、猟師間でも高値で取引されるほどです。そして、一人前にするには時間もかかるので、猟期終了後に捨てることはまずあり得ません。
 
 記事では、県中央小動物管理センターに来る多くが猟犬系ではないかという声を拾っていましたが、山には「捨て犬」や「捨て猫」が多く見られ、この捨て犬の多くが「元猟犬」と誤解されていると確信しています。猟犬の絶対数の少なさからも、「半数」はまず考えられません。
 
 センター職員の方は体の傷を根拠に「猟犬」とみているようですが、誤解です。トゲがある茂みも多く、犬を襲う動物もいます。山を歩き慣れていない犬がけがをすることは想像に難くありません。
 
 また、猟犬なら獲物を捕捉できなかった場合、ほとんどはすぐに下山してきます。日が暮れたり迷子になれば、その場所にとどまり、地元なら数日後には家に戻ってきます。だから、猟犬を捨てることは至難の業なのです。
 
 猟師の中には一般常識が欠落した人がいるのも事実です。また、猟友会の動きも、往々にして受動的な面があるのは否めません。狩猟犬の登録やマイクロチップ装着による犬の徹底管理は、要改善ではあると思いますが、家族同然の犬を、一部の心ない行いで全てが“犯人”のように思われるのはつらいです。
 
6月14日深夜、松岡さん宅前に子猫の入った段ボール箱が、餌と一緒に置かれていた(香南市内、本人撮影)
6月14日深夜、松岡さん宅前に子猫の入った段ボール箱が、餌と一緒に置かれていた(香南市内、本人撮影)

止まらない相談 家の前に子猫置き去り
香南市・保護団体「高知にゃんわんの家」、松岡理香代表(54)
 第61話で「アニマルホーダー」(過剰多頭飼育者)と“認定”されてしまった私です。不名誉ですが、記者さんから見てそうなら、真剣に受け止めるべきとも思いました。
 
 5年前、私が保護活動を始めたのは、野良猫増加防止のための不妊手術活動を広げたかったからです。しかし、相談に乗るほど、私に求められるのは「保護」でした。「近所の子猫を助けてやってほしい」と。ご自分の家で保護して飼ってあげてほしいのですが、「お金がない」「借家なので」「家族がアレルギーで無理」と話は堂々巡り。
 
 「餌は与えてない」と強調し、「ガリガリにやせてます。何とかしてやって」と泣きつかれたり、時には「ボランティアが引き取るのが当然」のように言われます。哀れな猫を思いながら相談者の事情を延々と聞かされていると、自分が精神崩壊するのではとさえ感じ結局、駆け付けて病院へ運びます。そうしないと私自身が救われなくなるのです。
 
 でも、そこから先が大変で医療費、時間、労力、ガソリン代も要ります。外出中は保護犬猫の世話もできません。ケージの扉を閉め忘れたりすると洗濯物にはオシッコ。フード袋や大事な領収書も食いちぎられ、崩壊現場のようになっていたり。家を出た瞬間から、「早く帰らないと」と焦ります。
 
 ただ、そうした人との会話にかなり消耗している時には、お手伝いを頼んで和気あいあいと片付ける気分になれない時があります。特に最近は、一人で物事を考えられるのは黙々と片付けている時ぐらいしかないのです。
 
 連載で「松岡さんを頼りすぎるな」と書いてくださったんですが、遠方からの相談も多くて対応しきれません。私が電話を受けたことで問題は解決すると勘違いしたのか、しばらくして警察から、「猫を引き取るという約束を破られた―という苦情が来ている」という電話が入ったりして悲しくなります。先日はついに、家の前に子猫2匹を置き去りにされました。
 
 一方で救われる話もあります。子猫を拾った若い男性が病院から電話をくれて、「授乳の仕方は習ったけど哺乳瓶の消毒方法は?」などと質問。自力で解決しようとしてくれていました。
 また、高知市から子猫3匹の救出を求めてきた女性は、8月末に支援のイベントを開いてくれるそうです。理解者が増え、不幸な猫が減ることにつながれば、私が頑張っている意味もあります。
 
「ニャンとかなるワンの会」は無料月刊情報誌を発行しており、SNSでも読める
「ニャンとかなるワンの会」は無料月刊情報誌を発行しており、SNSでも読める
行政はもっと正直に 隠すから協力得られぬ
香南市・愛護団体「ニャンとかなるワンの会」、野村政弘代表(43)
 連載が始まった時、これほど高知の動物愛護事情に斬り込むとは想像しませんでした。
 
 第1、2部では、県内のボランティアが、生活を投げ打って犬猫救出をしている現実を描いており、活動家への理解が広がればとうれしくなりました。
 
 第3、4部での県外愛護センターの現状報告は、ありがたかったです。高知は動物愛護後進県ですが、そのことを理解する人は少なく、はっきり知ってもらう意味は大きいです。
 
 第5部の行政や獣医師会、猟友会、県民への問い掛けは、これまで批判や意見を受けたことがほとんどなかったであろう団体に対して大きな刺激になったと思います。その論調に私が共感できたのは常々、同じことを感じていたからです。
 
 第53話の「慰霊祭に違和感」では、関係者代表2人のあいさつが、現実から目をそらした型通りのきれいごとで済ませる姿勢に厳しく疑問を呈していますが、その通りです。宿毛市の譲渡ボランティアや、それを支援する高知市の動物病院の頑張りに触れず、ホームページ(HP)などで、自分たちの取り組みが成果を出しているような発表をする行政はどうなんでしょう。
 
 中でも、県が5月10日付でHPにアップした「高知県の野良猫対策について」という文章にはがっかりです。〈東京都と同様の殺処分基準を当てはめると、本県でも平成30年度に「殺処分ゼロ」を達成しています〉と。
 
 乳飲み猫を年間約600匹も殺しておいて、よく言うなと。都合のいい情報だけを集め、もっともらしく発表していては、いつまでたっても県民の信頼は得られません。それが、ボランティア登録数が伸びない一因ではないでしょうか。
 
 第4部の川崎市愛護センターの所長さんの言葉が心に残っています。〈隠し事が一番いけません。信頼関係がなくなってしまう。すべてを見ていただき、受け入れてもらうことが重要です〉と。
 
 高知の行政に気付いてほしいものです。簡単なことです。素直で正直。それが結果につながる近道です。
posted by しっぽ@にゅうす at 05:00 | 行政 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする