動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2019年08月26日

大阪ミナミに置き去りにされた犬…「噛み癖」を許容し、寄り添い続けてくれる家族と幸せに

Yahoo! JAPAN



チワワMIXのロッティちゃんはキャリーバックに入れられ、大阪・心斎橋に置き去りにされていました。今から3年前のことです。幸い、行政機関に保護され、捨て犬や捨て猫の保護・譲渡活動を行う団体「LOVE&PEACE NOA」に引き取られましたが、それまでの飼い主の飼育方法に問題があったのか、悲しい体験が原因か、ロッティちゃんには“噛み癖”が出てしまいます。NOAの関係者も、預かりボランティアさんも、その家族も、みんなひと通り噛まれました。

【写真】歯をむき出して威嚇中!かわいいお顔をして実は噛み癖が…

 噛み癖や吠え癖など問題行動のある犬は、里親が見つかりにくいものです。もしかすると、病気を抱えた子よりもハードルが高いかもしれません。でも、ロッティちゃんには優しい里親さんが現れました。

 「それまで飼っていたチワワを16歳で亡くして、使わなくなったオムツやトイレシーツを保護団体に寄付したんです。そこで保護犬を見て、次に飼うなら保護犬にしようと。でも、なかなか決心がつかなくて…。そんなとき、NOAさんのサイトに、1年近く引き取り手のいないワンコがいて、緊急で預かりボランティアを募集するとあったんです」

 そう話してくれたのは、ロッティちゃんの里親になった石橋敦子さん。先代犬を介護の末に看取り、まだ新しい子を迎える気持ちになれなかったとき、一時預かりならと手を挙げました。

 石橋家に初めてやって来た日。送り届けてくれたNOAの担当者が帰ると、ロッティちゃんはしばらく玄関で鳴いていたそうです。また置いていかれたと思ったのでしょうか。ただ、敦子さんはその日のうちに、噛まれることなく抱っこすることができました。ご主人の秀哲さんには歯をむき出して威嚇し、馴れるのに1週間以上、掛かったそうですが…。

 「ロッちゃんは男の人、特に体格のいい男性が苦手みたいで、私の弟が家に来たときは、1時間に3回噛みました。夫の友人で、犬の扱いには慣れていると自信を持っていた男性にも、腕に噛みついてしまって…。動物病院の先生からは、警察官に保護された犬にそういう傾向が見られると聞きました」(敦子さん)

 元の飼い主が体格のいい男性で、厳しくしつけられていた、ということも考えられます。敦子さんによれば、家に来た当初、髪をかき上げようとしただけで、ロッティちゃんはビクッとして体をすくめていたそうですから。

 犬同伴で行けるカフェの店員にも歯を立てるなど、さまざまな“事件”を起こしてしまったロッティちゃん。途中で預かりボランティアを辞退されても不思議ではありませんでしたが、結果は違いました。

 「それまでずっと老犬の介護をしていたので、久しぶりに若い子のお世話をしたら、こんなに楽なのかと(笑)。自分で歩くし、食べるし、オシッコするし」(敦子さん)

 普通に思えるそんなことが、敦子さんにとっては喜びでした。そこで、預かって3カ月後に正式譲渡を申し出。改めて1カ月のトライアルを経て、今度は“家族”としてロッティちゃんを迎えたのです。

 「最初から里親希望でトライアルに入っていたら、1カ月で無理だと判断していたかもしれません。でも“預かり”という立場で長く一緒にいたから、ロッちゃんのいろいろな面…前の子より賢いとか(笑)、そういうことも分かったんです」(敦子さん)

 ロッティちゃんにとっては、いろいろなことが“追い風”でした。

 預かり期間を含めて約2年。まだ噛み癖は直っていません。他の問題行動が出た時期もあり、敦子さんは涙したこともあったそうです。それでも、ロッティちゃんへの思いは変わらず、優しく寄り添い続けました。

 最近は、自宅を訪ねて来た人に対して威嚇する傾向が強くなっています。そのため、取材は特別に許可してくれたカフェで行ったのですが、ロッティちゃんはイヤな思い出があるはずのキャリーバックに入って、おとなしく待っていてくれました。そして、スプーンにのせたオヤツをあげるなど、少しずつ距離を詰めていくと、帰る頃には、大好きなキュウリを私の手から食べてくれるまでに!(スティック状で口と手は触れない)石橋夫妻が動物病院で行動学に基づいたカウンセリングを受け、しつけ教室にも通い、ロッティちゃんができるだけストレスなく暮らせるよう努めてきた成果でしょう。

 自宅への訪問者に敵意を見せてしまうのは、「私の大切なおうちに入って来た、あなたは誰?」と警戒し、楽しそうに話す姿を見て、「私のパパやママを取らないで!」と訴えているのかもしれません。もちろん、噛んでいいわけではありませんが、それだけ家が居心地のいい場所に、パパとママが大好きな存在になったとも考えられます。

 ロッティちゃんを保護していたNOAが目指しているのは「命に優しい社会づくり」。一つの命が、優しい社会に救われました。
posted by しっぽ@にゅうす at 09:57 | 動物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする