動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2019年09月01日

きょう「防災の日」 ペットと安全に避難するために、飼い主が心がけておくべきこと

Yahoo! JAPAN


きょう9月1日は「防災の日」。毎年、全国各地で防災訓練が実施されます。東日本大震災や西日本豪雨といった大規模な自然災害を踏まえ、防災意識が高まりつつありますが、災害時の「ペット」の扱いについては、衛生上の問題や避難者とのトラブルの懸念から避難所への入所を断られるケースもあるなど、対策が十分とはまだ言えないようです。

【画像】ケージとしても利用できるリュック型のキャリー

 災害に備えて、ペットの飼い主は普段から、どんなことを心がけるべきなのでしょうか。東京都獣医師会副会長の小林元郎さんに聞きました。

地域の自治会に参加し、積極的に議論を
Q.自然災害に備え、飼い主が意識すべきことは。

小林さん「普段から最寄りの避難所を確認したり、防災グッズを用意したりすることは、最低限のことです。実は災害時に一番大切なことは、まずは飼い主自身が無事で安全であるということです。当然、ペットは自分で身の回りのことができません。飼い主がいなければどうにもならないことを強く意識してください。まずはご自身の安全、これが最優先です」

Q.飼っている犬や猫に関して、どのような備えが必要ですか。

小林さん「基本的に、災害発生時から3日間は救助は来ないものと考えてください。つまり、その間は誰も助けてくれず、ペットの世話はすべて飼い主が自力で行うことになると想定してください。飲み水、ペットフードを備蓄しておくことはもちろんですが、ペットが持病を抱えている場合は、薬に加えて、その子のプロフィル、現在受けている医療に関連する情報を、スマホなどを活用してすぐに取り出せるようにしておきましょう。

猫は犬と違い、おにぎりやパンのような、避難所でよく配給される食べ物は食べません。猫用の缶詰など普段食べている食事は必ず用意してください。また、猫は環境の変化に弱く、慣れない避難所の環境ではトイレに排便・排尿ができなくなることも多々あります。普段から使い慣れている用具を備えてください。最近、ケージとしても使用可能なリュック型のキャリーが販売されています。避難所でも役立つと思いますので、使用を検討するのもよいかもしれません」

Q.ペットが避難所への出入りを断られることがあると聞きますが、なぜでしょうか。

小林さん「避難所にペットを連れて行く(同行避難)というコンセンサスが社会に浸透していないことが大きな原因ではないでしょうか。意外と知られていないことですが、避難所の運営責任者は、避難所となる小中学校の校長か地域の自治会長です。ただ、災害時に校長が学校の近くに住んでいるとは限りませんので、校長が責任者であっても、実質的な責任者は自治会長となります。そうなると、事前に自治会などで同行避難に対する取り決めがないと、いざというときに現場はかなり混乱します」

Q.ペットの飼い主は、何をすべきでしょうか。

小林さん「まず、自分のペットが、避難所のように大勢の人に開放された場所できちんと生活できるか自問してみてください。もちろん上手に適応できる子もたくさんいますが、どれほどの人が自信を持って手を挙げられるでしょうか。一方、ペットを飼っていない人は、避難所生活の中にペットが存在することをなかなかイメージできません。

そういう意味でも、避難所におけるペットの存在について、日頃から地域の中で話し合いの場を持ってもらいたいです。ペットを飼育している人とそうでない人の意識のギャップを埋める、この作業はペット自身ができることではなく、人間同士の作業になります。

そのためには、普段から自治会などの地元のミュニティーに参加し、ペットがどのように捉えられているか確認する必要があります。集まりがあったときに『うちの自治会では、災害時にペットはどう扱われるのですか』『避難所でペットを受け入れるのですか』と質問してみてください。そうすると、参加している人たちの間から、『そういえばペットもいたよな』『全然想定していなかった』『他の地域ではどうなっているんだろう』という会話がごく自然に始まり、そこがスタート地点になります」

Q.ゼロからのスタートなのですね。

小林さん「ペット飼育者としてはとても残念な話ですが、ほとんどの地方自治体の地域防災計画の中にペットの記述が盛り込まれていないことを考えると、これも厳しい現実として受け入れなければなりません。

ペットを守りたいのであれば、普段から、地域のコミュニティーの中で積極的にコミュニケーションを図り、いざというときに自分とペットのことを気にかけてくれるような人間関係をつくっておく必要があります。災害時に自分の力だけで生き残るのは至難の技です。本当に必要なのは、地域のコミュニティーとのつながりともいえます」

Q.人間関係をつくるにも、若い人を中心に、地域に自治会があるとは知らない人も多いかと思います。

小林さん「賃貸住宅に住んでいるのであれば、管理組合か、担当している不動産業者に聞いてみるのがいいと思います。ペットを飼っているのであれば、自治会にすぐに参加しましょう。災害時のペットの扱いについて、地域の中で合意を得ておくことは、本当に大切です」


狂犬病の予防接種は必ず受けて
Q.避難所に入った際に気を付けるべきことは。

小林さん「避難所は、泣いている子どもがいると、他の避難者から『うるさい』と苦情が出るような現場です。子どもでさえそうなるのですから、犬が夜間などに不用意にほえたりしたら、ひんしゅくを買うことになるでしょう。避難所でもうまく振る舞えるように、例えば外出先で勝手にほえたり、動き回ったりせずに、常にコントロールできるようなペットとの関係性を日頃から構築してほしいものです」

Q.衛生面で、普段から注意すべきことはありますか。

小林さん「狂犬病の予防接種は、平時に必ず受けておきましょう。大きく誤解されているようですが、狂犬病の予防注射は人の健康を守るためのものです。厚生労働省によると、2017年度末時点で、全国の狂犬病の予防接種率は71.4%です。ただ、これはあくまで行政に登録されている犬を対象とした数字で、登録されていない犬を含めると50%にも満たないという意見もあります。

この状況で犬が避難所に入った場合、大きなトラブルになることが懸念されます。ただでさえ災害時には、人がヒステリックな気持ちに陥っている中、避難所に予防接種を受けていない犬が来たら大きな恐怖を感じるかもしれません。こうなると、理屈ではなく感情の問題となり、なかなか修復できない環境が生まれます。そういうペットに対し、人は寛容にはなれませんから、結果的にペットを守ることができなくなってしまいます。

この他、人にも感染する可能性のあるノミやダニなどの外部寄生虫対策、他の動物への感染症対策のための各種ワクチン接種なども積極的に行ってください」

Q.避難所に動物アレルギーの人がいた場合、どうなるのでしょうか。

小林さん「避難所はさまざまな人々が集まります。そして、そこでは人の健康と安全が最優先となります。それ故、人と動物の生活スペースは原則として別にすべきでしょう。飼い主とペットは離れたスペースで生活せざるを得ません。ただ、そのような環境でも、動物福祉に対する考え方は忘れてはいけないと思います。

なお、災害がある程度落ち着いた段階で動物を退避させる場所、いわゆる『疎開先』を決めておくのもいいかもしれません。被災地から遠く離れた場所、例えば、家族のいる実家などへ一時的に預ける方法も有効だと思います」

Q.災害時、獣医師はどのように対応するのでしょうか。

小林さん「各都道府県によって異なります。私が所属する東京都獣医師会では、緊急災害時に都内の動物医療を守るための対応マニュアルを作成しています。災害時には、会に所属する獣医師がネットワークをつくり、東京都、関連各団体と連携を取り活動することになります。

マニュアルでは、獣医師の身体生命、生活の安全を第一に考えています。地域の動物医療を維持するには、獣医師自身が無事でなければいけないという獣医師会の基本方針があります。その方針が、地域の復興やペットの健康を守ることに寄与すると思っています」

オトナンサー編集部
posted by しっぽ@にゅうす at 09:46 | ペット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする