動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2019年09月14日

日本ヘルスケア学会の発表でみえた「人と動物の共生効果」

Yahoo! JAPAN



【人とペットの赤い糸】

 第3回日本ヘルスケア学会年次大会並びに日本ヘルスケア協会(JAHI)活動発表会が6日から2日間、明治大学駿河台キャンパスで開催され、第72代横綱稀勢の里の荒磯寛氏が特別講演を行った。

 JAHIが目標としているのは、健康寿命の延伸である。現在、平均寿命と健康寿命の差は男性で9年、女性は12年だが、健康寿命をそれぞれ伸ばすことをベースに活動と研究を行っている。「ペットとの共生によるヘルスケア普及推進部会」でも、人とペットの健康寿命延伸を目標に活動しているが、本学会で有益な発表とシンポジウムが開催されたので、その一部を紹介したい。

 一般口演で優秀賞を受賞したのが、推進部会の副部会長、児玉博充氏が代表して発表した「ペットとの生活による高齢者の健康効果報告と今後の検証計画」。獣医師、メーカーを中心としたチームで行った取り組みだ。犬と触れあう前後の高齢者の唾液を測定した結果、18人中15人で幸せホルモン(オキシトシン)が増加し、ストレスホルモン(コルチゾール)が減少したという結果が出た。セラピー犬では15頭中14頭中に、ボランティアの方々も15人中11人で幸せホルモンが増加し、ストレスホルモンは減少した。

 教育講演では日本動物病院協会の元会長で赤坂動物病院総院長、柴内裕子先生が登壇。1986年以来、2万2000回にわたって行ってきた「人と動物のふれあい活動(CAPP)」の中から、犬に本を読み聞かせる「READ(リード)プログラム」と、長期入院の子供たちを訪問するセラピー犬に関する効果検証が発表された。

 リードプログラムでは、犬に子供たちが本を読み聞かせる際、犬がいることで緊張がほぐれて心拍や血圧が安定するだけでなく、自信や達成感につながり、もっと読んであげようという読み聞かせの能力向上につながるという説明があった。小児病院での触れ合い活動後の患児、セラピー犬、ボランティアのオキシトシンは全て上昇、コルチゾールは患児、セラピー犬で低下がみられた。

 「ペットとの暮らしによる健康効果〜現状の課題と解決法〜」と題したパネルディスカッションでは、柴内先生や児玉氏に加え、東京薬科大学の下枝貞彦先生も参加し、筆者が進行を担当した。犬は成熟しても人に友好的で伴侶動物としてふさわしいこと、高齢者が犬と暮らすことで飼育していない場合と比べて年間通院回数が少なく済んだこと、犬との散歩で健康寿命延伸(男性0・44歳、女性2・79歳)、人の痛みが分かるといった子供の心と体にペットが与える効果などが発表された。

 2025年大阪・関西万博が「ウエルネス&ヘルスケア」をメーンテーマとして開催されるが、JAHIの果たす役割がさらに重要になるだろう。ワンヘルス(人、動物、環境がそれぞれの健康・保全に密接に関連している)が一部普及しつつあるが、環境の保全とともに、人と動物の共生が国民の健康に密接に関係するという理解がさらに浸透することを願いたい。

 ■越村義雄(こしむら・よしお) 一般社団法人「人とペットの幸せ創造協会」会長。同ペットフード協会名誉会長。一般財団法人日本ヘルスケア協会理事、「ペットとの共生によるヘルスケア普及推進部会」部会長など。
posted by しっぽ@にゅうす at 00:38 | ペット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする