動物 しっぽニュース
認定NPO法人HOKKAIDOしっぽの会

2019年10月19日

自宅を保護犬猫に開放、年100匹を殺処分から救うボランティア


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一般社団法人「アニプロ」の代表・原奈弓さんは、神奈川県動物愛護センターから毎年、傷病・老齢を含む100匹以上の犬・猫を毎年引き出し、同センターの6年連続殺処分ゼロを実現したボランティアの筆頭格。新センター立ち上げの検討委員にも任命された。「ブリーダーやペットショップを責めても、動物放棄はなくならない」。原さんは無責任な飼い主たちの無慈悲を問う。

【写真】檻のない保護施設では犬も猫ものびのび!

◆10年以上前から、老犬や傷病犬を優先的に保護。献身的に介護も

 神奈川県の自然豊かな真鶴町。3棟の建物に庭、車庫付き戸建て住宅が「アニプロ」の拠点だ。ここに犬・猫を中心に常時40〜50匹の動物が暮らす。

 代表の原奈弓さんに出迎えられ、「まずはこちらから」と案内されたのは、猫たちが暮らす部屋。20匹ほどいるだろうか。こちらの姿を認めるなり、みゃーみゃーと鳴きながらすり寄ってくる。

「ようこそ、どうぞどうぞ」

 声の主は事務局長の平本英幸さん。猫たちに頭を舐められ、ひざの上で眠られ、指を甘噛みされ、全身猫まみれ。ニコニコしながらあやしている。

「動物愛護センターは、午後5時以降は誰もいなくなりますから、3時間おきに授乳と排便をさせてやらなきゃいけない子猫の保護は無理なんですよ。そんなんで引き取っているうちに猫でいっぱいになってきちゃったんです。離乳までは私が親代わり。ベタベタにかわいがって人間大好きにして、もらわれた先でもうんとかわいがってもらえたらいい」

「アニプロ」では保護動物との面会は、健康なグループから老齢、あるいは看取りの段階に入った個体グループへと巡回の順番を決めている。“屋内感染”を防ぐためだ。

 すべての保護動物は基本的に譲渡の対象だが、老齢やがんなど不治の病にかかった犬・猫たちはほぼ、譲渡の見込みはない。それでも原さんは、10年以上前からそんな犬・猫を優先的に、年間100匹もの動物を殺処分から救ってきた。

 ノミ、ダニ、フィラリア、寄生虫などは当たり前。虐待やネグレクトで瀕死の状態で収容された犬を引き出してその足で獣医のもとへ走ったり、暴れる犬に爪をかみちぎられながら看病をし、しつけて最終的に里親を見つけたケースもある。


◆「私は助ける“命”を選択した」 胸に深く刻まれた無念と後悔

 原さんの献身の背景には“救えなかった3匹の犬”への後悔がある。

「保護を始めた頃、センターに殺処分目前の犬が5匹収容されていて、本当は5匹とも引き取りたかったんですが、どうしても当時は2匹しか引き取れなかったんです。

 私は命を選択した。3匹を見殺しにした。その無念さは今も胸から消えていません。だから…というわけではありませんが、いちばん助けを必要としている子たちを救いたい。ガス室やひとりぼっちの檻ではなくて、暖かい部屋で安穏と暮らさせてやりたいと思うんです」(原さん・以下同)

 治療費やえさ代は寄付などもあり、なんとかやりくりしているが、長く猛暑が続いた今夏、3棟つけっ放しの冷房代には泣いた。

 次に案内されたのは、健常犬たちの部屋。盛大に歓待する犬たちをよそに、じっと微動だにしない犬も。「ああいう子は飼いやすいんですよ。信頼を得れば、飼い主だけに忠実だから」と原さん。

 すると、ちょっと大きめのケージから、おずおずと真っ黒な顔が覗いた。

「歌丸、おいで」と原さんが呼ぶと、もそもそと現れたのは、なんとも立派なグレートデン! 艶々と凜々しい立ち姿に反して、上目遣いの哀しそうな瞳が気になった。

「センターに収容された時はガリガリにやせてて…。捨てられたんですよ。手に負えなくなっちゃったんでしょうね。なかなかグレートデンを飼える家庭なんてないですから、里親探しは難しい。やさしい性格のいい子なんですけどねえ」

 最後に案内された部屋は、おむつをして寝たきりの大型雑種犬・ショーンを囲むように、心臓病で闘病中のチワワなどが暮らす。

「寝たきりで動けないんですけど、食事をおいて、頭を支えてやると、ガツガツとよく食べるんです。まだ“生”への執着がしっかりとある。最期まで見守ってやりたい」

◆熟年犬と過ごす穏やかなペットライフがおすすめ

 動物愛護センターでの殺処分はなくなったが、殺処分自体がなくなったわけではないと、原さんは言う。


「収容頭数が増加したり、状況の変化があれば殺処分は復活しますよ。ほかの保健所などでは今も殺処分しているわけですし。そうさせないためにも、私たちボランティアが引き出してケアし、譲渡会などで新しい飼い主を見つける…という活動が不可欠なんです。保護期限が過ぎてガス室へ送られることはなくなりましたが、飼育放棄、ネグレクトは今も続いているのですから」

 最近は、ブリーダーによる多頭放棄やペットショップによるネグレクトなども問題になっている。元凶はそこでは…と問うと、「それは違います」と真顔になった。

「いえ、ないとは言いませんが、元凶はそこじゃない。私たちボランティアが不要にならないのは、飼えなくなったら捨て、きちんとケアをせずに病気になったら見殺しにする飼い主が存在するからです」

 本当はこんな活動、辞めたいんですよ…と原さんはため息をついた。

「ペットショップの子犬・子猫を買って、最期まで大事にしてあげるのももちろんいいんです。でももし、里親になってもいいなと思われるなら、ぜひ、成犬と残りの数年を過ごすことを考えてもらえるとうれしいです。そして看取ってやってほしい。シニア犬は穏やかな子が多いです。小さなお子さんのいる家庭では、見守り犬にもなってくれます」

※女性セブン2019年10月31日号
posted by しっぽ@にゅうす at 01:00 | ペット | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする